本気になれたら問題は問題でなくなってしまう。



もし、今ある問題に本気で取り組む覚悟ができたとき、それはもう解決してしまうのです。
本気になると、どのような結果が出てもそれを受け入れられるからです。
その覚悟を作るのが「本気」というわけです。

「やれることやった!」という自覚があればあるほど、仮に計画通りの結果が出なくてもあまり自分を責めることはありません。

ある男性は入念に資料を準備して取引先に提案したプランが残念ながら不採用になった時、悔しく、残念な思いがある一方で、清々しさを感じていました。
十分力は発揮できた、これが今の自分の実力だろう、と納得でき、また、さらに自分のプレゼン能力を上げたり、企画力を磨くいいチャンスだと捉えられたそうです。
(ちなみにそのプランは少しの改良を加えて別の取引先で採用されることになりました)


ある女性は転職活動の際、自分を主張することを意識しながら活動をしていました。
本気で仕事したいと思える会社だけを選び、応募をし、面接でもずけずけと質問をするので、ある面接官は気分を害し、別の面接官は非常に驚いていたと言います。
そこで不採用となっても彼女は落ち込みませんでした。きっとご縁がないんだろう、としか思わないからです。
結果、最終的に合格した会社は100倍の競争率を勝ち抜いたものでした。

また別の女性はお母さんが病気になった時、仕事を辞め、家を引き払って実家に戻りました。以前、お父さんが亡くなった際の反省があったからです。
そして、1年の間、献身的にお母さんを看病し、余命宣告よりもずっと長く生きたお母さんを見送ることができました。
寂しさ、悲しさももちろんありますが、その一方で、やり切った充実感を彼女は感じていました。

ある男性は奥さんの「離婚したい」という言葉を受け、本気でこの妻のためにできることはないかと思案し、奥さんが納得するまで半年間その話を聴き続けました。
自戒、自省の意味も込めて、本当に辛い話、痛い話、苦しい話にじっと耳を傾けたのです。そして、自分がそれくらい妻を追い込んでしまっていたことを反省し、自分自身を見つめ直していました。
もうダメだろうと離婚を覚悟したとき、再び天地がひっくり返り、彼らは結婚27年目にして最高のロマンスを手に入れました。

今目の前にある問題に、どれくらい本気になれるのか?が後々とても大きな“結果”を招くと思っています。

「本気」って簡単に言えるのですが、これが実に難解な代物で、多くの場合「本気になったつもり」だったりするのです。

なぜかと言うと、本気になれたら問題は無くなるからです。

だから、問題がある、ということは、まだ本気に成り切れていない、と言えるのです。

なぜ、本気になったら問題が無くなるのか?

それはどのような結果が出ようとも、それを受け入れる覚悟が出来たから。

離婚問題を抱えた男性は始め「離婚は嫌だ」と思っていました。
世間体もあるし、この先一人で生きられる自信もないし、愛情もあるし、自分を変えるのも抵抗があるし。
だから、彼にとっては「離婚を回避できること」が目標でした。

しかし、それはあくまで自分個人の思いであって、妻の思いは全然考慮していなかったことに気が付きます。
つまり「離婚したくない」という思いは、今までと何ら変わらず妻を支配しようとする自分のエゴ、欲求、一方的な思いであることに気付いたのです。

だから、彼はそれを手放すことにしました。

妻の幸せを最優先にする、と。

だから、不満を反論せずに聴くことしか、今の自分にはできない、それしか、妻にしてあげられることはない、と気付き、奥さんの話に耳を傾け続けることができました。

もちろん、何度もくじけそうになりました。
そのたびに、自分の戒め、罪を償う、妻のため、自分の成長のため、と言い聞かして話を聴き続けたのです。

その瞬間その瞬間に本気度が問われていました。
そして、その瞬間その瞬間にもっと本気になっていったんです。

奥さんの気持ちが彼の方に再び向き始めたとき、彼はこんな話をしてくれました。
「根本さん。いつもだったらここで飛びついて、また私の思い通りにあいつを支配しようとして傷つけてしまうんですよね。それに気付きました。だから、あいつの態度が変わって来たとしても、今まで通り、離婚の覚悟をして、あいつを信頼して、向き合い続けようと思います。」

その言葉自体、彼がこの半年間で大きく変わった証拠でした。
50歳を過ぎても、こんなにも変われるのです。

その頃には「離婚になったら寂しいし、辛いし、こんなにも妻を愛していることに気付いたから本当に悲しいと思いますが、でも、その覚悟はできています。妻には幸せになって欲しいと思っています。」と穏やかに語ることが常になっていました。

結果、その本気が通じて、奥さんは離婚を撤回し、今までにないロマンス(それはもう見てるこっちが恥ずかしくなるくらいのいちゃいちゃぶりでしたが)を受け取ることができたのです。

奥さんが離婚を撤回した後も彼は慎重でしたし、謙虚でした。
結果的には彼の当初の思いは達成されましたが、その中身は想像していたものとは全然違うゴールだったのです。

どれくらい今の自分、今の問題に本気で向き合えるか?だと思うのです。

誰かのせいにしたり、自分を責めたり、あれこれ作戦を考えたり、分析したりしているうちはまだ本気に成り切れていないのかもしれません。
もちろん、それらも本気へのプロセスの一つですけれど。

覚悟が決まった人間って強いですよね。
本気で生きるってそういうことだと思うのです。

そして、私自身もかく在りたいと思い、日々、意識をしているのですが、なかなか難しいですね。
昨日こそはあまり飲まないでおこうと思ったのですが・・・(反省)。

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