親密感がなぜ怖い?



ラブ・カウンセリング

親密感ってほんとうは皆が大好きなもの。これが感じられると安心するし、ホッとするし、ああ、ここが居場所だな、とも思うし、また、心が解放されて自由な気持ちになれるし、愛してること、愛されていることが実感できるし・・・といいことばっかりじゃないですかー!と思うのですが、人によっては、これがものすごく怖いんです。

好きだけど、怖い。
欲しいんだけど、怖い。


親密感のルーツは私達が生まれたての頃、お母さんや誰かにいつも抱かれていた頃に遡ります。
夜、怖くて泣き出したら、お母さんがやさしく抱っこしてくれ安心して眠れたり、転んで痛かったらお婆ちゃんがそっと抱き上げてくれました。

そこで、親密感の素晴らしさを知ります。

もっと言えば、胎児の頃、私達はお母さんと一体で、つながっていました。
そして、生まれて、へその緒が切れたとき、「分離」を体験し、親密感を失う経験をするんです。

深層心理ではそんな痛みも私達は全員持っています。

また、大人になってからは、大好きな人とくっ付いているときの安心感であり、信頼できる友達と夜通し話をして盛り上がった繋がりの感覚だったり。

でも、近い距離で傷つくことがたくさんありました。
否定されたり、怒られたり、裏切られたり、傷つけられたり。

もちろん、その中には「誤解」もたくさんあります。
でも、大人になれば「あのときお母さんに悪気はなかった」と思うことでも、当時の自分は「大好きなお母さんに強く拒絶された」経験として捉えてしまうこともあるのです。

大好きだった彼と別れたり、親友だと思ってた友達と距離ができたり。

親密感を感じていた相手にハートブレイクするのは、ものすごく辛く、痛い経験です。

だから、その痛みが残っていればいるほど、親密感が怖くなります。

「またあんな思いをするんじゃないか?」
「もう二度と、あんな辛い思いはしたくない」

私達の行動は、痛みを回避しようとする方向に向かうので、辛い経験をしたことは二度と繰り返さないように構えてしまうのです。

そうすると、自然と人に対して距離が生まれます。
近づけなくなります。
そこでは傷つくことはないし、過去の痛みを思い出すこともないんだけど、孤独です。寂しいんです。

でも、やっぱり「怖れ」が「寂しさ」を上回ってしまうと、もう近づけないんですよね。

その怖れや傷ついた痛みが慢性化すると、どうなるでしょう?

「親密感?いらねーよ、そんなもん」とか「どこがいいの?うざいだけ」という思いになっていきます。

痛みを抑圧してしまうんですね。

さて、カウンセリングやセラピーではその怖れを癒すために、少し痛い思いをしていただくこともあります。
傷ついたことをもう一度思い出して、それを解放していくんですね。
つまり、その傷ついた距離までもう一度近づいていくわけです。

それは勇気が要りますよね。
でも、不思議なことがあって、例えば、10年前の痛みに今向き合ったとしても、やはり痛いし、涙が出てきたりもするんです。
10年経ってるのに、まだ、そこだけは時計の針が止まってしまっていたようです。

でも、涙と共に時計の針が動き出し、徐々に状況が変わっていきます。

そして、その「かつては痛かった距離が今は平気」になります。
心の壁が一つ取り払われた瞬間とも言えますね。

そうして、親密感を取り戻すことができるようになっていくのです。

でも、やっぱり怖い・・・でも、欲しい・・・そんな葛藤が出てくることもありますが、癒しが進むとそれも収まっていきます。

ただ、私達の感情は意識できるものから、とても深い深層心理まで幅が広いんですね。
だから、意識や感情面では「欲しい」と思っても、その下の層が「まだ怖い」と思っていることも多く、そうすると、感情面では「焦り」や「不安」「イライラ」などを感じ始めることもあるんです。

だから、自分を癒すときは、じっくりと、焦らずに、が基本になりますね。

皆さんが、親密感を本当に感じ始め、みんながそこでつながり始めると、きっと世の中はもっと平和になりますね。
だから、私、セミナーではこんな話をよくするんです。

「皆さんが親密感を感じ、誰かと繋がることを許可することが、世界平和に貢献することになるんです。」

何だか大きな話ですけど、でも、真実なんじゃないかな、と思うわけです。

親密感があるところ、誰も傷つきませんから。
傷つくのは、分離したところなのです。

参考になりましたら幸いです。


あわせて読みたい