自分が傷ついたように子どもを傷つけたくないと誓って子どもと接しているのに・・・。



そもそもそう思う時点で愛情たっぷりなママであることが分かりますけど、そのことに気づいているでしょうか?
それよりも自分の足りないこととかできてないところばかり見ていないでしょうか?
そんなに頑張ったらむしろ逆効果ですよね、というお話です。

はじめまして。
Hと申します。
いつもブログや書籍を読ませて頂き、お世話になっております。

はじめまして、なのですが、とても苦しい状態から自分では抜け出せず、根本先生にメールを送ってみることにしました。

わたしは子どもが2人いまして、長女の気持ちを受け止めてあげられないことに悩んでいます。

わたし自身、母から大切にされずというか、気持ちを受け止めてもらえなかったり、話を聴いてもらえずに育ちました。
(母は母なりに大切に育ててくれたのだと、過去を振り返り、怒りや号泣を繰り返し、今では感謝できるようになりました。が、もっと気持ちを受け止めて育ててくれたら、育児や人付き合いに悩まずにいられたのかもなぁというのも正直な気持ちです。)

そんな経緯もあり、長女には沢山の愛情を注いできたつもりです。
でも最近、長女から愛を確かめるような言動(顔色を伺う、用がないのに何度も呼ぶ、できることもやってという、など)を毎日朝から晩までされて、受け止めるどころか、嫌な気持ちに押しつぶされそうになっています。
どうして愛を疑うんだろう、愛を試すんだろう。どうして伝わらないんだろう。どこまで頑張ればいいんだろう。もう心底疲れた。でも受け止めなければ。心がついていけない状態で毎日を過ごしています。

わたしは、自分が傷ついたようには傷つけたくない。愛情をたっぷり注いで、気持ちを受け止めて育てるんだと心に誓ってきたのに、どうして同じように傷つけてしまうのか。
なぜ、受け止めてあげられないのか。
わたしの傷が癒えていないからなのか。
そんなごちゃごちゃな気持ちと、長女を傷つけている毎日が、苦しくて仕方ないです。
もしよろしければネタにして頂き、アドバイスを頂けないでしょうか。

読んで頂き、ありがとうございます。
(Hさん)

娘のことを愛するがゆえに生まれてくる問題なんだろうと思うんです。
なので、Hさんの中には娘ちゃんへの愛情がてんこもりなのがよく伝わってきます。

で、結論から先に言えば、それでもう十分なのです。

とはいえ、どうしたって子育てって自分の親との関係がベースになっちゃうもんですよね。
他に基準を知らないので無理もないことですし、ほんとHさんのようなご相談はめちゃくちゃ多いものです。
たぶん、過去にも似たようなお話を扱ってると思うので良かったら探してみてください。

https://nemotohiroyuki.jp/child-rearing-psychology-list

で、基本的なお話から始めていくわけですが、

A.親にしてもらってうれしかったこと → 自分も子どもにしてあげよう!

B.親にしてもらって嫌だったこと → 自分の子どもにはしないようにする!

C.親にしてもらえなくて辛かったこと → 自分の子どもにはしてあげたい!

D.親にしてもらえなくてよかったこと → 自分の子どもにもしないでおこう!

というシンプルな心理がそこにあるものです。

ただ、これがけっこう曲者でして、この「自分の子どもにはしてあげる」も「してあげない」もすべて「自分の基準で」となります。

これ、めちゃくちゃ大事な前提です。

で、Hさんの場合、

>わたし自身、母から大切にされずというか、気持ちを受け止めてもらえなかったり、話を聴いてもらえずに育ちました。

ということですから、「C」に当たるんだろうと思います。

「自分と同じ思いを愛する子どもにはさせたくない。だから、親がしてくれなかったことをしてあげよう!」と思うわけです。

で、ポイントなのはこれがすでに愛情だということです。

ところがここで「自分基準」というのがやはり厄介なんですね。

母から大切にされなかった、とHさんが感じている分だけ、自分の子どものことを大切にしようと思います。

ここまでは全然問題ないんですが、「はてさて親が子どもを大切にするとは何ぞや?」という哲学的命題がそこに立ちはだかるわけですね。

「親に大切にされることを知らない」ので「親として子どもを大切にする」ということが分からなくなるんです。

もちろん、知識では知ってるかもしれないけれど、体感的に分からないのですね。

で、そうすると自分が「大切にされなくて辛かった」という思いがあればあるほど、「子どもを大切にする」という思いもまた強くなるので、過剰サービスになりやすくなります。

