弟子がライフワークを実現させた八ヶ岳Cradleで癒されまくった一方で、お弟子どもにいじめられた件。



「帰りたくねーなー」
誰に言うでもなく朝から何度もそう呟いている。
近くにいたやまようちゃんは「だよねー」といつものテンションで答え、隆盛は「ほんとにそう」と苦々しく空を見上げている。きっと何とかして帰らずにすむ手だてを考えているのだろう。
家主であるあずあずは苦笑いしながら「また遊びに来てくださいよー」と飽きずに同じ台詞を繰り返してくれた。

昨夜は月が美しい夜だったのに朝から空は曇っていて、高原の空気はひんやりしている。昨夜は聞こえていた沢の音は今はかすかに届くのみだ。
とても、空気が、軽い。
呼吸がとても楽だ。
清々しい空気とはこのことなんだろうな、としみじみ思う。
雨が降りだしそうな曇り空もむしろ風靡であり、東京よりも1ヶ月ほど季節が進んだ標高1,280mの地は保養のためには完璧な環境である。

このテラス席が気に入って長い時間をここで過ごしてきた。
数時間後にはここを出て都会に帰るのかと思うと名残惜しさを通り越して悔しさすら込み上げてくる。

「ここで本の執筆したら捗りそうじゃないですか?」とえっちゃんが言った。
作家が高原の別荘に籠って本を書くという話はよく聞くのだが正直実感が沸かない。もし私が締め切り原稿を抱えてここを訪れたら日がなテラス席でぼーっとしながら白樺の木々や薄い色をした空を眺めて過ごすに違いない。夜は夜で薪ストーブに火をくべることに夢中になっているだろうから、執筆のためというより締め切りからの現実逃避の場として相応しい気がする。

山梨の名湯をハシゴしてここにたどり着いたのはすっかり日の落ちた夜であった。街灯のない道を運転するのはほんとうに久しぶりで田舎に来たことを実感したし、車を降りた瞬間に感じたひやっとした感覚はかつて軽井沢や北海道で吸った空気に等しかった。

すでにケータリングで供される極上の料理はひととおり出揃っており、すでにお腹が一杯になった仲間たちと交代するように遅刻組の我々はその食事にかぶりついた。
まさかこんなところでこんな旨いものが食えるとは思わなかった。途中、富士見の西友で食料を買い込んできたことを後悔しながら温かいオニオンスープで冷えた体を暖めつつ、グリルしてもらった肉や野菜に舌鼓を打った。

駐車場なら焚き火はできるけど・・・と聞いてちょっと残念な気持ちになったが、部屋の中にはその代用となりうる薪ストーブがあり、酒を飲みつつ火に見とれることができた。やはり火はいい。
いろんな話をしたはずだが、夢心地だったせいかもう思い出せない。

とはいえ、数十年ぶりにしたUNOで、師匠に忖度するどころか、集中攻撃を浴びせかけて私を最下位に貶めた弟子たちへの恨み辛みは忘れられないので近々復讐を遂げようと思っている。
個人的に所有しているお恨み帳にはきちんとAby朱美たむようマミコらの名前を記した。主犯格(言い出しっぺ)であるサトヒの文字はことのほか太字にしてある。

そのサトヒの娘とあずあずの娘が同い年ということで、年長さんの2人はすぐに意気投合したという。そして、彼女たちは親たちの教育がしっかりしているせいだろう、即座に勇雄や幸一ら男子を奴隷として扱い、あれやこれやと命令を下していた。
その様子を「ま、俺は奴隷ちゃうからな、ふふふ」と冷ややかに眺めていた私であったが、ものの数時間後には「へび!って言ったらきのこ!って言ってこういうポーズを取って!くま!って言ったら竹!って言ってこのポーズね?分かった?」などと指示され、深夜に思わぬ体操をして汗だくになってしまった。

