信頼して待つ。



相手の決断、行動待ちの時ってイライラしますよね。特に行動的な方ほど、ついコントロールしたくなってしまいます。
しかし、そこは自分の価値観を一旦横に置いて相手の価値を良く見るのです。
そうすると、信頼するのは相手だけでなく、自分自身でもあることに気付くのです。

最近のカウンセリングのテーマのひとつ。
例えば、ある企画を考えたビジネスマンがそれを取引先に提示。
すぐにいい返事をもらえず、預かりとなった場面。
自分としては十分に手応えもあり、先方も、先方の顧客にも喜んでいただける内容と実感しているもの。
でも、そこはじっと先方が結論を出すのを信頼して待つほかありません。


例えば、夫婦関係で。
夫がこれからのことで悩んでいるらしい、と奥さまがご相談にいらっしゃいます。
つい「さっさと結論を出しなさいよ」と突っ込みたくなります。
自分ならいろいろな人に相談し、意見を伺い、本やネットでも情報を集め、検討するだろう・・・にもかかわらず、彼は傍目には結論を出そうと行動しているように見えない・・・。イライラする・・・のです。

例えば、子育てにおいて。
子どもがさっさと支度をしない、とか、宿題をしない、とか、お片付けをしない、歯磨きをしない、呼んでも食卓に来ない・・・。
自分なら、やるべきことをさっさと済ませて自分が好きなことをするので、その行動が理解できません。
だんだんイライラして「早くしなさい!!」と怒鳴ってしまいます。

自立的に行動できる人、
フットワークの軽い人、
計画的に物事を進めるのが好きな人、
ToDoリストがあるとやる気になる人、
あれこれ頭で考えるのが得意な人、
そもそも行列に並ぶのが苦手な人。

これらのタイプの人は、総じて「待つ」のが苦手です。
(私もバリバリこのタイプなんですけどね(笑))

自分がちゃかちゃか動けるので、相手にも無意識にそれを期待し、でも、相手はそうじゃないタイプなので、そのギャップにイライラしてしまうのです。

そもそも「待つ」というと、何もせずにいるイメージがあります。
だから、このタイプの人たちには手持無沙汰もいいところなんです。

どちらかというと「支配的」なタイプ。
相手や状況をコントロールしたくなっちゃうんです。

だから、そういう方の前は往々にして「待つ」ことを体験させられるために、「おっとりした」「マイペースの」「決断力のない」「優柔不断な」「何もしていない」「行動力の乏しい」人が派遣されてきます。
「待つ」を学ぶために。

「待つ」て退屈ってのも実はコントロール(支配欲)の一つ。
自分が状況を動かそうとしているから、コントロールできないことに苛立ちや退屈さを感じてしまうのです。

「待つ」のは「信頼の証」なんです。
イライラする、ということは、相手を信頼していない証拠なのです。

取引先を信頼できたら、ゆったりと、堂々と、待つことができます。
夫を信頼出来たら、彼なりに考えて動くのだろう、と悠々と任せることができます。
子どもを信頼出来たら、それが彼のペースなのだから、と見守ってあげることができます。

じゃあ、信頼するにはどうしたらいいの?というと、これまた壮大なテーマになるのですが、一番シンプルな方法は「相手の価値を良く、良く、見る」ということ。

このとき、自分の価値基準をちょっと横に置く、ことが必要です。

取引先の会社は、歴史も長いこともあり、特に慎重に決断を下す傾向がある。見方によっては保守的と言えるのだが、慎重故にきちんと成果を上げるため、結果的に堅実な実績を残している。だから、新しい企画を持ち込むとじっくり検討して結論を出す傾向がある。自分の企画は十分に叩き上げたものだから、きっと先方の厳しいチェックにも耐え得る力はある。だから、悠々と構えて待つことにしよう。

夫は動き出すのは遅いが、一度動き出したらそのままゴールまで突っ走るタイプ。実際、仕事っぷりもそうだし、部屋の片づけも「こんなに散らかして」と思っていると一気にきれいにしていたりする。
だから、今回の件も、きっと彼なりに頭の中で熟成させている期間なのだろう。
その後、きっと彼は動き出すから、それをただ待つことにしよう。

うちの子供は自由人。人から指図されることを嫌う芸術家。だから、自分のペースでさせてあげることがのびのびと育てる秘訣だと思う。それに、彼が自分の好きなことをしているときの表情は最高に輝いている。その笑顔もとてもかわいい。だから、私としてはペースを乱されるように感じるけれど、ある程度、彼の好きなようにさせてあげよう。

こうして相手の価値や魅力、可能性、能力、才能に照準を合わせて行くと、その言動が理解できるので、イライラすることはなくなります。
でも、その時、もう一つ重要なことに気付かされるのです。

それは「信頼して待つ」とは、一見、相手を信頼することのように見えるのですが、結局は、自分を信頼する、ということに他なりません。
自分を信頼する=自信、ですよね。

もし、あなたの企画が本当に自信のあるものであったならば、もし、あなたが妻として自信を持っていたならば、また、あなたが母親としての自分を信頼しているのであれば、待つ、ことができるんです。

だから、あなたが「待つ」状況になったとき、今、すべきことは「もっと自分を信頼せよ」ということなのです。

毎日使える心理学講座

 ★好評発売中!根本裕幸の近著。
こじれたココロのほぐし方 頑張らなくても愛されて幸せになる方法


あわせて読みたい