不安や怖れで自分を見失いそうなときこそ、今できることをするだけでいいのです。



不安や怖れが強いとき、私たちはパニックになって自分を見失います。
何も手に付かなくなり、相手や状況をコントロールしたくなったりします。
しかし、そこでは「今、ここ」に戻ること。
今、できることを見付けてただそれをやっていくことでこの状況を乗り越えることができるのです。

不安や怖れの真っただ中にいると何かと焦って動きたくなったり、逆にその不安に縛られて何も動けなくなったりしてしまいます。

焦って動く、ということは、地に足が着かず、ふあふわした状態だからミスも起こりやすいし、思うような結果を出せなくなります。

そもそも不安から動く、ということは、「状況(もしくは相手)をコントロールする」行動になるので当然うまくは行きません。
むしろ、裏目に出ることも多いくらい。


例えば、ある人は夫婦仲がうまく行かず、不安に駆られていました。それをなんとか良くしようと(←この思いは分からないわけではないけれど、相手をコントロール(支配)しようとする気持ちが隠れていることも多いんです。)、話し合いを重ねようとします。
でも、「良くしようと」思う分だけ、“話し合い”というよりは“説得”“脅迫”“泣き落とし”になってしまい、むしろ逆効果。相手の心離れを加速させてしまうこともあるんです。

(ちなみに、話し合い、ということは、まずは相手の思いを受け入れる、聴く姿勢が何よりも求められ、また、相手が分かる言葉、相手が受け入れられる言葉を選んで伝えることが大切ですね。)

焦りや不安はどんどんあなたの思考を動かします。
考えることにハマってしまうんです。
ぐるぐる、ぐるぐる、頭の中を様々な思考が動き回ります。(当然、そのシミュレーションは良くないことの方が多いはず)

そして、さらにその思考が不安を増大させてしまうのです。

その時、自分の意識は「今、ここ」になく、未来や過去を行き来しています。

そう、「今、ここ」がここを抜け出すカギになるのです。

「今、できることをしましょう」

以前、ある方が「母がもう長くないんです」という相談をしてくださいました。
重たい病気が見つかり、余命を宣告されました。
とても悲しくて、寂しくて、そして、その後のことが不安で、怖くて。
後悔もいっぱいありました。もっと愛してあげればよかった、という。

そこで「じゃあ、残り数か月。あなたにできることをしてあげましょう。今、できることを出来る範囲で一生懸命やってみませんか。」という提案をしたのです。

死と向き合うには本当に勇気が要りますね。
怖れや不安もどんどん出てきます。悲しみも止まりません。

そして、半年くらい経ったとき、再び彼女は私の元を訪れてくれました。
「宣告されていた期間より少し長く生きてくれました。私も愛情を伝えることができましたし、母もちゃんと家族と向き合ってくれました。最期の方は今まで生きていて一番いい親子関係だったと思いますし、幸せを感じることができました。」

そんな報告をしてくれました。

不安や怖れに駆られてパニックになってしまえば何も手に付かなくなります。
そんな時でも常に私たちには「できること」が与えられています。

それを見付けて実践していく、ということをただ繰り返すだけなのです。

彼女は出来る範囲でお母さんにそれをしてあげたんですね。
その結果、人生で一番いい時間を2人は受け取ることができ、そして、天国に送り出してあげることができたのです。

報告をしてくれた彼女は少し涙ぐみながらも、笑顔で、そして、「ありがとうございました」と感謝の言葉まで私に贈ってくれました。

今、できることを見付けて、それをする。

それだけでいいのかもしれません。

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