問題の「切り離し」について~相手は関係なく、それは自分自身の問題なのです~



何か問題が起きたときにどうしても「相手のせい」に見えてしまう私たち。
しかし、それを解決するためには「自分自身」に意識を向ける必要があります。
そうすると「その問題が起きたお陰で○○」という恩恵がたくさん受け取れるのです。

何か問題が起きたときに私たちがどうしても捉われてしまうものに「被害者意識」があります。

「上司が無能ですごく迷惑を受けている」
「彼氏が約束を破ったり、嘘を付いたりして振り回されている」
「旦那が別れ話をしてきて、これから先のことがすごく不安になってしまう」
「父親がものすごく支配的で、自由が無い」
「母親がすごく感情的で『自分』を持てなかった」

そうなんです。それは無理ないことで、確かにそう感じてしまうものなんです。
だから、そういう思いは自然なことだと思います。

特に相手が悪いことをしている、不当なことをしていると思えば、俄然私たちの被害者意識は強まって「相手が悪い!」と主張したくなります。
それもまた、自然なことです。

だから、そう思ってしまうことは悪いことではないんですね。


しかし、残念なことが一つ、そこからは生まれてきます。
それはあなたが被害者で居続ける限り、その問題を解決するのは相手に委ねられるため、あなたはずっとその感情に捉われ、苦しみ続けなければならなくなる、ということです。
すなわち、相手が悪いと思って、相手が変わるのを待つしかないのであれば、あなたはずっと相手に振り回されることになるのです。

だから私はその問題に主体性を持って向き合えるように、その依存心を切り離すことを目指します。

しかし、そう思ってしまうことが不自然なことではないだけに、なかなかその提案は難しく、またクライアントさん自身もそれを受け入れることにすごく抵抗があり、葛藤します。

「私が悪いわけではないのに、なぜ、自分が変わらなければならないのか?」
「悪いことをしている彼が何もせずに、なぜ、私ばかりが頑張らなければらないのか?」

そう思ってしまいますものね。無理ないことだろうと思います。
そして、問題が起きてしばらくはその思いに捉われてしまっても仕方がないと思うんです。

しかし、もし、あなたがその問題を前向きに解決したいと思う時、また、その問題を機にまた成長したいと思う時、その思いを捨て去る必要があります。

「この問題は自ら望んで引き寄せたもの」
「自分をより成長させたくて、相手に“裏切りというボランティア”をしてもらってるんだ」
「頑固な自分が変わるためには、相手がそこまでひどいことをしてもらわなければならなかったんだ」
「今回の問題もまた自分を成長させるために必要なこと」

そういう風な思いを“半ば無理やりでも”持つことを提案したいのです。

このプロセスを「問題の切り離し」と呼びます。
相手の問題として捉えるのではなく、自分自身の問題として捉える、、、すなわち、「この問題で相手は関係ない。私個人の問題である」という風に。

それはあらゆる問題に共通します。
私はカウンセリングやセミナーでこう表現しています。

「相手は関係ないんです。相手がどんな態度を取ろうが、何をしようが全然関係ないのです。もし、そこに影響を受けるとしたらあなたの中にまだ依存心が根付いていたり、相手をコントロールしようとする思いがはびこっているだけなのです。」

この問題の切り離しができていないうちは、心のどこかで相手を責める、相手のせいにするので、問題解決のスピードはとても鈍ってしまうでしょう。

「私はなぜ、この問題が今起きることを望んだのだろう?」
「私はこの状況から何を学び、何を成長させようとしてるのだろう?」
「もし、この問題を解決できる私がいるとしたら、それはどんな私だろう?」

問題の切り離しができたとき、私たちは自然とこんな発想を受け取ることができます。
相手が起こした問題も「自分が望んで相手に起こさせた問題」のように受け取ることができ、その状況を積極的に前向きに解決していけるようになります。

もし私が「その発想が出来たときにはすでにあなたが一歩も二歩も成長していて、その問題を解決するだけの力をすでに手に入れている」と言ったら信じられるでしょうか?

問題を切り離す力と問題を解決する力は実は同じなのです。
だから、問題を相手から切り離し、自分自身のモノとした時点でその問題を解決する準備(下ごしらえ)はすっかり整ったと言ってもいいんですね。

じゃあ、どうしたら問題の切り離しができるのだろう、と思われるでしょう?
そのためには多くの人にとって、すなわち、この考え方が習慣付いていない方は「意志の力」を使う必要が出て来るでしょう。

先ほどの
「私はなぜ、この問題が今起きることを望んだのだろう?」
「私はこの状況から何を学び、何を成長させようとしてるのだろう?」
「もし、この問題を解決できる私がいるとしたら、それはどんな私だろう?」
という視点を持つことなのです。

もちろん、すぐには難しく感じるでしょう。
感情も抵抗しますし、何よりもあなたの中にある「正しさ」が邪魔する可能性も高いです。
だから、じっくりと「自分と向き合う」ことが大事なのです。
自分と向き合う時、相手は関係なくなるので、もうこのプロセスに入った瞬間から、問題の切り離しは始まっているのです。

そうして相手の問題ではなく、自分の問題であることが受け入れられるとあなたは変化し、成長し、そして、感謝の思いを持つことができます。

「上司が無能なお陰で私はビジネスマンとして必要なスキルを学ぶことができた」
「彼氏が約束を破ったり、嘘を付いたりしてくれたおかげで私は自分に自信が持てるようになった」
「旦那が別れ話をしてきてくれたおかげで自分がどんな生き方をしたいのかが明確になってきた」
「父親がものすごく支配的で、自由が無かったお陰で、人の心を大切にし、尊重することを学ぶことができた」
「母親がすごく感情的で『自分』を持てなかったお陰で、私は今、自分らしいと言える人生を送ることができている」

そんな風に感じることができるのです。

「問題が起きてくれたおかげで・・・」そんな意識を持っていたいですね。

もちろん、かくいう私もまだまだ未熟です。
日々、そこに向き合いたいと思って、実践中です。

そして、私のカウンセリングもこの思いを軸に提供させて頂いているんです。

頭で分かってもなかなかそうは思えない、という方、お手伝いさせてくださいね。
そして、そういう風に思えるのだけど、どうしたらいいのか具体的に分からない、という方、ぜひ、応援させてくださいね。

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