セックスレスとその解消方法へのアプローチ(2/2)



2回目はさらに深い部分へ。
まずは「母」というものに対して。
そして、そもそもの原因となった「家族」についての考察。
最後は今度は日常できる意識づけについて紹介しています。

昨日からの続きです。
セックスレスとその解消方法へのアプローチ(1/2)

●母になることへの抵抗という観点

じゃあ、どうして女は損だと思うようになったの?って掘り下げると、もちろん、家族との関係が出てくるわけですよね。

祖父母に「お手伝いさん」のように扱われたこと。
両親が不仲であったこと。

ここからは「母の苦悩」が透けてきますね。

昔の家族は“生産者階級”である「祖父母・父」と、“非生産者階級”である「母・子どもたち」の間に明確が線が引かれていました。
それぞれの階級ではお召し物も食べ物も違い、また、座る場所も全部異なってたんですね。
だから、「嫁に行く」という言葉が「若くて使い勝手のいいお手伝いさん」の意味になってしまうことが多く、そこでは多くのお母さんが我慢、我慢、我慢を強いられてきました。

今はさすがにそこまで強要する社会ではなくなってきているのですが、それゆえに、そうした時代への嫌悪感はとても強くなります。

Rさんはお母さんの苦悩をずっと目の当たりにされてきたのではないでしょうか?
もし、そんな光景を目に焼き付けて来たとするならば、自分が同じ立場に行きたいと思うでしょうか?

ふつうはNoですよね?

そうすると「子どもを産んで母になる」=「あんな苦労して辛い思いをする」というイメージに繋がりますよね。
だとすれば、子どもを作ることにつながるセックスに抵抗が出てきます。

この場合は「お母さんへの愛情」がポイントになってくるかもしれません。
苦労するお母さんを助けたかった、救いたかった私。
そんなお母さんが大好きだった私。
お母さんを幸せにしてあげたかった私。

このあたりに意識を向けていくのも一つの解決策です。

セラピーではこうした心理的な体験をするためにロールプレイの手法をよく使います。
会場からお母さん役の女性を一人選びます。
そして、まずはそのお母さんへの思いを語ります。
愛情や助けたかった気持ちだけでなく、寂しさや惨めさなども伝えていきます。
そして、お母さんとつながりを取り戻します。
そこではお母さんを愛する、ということと、お母さんからの愛を受け取る、という両方の効果を期待します。
この後者については次に紹介するインナーチャイルドセラピーにもつながるものです。

●家族の問題。子ども時代に子どもがちゃんとできなかったから。

お手伝いしなさい!と言われながら育ち、子どもながらにして大人のような扱いを受けると「子ども時代に子どもをちゃんとしていない」状態になります。

子どもらしい我儘を拒絶されたり、甘えることができなかったり、無邪気に遊んだり、笑ったりすることが許されなかったりした場合、内なる子どもがずっと寂しくて辛い思いを抱えたまま心の中にとどまることがあります。

Rさんがインナーチャイルドワークをすると少し落ち着いた気持ちになるのは、そうした内なる子どもが少し笑顔になるからだろうと思います。

子ども時代のRさんは、子どもらしさを内側に隠したまま、家族のために一生懸命働かなければならなかったのですから。

この場合、たいていはパートナーシップに安息を求めるようになります。
そして、パートナーを“理想のパパ”に見立てて子ども時代に満たされなかった思いを満たそうとするんですね。
それがいわゆる「不倫」に出ることも多いですし、旦那さんを「パパ」扱いすることも多くなります。

そうするとやはりセックスってあり得ないですよね?
子どもにはまだ性欲はありませんし、また、パパとのセックスなんてタブーです。

家族になった途端にレスになっちゃう夫婦も多いのですが、こうした内なる子どもの影響はとても大きいですね。

その結果、最初に紹介した「女」であることを自分に許せなくなったりもします。
この場合は、インナーチャイルドセラピーが効果的なことは言うまでもありません。

内なる自分と向き合う、自分自身を解放する、というセラピーです。
イメージワークでもいいですが、ロールプレイは分かりやすい上に感情をとても解放してくれます。

セミナー会場の中から子ども時代の自分を思い出させてくれる人を選びます。
なかなか選びにくいテーマですが、その人自身をも解放してくれますから安心して堂々と選んでください。
そして、その自分自身と向き合います。
このとき、インナーアダルトとインナーチャイルドが向き合っている図、になるんですね。
そして、その子に近づいて愛してあげます。言葉をかけます。承認します。
よく頑張ってきたね、よく耐えたね、悔しかったよね、寂しかったよね・・・

私がよくブログでこういう言葉を書いているのは実はインナーチャイルドに向けた語り掛けでもあるのです。

そうしてつながり、安心感をもたらしていきます。

インナーチャイルドセラピーの目的の一つ。
それは「自分のインナーチャイルドを誰かに面倒見させるのではなく、自分自身で扱えるようにする」ということ。
これは自分自身との深いつながりを示しています。

●家族を作ることへの抵抗を手放す。

Rさんの場合、祖父母という明確な“ヒール(悪役)”がいました。
しかし、その結果、Rさんにとって「家族」というものは「辛く、苦しく、奴隷のような思いで、惨めさを感じる場所」になってしまいました。