それにしても子どもはかわいい。娘もこんな頃があったと思うが、記憶はだいぶ薄れている。将来確実に美人になりそうな2人に遊ばれながら、(ママたちと違って!?)男運に恵まれる人生になることを心の中でひそかに祈っていた。

さて、ここは八ヶ岳の山麓にある長野県原村のペンション村である。お弟子のあずあずがライフワークを実現すべくここにシェアハウス兼ゲストハウスを最近開いた。リトリート施設としても活用できるようさまざまなメニューを用意しているようだ。
そこに暇なお弟子仲間たちが集まってきた。ある者は前日入りし諏訪大社などを巡り、ある者は東京から電車で、またある者は新潟や埼玉、神奈川から車を飛ばして来ていた。

東京からなら車で2時間(渋滞に巻き込まれなければ、であるが)、電車でも特急で同じくらい(駅までは送迎があるらしい)。
ちなみに大阪からは車で4時間半。名古屋からはたぶんその半分くらいだろう。
今回私は東京出張と絡めて訪れたので、飯田橋でレンタカーを借りて東京の街中を走り、正美ちゃん愛ちゃんを途中で拾ってやってきた。

人生、というか、恋愛がものすごく渋滞中である2人を乗せたせいか、行きも帰りもものすごい事故渋滞に巻き込まれ、予定時刻を大幅にオーバーすることになった。なお、彼女たちを明大前駅で拾うまで、また、甲州街道で下車させたあとはたいへんスムーズに車が流れたことは重要な示唆であると思う。

とはいえ、車の渋滞中に恋愛の渋滞話に花が咲いたので長時間ドライブも全く苦にならなかった。相変わらず愛ちゃんの恋愛話はドキュメンタリーそのものであり、いつの日かぜひドラマ化してもらいたいと真剣に思う。
山梨の名湯(山口温泉、韮崎旭温泉)や高原の空気にすっかり癒されたせいか、長時間ドライブにありがちな右足の疲れも全くなかったことは幸甚であった。

レンタカーを時間ギリギリに返却し、慣れ親しんだ神楽坂の街に戻ってきた。晩飯を食おうと馴染みの店に向かう途中、体も心もすっかり軽くなっていることに気付いた。二日前と同じとは思えないくらい景色が変わって見えた。
わずか一泊二日でここまで変わるのか?と驚きながらお気に入りのオレンジワインを煽った。そのドライで複雑味がほどよいワインは口に含むたびに私を現実に戻してくれる。すでに高原の1日は夢の中のような遠い景色になっていた。

***

【宿泊情報】
八ヶ岳Cradle(やつがたけ・くれいどる)
サイト:https://www.yatsugatake-cradle.com/
Facebook:https://www.facebook.com/yatsugatakecradle/
連絡先:2020cradle@gmail.com
料金:大人1泊5,500円、子供ベッドあり1,100円、添寝無料(素泊まりのみ)
ペット連れ可。

予約方法:上記メアドか、ACCESSページのフォームよりご連絡ください。

※シェアハウス:1部屋58,000円/月(+共益費12,000円/月)
※コネクト2部屋を使用できるプラン、2部屋2拠点居住者用の割引プラン、月10泊(仮)まで可能で割安の相部屋プラン、等あります。

ライフワークへの第一歩を現実にしたあずあずとツーショット(ビジネス雑誌の表紙風なポーズで!笑)

広いリビング!

【八ヶ岳Cradleやその周辺】
早朝に限らず、散歩はいつでも気持ちがいい。この広いお庭にボーっと佇むのも素晴らしい。椅子はあちこちにあるのでどこでも座って高原の草花を愛でられる。

【翌日はちゃんとお仕事もする(動画収録)】
あずあずは結婚式などの撮影カメラマンでもあるので装備がガチすぎる。

また、朝はお気に入りのテラス席でYoutubeの配信も。
https://youtu.be/k4LWyfOD4xQ

【温泉】
山口温泉

韮崎旭温泉

【都内をドライブ】

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