過去の罪が今の恋を妨げる



ラブ・カウンセリング

以前、ある水商売の方をカウンセリングしていたときのことです。

「今付き合っている彼は優しく紳士で、誠実な人。仕事もでき、きっとこれからも成功していくだろうと思われる人。自分の仕事柄、そうした勘に間違いはないし、この人の奥さんになる人はきっと幸せなんだろうな、と思える。でも、彼のことを好きになればなるほど、彼が私のことを好きになってくれればくれるほど、逃げようとする自分がいる。」

そんなご相談でした。

「何が引っかかるの?」と問いかけると、彼女の人生に起こった様々なことを語ってくれました。

父親のお酒と女性の問題で良心が離婚したこと。
母親も水商売をしていて、いろいろな男性が家に出入りしていたこと。
自分も思春期には遊んでいて、今で言う援助交際みたいなこともしていたこと。
2,3人の彼は常にいて、不倫も当たり前だったし、とても誠実じゃない恋を繰り返していたこと。
夜の世界に10年以上いて、すっかり汚れてしまったこと。

詳細は覚えていないのですが、概ね、そんな感じだったと思います。
彼女は「自分は穢れている。だから、彼にはそぐわない」とよく言っていました。

罪悪感という感情は自分のことを汚いもの、穢れたもの、毒されたもののように扱います。
自分は汚れているから、純粋な彼の人生を狂わせてしまうんじゃないか?
そんな風に思うのかもしれません。


彼女の経験はひとつの指標ですが、皆さんも、そんな「汚れ」の経験はありませんか?

意外に思われるかもしれませんが、カウンセリングを利用される水商売の方は結構多くて、同じようなお話をよく伺うものです。
クラブやキャバクラではなく、風俗になると、さらにその「汚れ感」はぐっと増します。
そういう方々の、ある種切ない話もたくさん聞いてきたような気がします。

また、数年前から「10代の頃、援助交際をしていて」と言ったお話もよくお聞きしますね。
「24,5まではなんとも思わなかったんですけど、25過ぎたくらいから、自分はとんでもないことをしてたんじゃないかと思うようになって・・・。それでカウンセリングを受けようと思いました。」
という感じで。

他にも「昔、不倫をしていて、それが今、とても引っかかっている」とか「以前、複数の人と付き合っていて、ものすごく申し訳ないことをしたような気持ちがある」といったご相談もよくありますね。

どのケースも過去に自分がしてしまったことに対する罪の意識に苛まれ、目の前の恋に向き合えなくなっているのです。

自分がすごく穢れてしまい、彼のことを毒してしまうような恐れがあるんです。

そういう方の「彼」は決まって純粋で、誠実で、やさしくて、まっすぐな人。
自分はそんな彼に相応しくないと思ってしまうのです。

そうして、過去に自分がしたことが原因で、今の恋を妨げてしまうのです。

先に紹介した水商売の彼女には確か、こんなお話をさせてもらったと思います。

「彼のことを好きな気持ちは純粋なものですよね?
そう言われると反論したくなるかもしれないけれど、毒してしまうと思って距離を置こうとするんだから、彼を守りたかったり、傷つけたくなかったりするんでしょう?だから、それは純粋な愛情がもたらすものだと思うんですよね。
もし、あなたが本当に汚れていたら、そんな彼を利用しようと考えるでしょうから。
でも、彼も案外、そんな傷、持ってるのかも知れないですよ。もっと彼の深い話を聞いてみたいと思いません?そしたら、意外と“似たもの同士”なんて思えるかもしれませんし。
それに、あなたが好きになった彼、あなたの過去を見て傷ついたり、侮蔑したり、拒否したりするような小さい男なのかな?それも違うと思うでしょう?そこは女の勘で。
だから、もしかしたら、あなたがずっと探してた自分を丸ごと受け入れてくれるようなデカイ男なんじゃないでしょうか?
だとすると、彼を毒してしまうから怖いんじゃなくて、自分が受け入れられたり、お父さんがくれなかった大きな愛で愛されることが怖かったりするんじゃないでしょうか?
だから、もう少し彼を信頼して、委ねてみてもいいんじゃないかな。
今日ここで僕に語ってくれた話、彼にしてみてもいいんじゃないかな。
それに、そうした罪悪感も癒せるしね。それぞれに意味があって、学びがあって、やったことの中には悪いこともあるかもしれないけれど、それにすら、きっとそうせざるを得ない事情みたいなものがあったと思うんですよね。だから、そういう自分を許すこともできるし、浄化してあげることもできるんですよ」

早速彼女はその日のうちに彼と連絡を取り、自分の人生について聞いてもらったそうです。
もちろん、結果はいい方向へ。
彼はその話をじっと聞いてくれた上で「やっぱり、そんな辛い人生だったんだね」と言ってくれたようで、また好きになってしまった、とおっしゃっていました。

私が彼女に語ったお話、それは皆さんにも当てはまるところがあると思うのです。
似たようなお話、私、よくしてますから。

過去にあった罪なる出来事は、癒し、許されるものです。
罪を憎んで人を憎まず、とは、本当によく言ったものだと思います。

罪悪感は常に自分を強く攻撃します。
そうして、自分を幸せにしない努力をさせるのです。

これもひとつの罠です。

過去の罪で、今の自分を責めるのは違うと思うのです。

許しによって、皆さんの、より良い世界が開かれますように。


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