つまり、大切にし過ぎちゃうわけです。

例えば、子ども時代に親が共働きで家に一人ぼっちで寂しい思いをした人は、自分の子どもにそんな思いをさせたくないという愛情から、仕事を辞め、四六時中子どもと過ごすことになります。

それはもう「子どもと常に一緒にいてあげなければならない。寂しい思いは絶対させてはいけない。」と強迫観念のようになってしまうこともあってけっこう辛いです。

けれど、親が一緒にいてくれなくて寂しい思いをした分だけ、子どもから離れられなくなります。

これは親(母親)との競争心も絡んでくるので、ちょっとオーバーワークになりやすいんですね。

だって愛する子どもだからってずーっと一緒にいたらしんどいですよね。自分のこともできないし。

ってことで、これが相当のストレスになってしまうこともよくあるんです。

で、2つめのポイントが「態度と感情はセットでやってくる問題」です。

例えば、みなさんも人間関係において「態度と裏腹な気持ち」を感じちゃうことってないですか?

「あの人、いつも笑顔で優しい態度なんだけど、なんとなく怖いんだよね。裏がありそうで」みたいな。

優しい笑顔の裏に怒りが見え隠れしているわけです。

で、Hさんの娘さんが顔色を伺ったり、かまってちゃんになったりする原因ってコレじゃねえかな?と思うんですね。

Hさんは愛情を注いでいるつもりですよね。
あれもやってる、これもやってあげてる、こんなにもやってる、とオーバーワークになるくらい愛情を与えている“つもり”ですよね。

でも、それって純粋な愛情じゃないですよね?

「親から与えてもらえなかったから」という前提が付いてますよね。

つまり、「うちの娘がめちゃくちゃ可愛いからとことん愛情を注いじゃうの!」という親バカ的な思いではなく、「愛情を注がないとヤバい!そうしてあげないと寂しくさせちゃう!」という“怖れ・不安”や“緊張”からけっこう義務的にやっちゃいますよね。

そうすると愛情を注いでいるんだけど、同時にHさんが抱える怖れや緊張までも子どもに伝達してしまうことになるんですね。

つまり「笑顔で子どもの気持ちを受け止めようとしているのだけど、その笑顔の裏に全く違う感情が隠れていて、それを子どもが薄々感じちゃってる」ということです。

だから、娘ちゃんは顔色を窺ってくるんでしょうか?
Hさんからすれば愛情を注いでも注いでもなぜか虚しいことになっちゃうんじゃないかと思うんです。

こういうのダブルバインドって言うんでしたっけ???

さらに、これが1つめのポイントと相まって、「娘に愛情を注ぐ」とか「娘の気持ちを受け止める」ということをものすごく頑張りすぎてしまうんです。

「受け止めてあげたい」のではなく「受け止めなければならない」という思いがどんどん増しちゃうんです。

それって犠牲だし、義務感なので、そもそもしんどいです。

でも、自分がかつて感じたような思いを子どもにさせたくないから頑張りますね。

しんどいけど、頑張っちゃうんです。もちろん、それは愛情です。だからこそ、ややこしいんです。

とはいえ、しんどいけど頑張っちゃうのは何でも同じですし、子育てなんてそれこそ年中無休の24時間営業ですから、そんなん体も心も持つワケはありません。

そうすると「こんなにも愛情を注いでるのになんで分かってくれないの?」とか「こんなにもママ頑張ってるのに、なんでそんな態度を取るの?」とか思っちゃうようになります。

それってママのエゴですよね?
それって子どものためなんでしょうか?
それとも自分の気持ちを満足させたいだけなんでしょうか?

ちょっと考えさせられるところですよね。

そして、3つ目の大切なポイントは自分と子どもで個性が違うってことです。

長女に生まれた人は自分の長女に自分を投影させやすいものです。(必ずしもそうではありませんが)

つまり、自分の長女なんだけど、それは自分自身でもあるんですね。

「子どもが3歳になると、無意識に自分が3歳だった頃の記憶を取り戻す」という説もあるくらいです。

そうすると「子どもの気持ちを親が決め付ける」ということが発生します。

「きっとこういうことされたらうれしいに違いない。だって私が子どもの頃はうれしかったんだから」という風に。

いやいや、たとえ自分のお腹から生まれてきた娘でも、別人格でしょう?個性も性格も全部一緒ってことはないでしょう?