夫婦二人でいるのと、子どもができて家族になるのとでは全然変わるでしょう?
恋人はいいけれど、家族は苦手、という思いを抱かせるようになるんです。

だから、家族というものが幸せを感じられる場所、安らぎを感じられる場所、つながりと喜びを生み出す場所に変える必要があるんですね。

旦那さんに対してイライラしたり、不満をぶつけてしまったのも、家族を持つことへの恐れがあったのかもしれないし、同時に、かつての祖父母や両親に対して持っていた怒りが出て来たからかもしれません。
でも、Rさんにとって家族を作ることが実に怖いことであることがそこからもうかがい知れるのです。

実は家族で苦労された方はその分だけ「ホームメーカー」という才能を持ちます。
「家族を作る」という才能があるんです。
だって人生をかけて研究してきたテーマでしょう?

さて、そのためにはこの祖父母または文中には出てこないお父さんを許す、というプロセスを考えていきます。

なかなか抵抗のあるジャンルだと思います。
許しのプロセスはワークショップでもよくお話しますが、大きく分けて次の3段階です。
1.感情の解放~怒り、寂しさ・悲しみ、罪悪感を解放する~
2.感情的理解~相手の気持ちに寄り添い、理解する~
3.感謝する~その恩恵を受け取る~

この2が特に難しいので1の解放をきちんとやっておく必要があります。
よく恨み辛みを手紙に書く、ということを宿題にしていますが、要するにこれをやっているわけです。

ロールプレイセッションでは祖父母役の人を選んで向き合い、感情を解放し、許していくプロセスを作ることもできます。
また、祖父母の前で奴隷のように扱われている自分自身を救い、守るアプローチも効果的でしょう。

また、そのうえで幸せな家族のイメージを自分自身に与えていくこともできます。
実はこれはグループセラピーの一つの目的であり、私がリトリートセミナーで実現したいことなんですけど、「居場所」を与えてあげるのです。
宿泊付きで2日間もいると想像以上に距離が近づき、とても親密な雰囲気ができます。
それがマインド的には理想の家族と繋がって、インナーチャイルドが癒されていき、幸せな家族像が潜在意識に築かれていくんです。

●夫婦のコミュニケーションという観点から

セックスは一つのコミュニケーションです。
レスになる、ということは、他にもつながりが切れてしまってるところがあるんじゃないの?という観点から、夫婦の全体像を見つめていきます。
遠慮してる、我慢してる、胡坐かいてる、受け取れない、与えられない、隠している、分離してる・・・いわば、問題探しみたいなんですけど、夫婦関係の絆をより深めるために何度も何度も話し合いを重ねていきます。

もちろん、セックスについて語ることも大切です。
それに加えてお金、仕事、将来、家、車、食事、記念日、ファッション、趣味、価値観、家族、人生等々、あらゆるテーマについてお互いに話し合いを重ねていくのです。

そうしてお互いがどんどん「かけがえのないもの」になっていくと、これまでお話して来た家族の問題が分離され、また、新たに夫婦として心理的な再構築が始まります。

ただ、この場合は時間をかける勇気と、お互いの合意が必要なので、長期戦略が必要ですね。
つまり気長にやれってことです。

そうして、夫婦の間でいろいろと新たな取り組みをしていくのもありでしょう。
もう一度、裸になって寝るのもいいでしょうし、自宅ではなくホテルに宿泊したり、恋人時代を思い出すようにデートをしてみてもいいでしょう。
セックスについてのコミュニケ―ションができるようになれば、どんなセックスをしてみたいかを赤裸々に語り合うのもいいと思います。

●性の解放、色気を許す。

理由はともかくとして性に対してタブーな意識を変えていくこともよく取り組んでみます。
「女性向けのアダルトビデオもあるみたいだから観てみたら?」って提案することも多いです。
また、オナニーをするのも大切。
女性の性は長らく社会的にタブーとされてきましたし、そもそも男性と違って定期的に射精をしなくてもいい分、性的なタブーが増えやすいんです。
オナニーまではしなくても女性として自分を扱ってあげられるようにするのも大事なことですね。

また、そういう女性にとてもお勧めなのがコラボセミナーをしている真島あみちゃんの「上質な色気」を自分に与えてあげること。
「エロ気、ではなく、色気」ということで、女性として輝くための方法を数多く提唱してくれます。
私も彼女のやり方をパクッてよくお伝えしてるんです。
○見えないところ(胸、お尻、太もも、デリケートゾーン等)のケアが余裕と自信を作り出す。
○赤い口紅を付けると女という意識がすごくアップする。
○ナイトウエアにこだわる。
○色気強化デーを実践する

そうして、女という意識を高めることによってセックスや夫婦関係に対する意識がどんどん変わっていきます。

さて、長らく書いてまいりましたセックスレスの解消法について、いかがでしたでしょうか?
掘り下げれば様々なアプローチが考えられますので、一度、自分に置き換えて考えていただき、解消につなげていただけましたら幸いです。

セミナーやカウンセリングでもとてもメジャーなご相談ですので、ぜひ、勇気を出して向き合っていただければな、と思います。

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