彼と私の間にある隙間。



ラブ・カウンセリング

失恋をしたときに、自分なりにベストを尽くした恋ならば、意外なほどにすっきりした気分で次に向かうことができます。卒業なんだな、今は二人は離れる時期なんだな、と心から受け入れることができ、相手ともいい関係を築きながら前に進んでいきます。

でも、なかなかそんな失恋はなくて、時には泥沼化、時には自然消滅、時にはくっついたり離れたりを繰り返すことになるんですね。

時には何年も引きずってしまう事だって珍しくありません。

そうした“不完全燃焼”の恋を生み出すものは、二人の間にある隙間。

そこに私たちは色々なものが入れていきます。


他の女、仕事、友だち、お金、趣味、家族、子ども・・・そして、価値観(考え方)。

他の女が入れば「浮気」ということになり、仕事が入れば「私より仕事の方が大事だもんね」ということとなり、友だちが入れば「友だちと会う時間があるなら私と会って」と思い、趣味が入れば「どうせ私は邪魔者よね」と感じ、ママが入ればマザコンとなり・・・そして、価値観が入れば「合わない」「頑固」「融通が利かない」「分かり合えない」などと思うようになります。

その隙間は、お互いが“協力して”創り上げたもの。無意識に、ですけれど。

だから、どっちかが悪い、ということもありません。

「私はちゃんと向き合ってるのに、彼は逃げてばかり」と思うとしたら、確かに彼も逃げてるかもしれませんが、私も“逃げさせてしまう”何かをしちゃったのかもしれません。あるいは、自分が違う方向を向いてしまってるのかもしれませんね。(これ意外と多いです)

じゃあ、なんでそんな隙間が必要なのでしょう?そんな隙間を作ってしまうのでしょう?

その隙間がなければ、お互いを心から信頼し合って、もっとラブラブに、そして、もっと深く愛し合えるのに、そしたら、もっと解放的に官能的に、世界と一体になれるのに・・・。そう分かっているのに、なぜ?

ひとつは、私たちが幼少の頃から積み上げてきた「そんな理想郷みたいなものはない」という観念。すなわち、とても近い距離で傷ついた経験。

お父さんとお母さんがそんなに仲良くなかった、お母さんから、お父さんから、愛されてない、と感じてしまった・・・という幼少期の経験も大きいです。

もう、多くの人にとっては、すでに忘れてしまった過去かもしれませんけれど。

そして、「大好きで全面的に信頼してた彼が実は二股をかけていて私よりももう一人の女の方が本命だった」なんて経験をしたら、一人の男性を信じることってものすごく難しくなってしまうと思うんです。

そんな恋の痛手も隙間を作るきっかけになりますね。

総じて言えば、その隙間を作るのは、私の心の中にある「親密感への恐れ」というもの。

その隙間がなくなって親密感を感じたとしても、また裏切られたら立ち直れない、それが怖い、だから、少し離れておかなきゃ、あんな思いを二度としないように・・・という感覚。

皆さんも昔、これ以上好きになるのが怖い、と感じたことありませんか?

これ以上、二人の距離が縮まったら、もう後戻りできない、もう彼なしでは生きていけない自分になってしまう、という恐れです。

だから、安全な距離を保っておくんです。

自分が傷つかないように、自分が傷つけないように。

でも、隙間が空くと、その分、風が吹き込んで寒いわけです。

だから、その寂しさが違うものを呼び込むようになります。それが、女だったり、仕事だったり、友だちだったりするんです。

でも、そしたら、二人の間に違うものが挟まって相手の姿が良く分からなくなりますよね。すると、一方は不安になってそれをどかそうとしますし、一方は「もういいや」と別れを考えるようになり、二人の関係はどんどん悪化します。

そして、隙間があるってことは、ベストを尽くしたことにならないので、別れ話になったとき、猛烈な感情が襲ってくるんです。多くは自己嫌悪のようなもの。

ベストを尽くしてない分だけ、後悔が山ほど出てくるんです。

だから、失恋して、それを引きずっているとしたら、そんな自分を責めるのではなく、その隙間を作らなくて済むように、今から準備をしていきましょう。

家族について振り返ることもひとつ。

過去の恋愛についてもう一度向き合ってみることもひとつ。

また、今パートナーがいらっしゃる方。

怖いけれど、その隙間、愛で埋めておきたいですよね。

もう一歩前に、踏み出して。

それには、ものすごく勇気が要ります。

勇気を出すにはそれなりの大義と応援(すなわち「愛」)が必要です。

大義とは「彼ともっと幸せになる」ということ、応援は自分をサポートしてくれる友だちや家族の存在。みんなの愛を受け取って勇気が出てくるんです。

そして、皆からの受け取った愛を、二人の間に埋めていくわけですね。

そこではちょっと自分を捨てる感覚がやってきます。

ある種、自分はどうなってもいい、という、でも、決してネガティブではない前向きな思いがやってきます。

自分を越える、と言う感覚とも言えるかも。そして、心理学では「自分を与える」とも「献身(コミットメント)」とも言います。

そこでは、こんな信頼があるとなおさらいいでしょう。

「傷ついても大丈夫。傷は癒されるし、私も立ち直れるから」

その思いを胸に、一歩前に進んでいけたら、ハッピーです。


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