沖縄には来れるだけで幸せだけど、あの空を見てしまうとますます病が深刻化する。



大阪でG20が開催され、その影響で娘の高校が休校になるとのニュースを聞き、真っ先にしたことは那覇便の予約を取ることであった。
折しも罪悪感本の出版と時期が重なっており、那覇で講演会をするという大義名分も成り立つわけで、これとない沖縄病の治療の機会である。

伊丹の空港はおそらく同じ理由であろう人々でごった返しており、例年よりもずっと子供連れの家族が多かったのは印象的である。

さて、いつものように空港にもっくんが迎えに来てくれ、ホテルに荷物を置き、会場である「てぃるる」に向かう。

なかなか立派できれいな会場であるが、ここだけの話、信じられないくらい会場費が安い。しかも、沖縄あるあるなのかもしれないが、地下駐車場が無料である。
以前より個人サッションやワークショップなどでたびたび利用させて頂いているのも、その値段がひとつの理由であることは言うまでもない。

さて、当社比過去最高の参加者に恵まれ、盛況のままに講演会は終了した。重たい思いをしながら持ってきた本もよく売れ、心もスーツケースも軽く、我々は食事に出掛けた。

沖縄に来て今さら沖縄料理を食べたいと思わないので、もっくんとの会食は時に焼鳥(沖縄には元々ない文化)であり、時に熊本料理であり、今回は中華であった。四川料理という、辛いものがからきしダメな私にとっては鬼門中の鬼門であったが、もっくんの「辛くないものもちゃんとあります」という声を信じて入店し、その言葉通りの料理に舌鼓を打った。
それにしてもうまかった。そして、食い過ぎた。中華は2人で食うものではないと思い知った。
普段であれば二軒目でバーなどに行くのだけど、とてもじゃないがもう腹には何も入らない。よって珍しく夜の泉崎の街をぶらぶら歩くだけでホテルに帰り、おとなしく風呂に入って寝たのである。

ぐっすり眠り、翌朝、気持ちよく目覚めると外は沖縄の夏らしい青空が広がっていた。正直沖縄には来れるだけでよく、天気は二の次なのであるが、やはりこの空を眺めてしまうと未だにときめいてしまう。

早速着替えてジョギングに出る。

2日前は軽井沢の別荘地を駆け抜けていた。
昨日は大阪の自宅近くの公園をぐるり一周走っていた。
そして、今日は那覇の街を観光がてら走っている。
いったい自分がどこにいるのか分からなくなるスケジュールである。

那覇の街中は思う以上に狭い。これはタクシー文化が根付いているせいで、どこに行くのもタクシーに乗ってしまうため、意外と広い街のように誤解してしまうのである。
国際通りが「奇跡の1マイル」と呼ばれているとおり、主だった繁華街はほとんど国際通りを中心として1マイル以内に収まっている気がする。なので、ジョギングのルートを検討するときはより遠くまで行くようにしなければならないのだ。

ホテルを出て、開南に向かう。ここは私が好きな太平通り商店街やサンロードがあるところだ。

そこから壺屋の交差点を抜け、ぐるっと回って大好きな栄町市場に到着する。朝の栄町は市場とは名ばかりのシャッター通りである。この街は夕方から深夜にかけて活気付く。

実はここまでで2.5kmである。今日は10㎞を目指していたのでまだまだ序の口である。
そこから海を目指す。
青空に映えるのは沖縄版モノレールの「ゆいれーる」である。

泊の街を駆け抜け、58号線を渡り、松山を過ぎればそこは海である。
ここには波の上ビーチがある。崖の上にあるのは波之上宮である。

この海を見ることが深刻な沖縄病には効果的である。
しかも、ここまでちょうど6㎞走ってきた。夏の日差しに照らされて全身汗みどろである。
ということで、、、

海に浸かりながらしばらくアーシング。
やはり極上の気持ちよさである。
このあとスマホを陸に置いて腰まで海に浸かってみた。
やはり無上の気持ちよさである。

何年か前に視界をバイパスに塞がれてしまったが、那覇市内唯一のビーチはとても気持ちのよいところなのである。

そこからホテルまではわずか1.5㎞。
住宅街やら繁華街やらを抜けてホテルに戻る。
シャワーが心地よく、窓から入る風に当たりながらクールダウンをした。
やはり、とても気持ちがよい。


沖縄に来たら休めばいいものの、ついついパソコンを開いて仕事してしまうのはフリーランスの宿命か、単なるハードワーカーなのかよく分からない。
昨夜、個人セッションの申込を受け付けたので早めの対応が必要だったこともある。

部屋では仕事する気になれないので、10階のクラブラウンジに向かう。貸切状態であった。

さて、ここでちょっとしたトラブルが発生する。
私はこのホテルの加盟するチェーンのゴールド会員なので今回の部屋は14時チェックアウトである。そのため、ラウンジのスタッフにその時間まで使ってよいのか確認したところ、こんな返事が返ってきた。

「根本さま。実は今回のご予約はクラブラウンジへのアクセス(入室)ができないプランとなっておりまして、お部屋はクラブフロアにアップグレードさせていただいたのですが、ラウンジは本来お使いになれないのです。」

へ?まじ?完全なる勘違いである。

そもそも自分ではクラブフロアを予約したつもりであったので、アップグレードというのはクラブフロア内でのそれだと思い込んでいたのだ。

ところが親切な玉城さんは

「しかし、誰もいらっしゃいませんし、いつもご利用頂いておりますので、今回はそのままお使い頂いて構いません。どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。」

いい人である。素晴らしい。そして私は運がとてもいい。

好意には徹底的に甘える主義なので、お言葉に甘えまくって、ラウンジの冷蔵庫から2本目の炭酸水を取り出し、ついでにマンゴージュースも調達して今日のブログを執筆した。気分は上々である。

14時過ぎ、遅い昼食をとるためラウンジを出る。
お目当ての店のランチタイムは終わっていたのでその辺の定食屋というか喫茶店に入る。
メニューに目当てのものを発見して迷わずオーダーする。
沖縄でいう味噌汁とはこれのことを指すのである。

個人的に一番好きな沖縄の定食はこれかもしれない(笑)
もともと汁物が好きで、ランチは量を採らないから、このシンプルさは最高である。なんなら白米も要らないくらいだ。

具だくさんの味噌汁を完食し、今度は泊まってるホテルとは別のホテルのカフェに向かう。
アイデアをひねり出す必要があるので、場所は重要である。

窓の外は昼過ぎから曇天で、いかにも雨が降りそうになっている。
ここで事務仕事をこなした上で、次の次の次の本の構成を練る。うまくいけば来年1月に出る予定の本だ。

構成案を練るのは楽しいと同時に設計図みたいなものだから結構なプレッシャーがかかる。アールグレイなどを飲みながらしばらくアイデアを練っていたらあっという間に時間切れになった。
1日遅れで到着する家族を迎えに行くにはギリギリの時刻になっていたのだ。

予想通り雨がぱらつきはじめ、モノレールに乗る気力が萎えたのでタクシーを捕まえて空港に向かう。弱い雨粒がフロントガラスを叩いているが、それも沖縄では良くあることであり残念にも思わない。
ここが沖縄であることが重要なのであり、その他のことはあまり重要ではないのである。

こうしてますます沖縄病が深刻になるのである。

ちなみに夜ご飯は家族でここへ。10年以上通っているイタリアンの名店である。この7月で20周年なんだそうだ。このまま「沖縄の実家」として頑張っていただきたい。


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