これは自分と自分の子どもを同一視してしまう問題で、過干渉・過保護・癒着の問題に直結してしまうものです。

だから、「私がうれしかった愛情表現も、娘にとってはうれしくないかもしれない」ということは頭の隅に入れとく必要があります。

自分と似てるところもあれば、旦那と似てるところもあり、どっちも似てないところもあると思います。

子どもは子ども。私は私。別々の人間です。

だから、自分の子どもは大人と付き合うのと同じようにその個性をちゃんと見てあげるといいんです。

特にHさんの場合はだいぶ娘ちゃんとの距離を詰めすぎのようですので、少し離れて見ないと彼女のキャラを素直に受け入れることは難しいかもしれません。

>わたしは、自分が傷ついたようには傷つけたくない。愛情をたっぷり注いで、気持ちを受け止めて育てるんだと心に誓ってきたのに、どうして同じように傷つけてしまうのか。

それって誰のためなのか?という点をもう一度考えてみるといいんです。

それって娘ちゃんが喜ぶことなのか?望むことなのか?
それって自分のためじゃないのか?母親のようになりたくないだけではないのか?
つまり、自分の母親に対抗しているんじゃないのか?

だったら、娘ちゃんを基準に見てあげなきゃいけないんです。
愛情を注ぐにしても、自分が与えられる量、そして、娘ちゃんが受け止められる量があります。
それが一致していれば最高だけど、たいがいはどっちかが多いもんです。

なので、こんな質問をするんです。

「娘ちゃんが笑顔になってるシーンってどんなとき?楽しそうにしてるのはどんなとき?」

「自分が自然に笑顔になれるのは娘ちゃんとのかかわりの中でどんなとき?素直に『わあ、可愛い』と思えるのはどんなとき?」

それだけやっとけばいいと思うんですけどねー。

ということで刺さる言葉がいくつかあったと思うんですけど、Hさんの今のしんどさは「犠牲によるハードワークで疲れちゃってること」が原因だろうと思います。

やりたくないことをやらなきゃいけないと思って頑張りすぎてるのが要因です。

もちろんやってあげたいことをやってあげてる部分もあるんですけど、やりすぎってことです。

それは愛情から生まれるモノも多いのあるのですが、やはり「母親から与えてもらえなかった」という思いから生まれるモノも多いんです。

その後者の部分、カットしちゃっていいんですけどね。

「自分が傷ついたように、自分の子どもは傷つけたくない。だから愛情をたっぷり注ぐんだ」という思いってね、全部、娘ちゃんに筒抜けなんですよ。

子どもって親のことよく見てるでしょう?
でも、表面的なものだけを見てるんじゃなくて、心の中も見ちゃってるんです。

だから、自分のママがどういうつもりで愛情を注いでくれているかも見えちゃいます。
その怖れも、犠牲も、不安も、傷も。

それで「頑張っているママを傷つけたくないからママの顔色をうかがう」ということもしますし、「ちゃんとママの期待に応えなきゃ!」と頑張るんです。

ママが頑張ると、子どもも頑張っちゃうんです。

だから、子育ての基本は「自然体」であり、すなわち「私らしさ」だと思ってます。

自分なりの愛情表現でいいんです。
自分の母親と競争しなくていいんです。

だって十分愛情はあるんですから、それが娘ちゃんに見透かされてると思ったら楽じゃないですか?

Hさんが愛情をたっぷり持っていることはもうバレバレです。

だから、一番大事なのは自分が笑顔でいること。
受け止めてあげる、とか、愛情を注ぐ、とかは、自分が笑顔でいられるときだけでいいんです。

「はいはい。今日のママは休業中です」という日があってもいいわけです。
っていうか、むしろそういうときがなきゃとてもやっていけません。

そういえば、バイトがいなくなったコンビニの店長が不眠不休で仕事してぶっ倒れちゃった話ってありましたよね?

ちゃんとシフト組んで休まないと持たないんです。

ということで、もし、これを読まれたら、今日は自分が「してあげたい」と思ったことだけしてあげるようにして過ごしてください。

したくないことは「ごめーん。ママできないのー」と言ってあげてください。

完璧なママを卒業することが今のHさんにとっては一番の救いになると思います。
せっかくの愛情が無駄になりませんように。

★ということでこの本、おすすめっす。

「子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる」(実務教育出版)


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子供を傷つけたくないと思って愛情を注いでいるのに。
 


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