安易に境界線を越えてしまう人々(2/2)



自分が境界線を越えてしまうことがあるんじゃないか?と思ってよくよく意識し、自分を観察していくと、その癖は改善させることができます。
相手を見て、話を聞き、そして、自らを見失わないようにする・・・それがコミュニケ―ションの基本だと思うのです。

安易に境界線を越えてしまう人にどう対処したらいいのか?という話から「生き方」の話に広がってしまいましたが、でも、ほんと自分らしい生き方どうか、というのがポイントなんですね。

じゃあ、自分がそういうタイプじゃないか?
あるいは、自分にもそういうところがあるんじゃないか?
とドキッとした方へ、お届けしたいと思います。

ま、私も大いにそういうところがあります。
それに気付いているので、何とかしようとしてきました。

とりあえず、第一に「境界線」ということを意識することです。
この態度は越境ではないのか?
この発言は相手に入り込み過ぎていないのか?

分からなくてもいいので、そのことを意識してみましょう。

もちろん、そのために神経を使うし、疲れるし、さらに言えば、境界線を越えてるのかどうかなんて分かりませんから、一層迷いますし、人間関係がぎくしゃくします。

それは良くなるためには必要なプロセス。
「本当にそこを何とかしたいの?」って試されてると思ってみてもいいでしょう。

そして、そういう意識を持って周りの人を観察してみてください。
それはそれは上手に見えて、本当に強くコンプレックスを感じてしまいますから(笑)
ほんと、すごく自分に劣等感を感じます。
それで、また気付きをもらえるんです。
それでこんなにも自己主張してしまうんだ、と。

このプロセスではそんな葛藤の連続です。ダメな自分ばかりが目につきますし、コンプレックスも感じるし。

だから、そんな弱い自分を見付けたら、攻撃せずに愛してあげます。
ここが難しいですね。つい厳しくダメ出ししてしまいそうです。
でも、ここが新しいところ。新たなチャレンジ。

そんな弱い自分を愛するって、「大丈夫、大丈夫。これから変化していくんだから」「気付いただけましだよな」「そんな完璧主義になるなよ」等々の労いの言葉です。

こうした意識を持ち続けていると、相手の話を聞こうする姿勢が生まれてきます。

そう、次の段階は「聞く」ということ。
できるだけ自分の話をせずに、相手の話を聞こうとしてください。
何よりも「聞く」ということがコミュニケーションの第一歩です。

そうすると自分が埋もれてしまうような気がしませんか?
余計相手にされなくなるような。

でも、本当はその方が相手の印象に残りやすいことが分かってきます。
「この人はちゃんと私の話を聞いてくれる」
「否定しないで受け入れてくれる」
それがどれくらい相手に安心感を与えるか分かるでしょうか?

相手が何を言ってるのかを聞くのはとても難しいことです。
どうしても「自分なりに」話を聞いてしまうから。

ゴルフを教えてあげようと思ったら、相手が「いいえ、大丈夫です」って言って来たんです。その時ただ遠慮してるだけ、本当は教えてほしいはずだ、って思ってしまうんです。
でも、そこでちゃんと相手の言葉を聞き、その反応を見れば、相手の意志は少しずつ見えてきます。

「相手は何を言いたいんだろう?」
「相手はどんな気持ちなんだろう?」

そんな意識で相手に目を向けて行きましょう。
そうすると少しずつ分かることが増えていきます。
大抵は自分のミス、過ち、憶測違いに気付かされるので、すごく自信を失います。
でも、それは自分が強くなろう、変化しようとしているときだからこそ、生まれるもの。
だから大丈夫なんです。

境界線が分からなくなってしまう背景には、昨日も書きましたが、自分自身が境界線を越えられて傷ついた経験があることが多いんです。
大抵は親が過干渉だった場合ですね。

だから、親との関係を見つめ直していくこと、も効果的な道ですね。

さて、そういう経験を積んでいくと、相手の様子が何となく分かり、それによって対処の仕方を変えることができるようになります。

コミュニケーションってキャッチボールです。相手のボールをうまく受け止め、相手が取りやすいボールを投げることです。

私もまだまだうまく行かない時もあるんですが、カウンセリングもコミュニケーションですから、そのことに関してはずっと学ばせてもらいました。
15年以上、目の前の相手との距離感を測って来たと言っても過言ではありません。
個人カウンセリングはもちろん、セミナーではもっとその距離感が問われるんですね。

そういう経験を通じて私も相手の状態によって、いくつか聞き方、伝え方を変えることができるようになりました。

例えば、あるクライアントさんは頑張って燃え尽きそうな人。それでももっと頑張ろうとして鞭を求めてます。そういう方には優しく言っても耳には届きません。頑張りたいわけですから。ぼろぼろなんで、つい優しくしたくなるんですけどね。
だから、そういう方には敢えて「頑張って」もらおうとします。鞭が欲しいのですから、鞭を振るうんです。
「周りの人があなたのことどれくらい慕ってるか、あなたをどれくらい助けたいと思っているか分かってないでしょ?今から頑張って、あなたのことを愛してくれてる人に感謝状書いて渡して来てください。」とか。

それから、自立的なタイプの方は、自分で何事もやりたい人。だから、あまり具体的な解決方法は提案しない方がいいんです。ケンカになりますから。
それよりも考え方を伝えたり、メンタル的なフォローに意識を向けるようにしています。
特に私とあなたの線はちゃんと引くようにしています。「私は・・・」「私なら・・・」「心理学では・・・」という主語をはっきり言うようにしていますね。
「どうやればいいかって具体的な方法は私よりもあなたの方がずっと詳しいと思います。今の問題も、あなたならそれを乗り越えられるから神様が与えてくれた試練だって分かっていらっしゃるでしょう?だとしたら、もっと自分を信じるてあげたらいいと思うんですよ。そんな抽象的なことしか私は言えないんですよね。でも、『カウンセリング行かなくても自分で何とかなったわ』って後で思われるのもシャクなんで(笑)、少しだけ僭越なことさせてもらうとしたら、やっぱりお父さんのこと、かな。私の立場だと、やっぱりそういうアドバイスになっちゃうんです」

逆に依存的なタイプの人は「相手に何とかしてほしい」という状態なので、まずは自分の足で立つことが大事です。だから大袈裟に言えば突き放すような言葉を伝えることも多いですね。だから「根本さんって冷たい」と思われても仕方がありません!
「それは自分で考えて、自分で決めるだと思いますよ。誰かに決めてもらう、というのではなく。今は頑張り時ですから悩んで悩んで自分で答えを出してみましょう。」

いかがでしょうか?

カウンセリングという場で、相談されても、その対応は相手によって変える必要があるんです。
私なりの答えをストレートに伝える場合もあれば、考え方・概念だけを伝える場合もあり、それは自分で考えた方がいいと突き放す場合もあります。

そこでは私にできる限り、相手を尊重しようとする意欲があるんです。
だから、嫌われるかもしれないけれど、と思いながら、嫌なことを言うこともあります。

だからでしょうか。
「知ってるなら教えてくれたらいいのに」って言われたり、「セミナーと違ってカウンセリングでは意外と無口なんですね」って言われることもあります。

前者の方の場合は、相手が答えを望んでいるのかどうかがまだ分からないので、何も言わなかったんです。
基本「聞かれたら答える」という姿勢なんです。私。

また、後者の方の場合は、その方のことをよく知るために、どういう風に接したら一番いいのかを探すために、始めは一切話をせず、できるだけたくさん話をして頂くようにしています。
初めてお会いして、60分のカウンセリングで、そのほとんどを話しを聞くだけで終わった、ということも珍しくありません。
でも、3,40分くらい話していると、いわゆる“掴む”ことができたりするので、そこからは話し出すんですね。
そのギャップを感じての「無口」かもしれません。

・・・なんか自慢話みたいになってきましたが、押し付け、僭越、自慢話ではなかったでしょうか???
私の経験ですけど、少しでも参考になりましたら幸いです。

相手を見て、相手を耳にして、そして、自らは地に足を着けて・・・それがコミュニケーションの基本姿勢だと思います。

難しいように思うでしょう?
でも、幸いなことに毎日コミュニケーションのチャンスがあるわけで、意識を向けていくと、疲れるときもあるけれど、グッと成長も早くなります!

※ちなみにそんなコミュニケーションに関する講座を4/23(木)19:00より東京・神楽坂にて開催することにしました!
興味持たれたみなさん、どうぞ、お越しください。そして、今回よりもずっと濃く、そして、笑いながら、体験しながら実感して下さい。

4/23(木)心理学講座「ココロの仕組みとコミュニケーション術」(東京・神楽坂)

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