信頼は裏切られることはない。



信頼する、とは、一見裏切りに見える行動も理解し、受け入れ、許すこと。
だから、裏切られることはありえないのです。
そして、誰かを信頼するためには自分自身を信頼することもまた大切なことです。

よく「信じていた人に裏切られた」という話を耳にします。
日本語としては確かに間違いはありません。

けれど、真実は本当に相手を信頼することができれば、それは裏切られることはないのです。

なぜならば、一見裏切り行為に見えることを相手がしたとしても、それを許容し、許すことができる状態もまた信頼の一部だからです。


ある奥さんは旦那さんのことを信頼していたのですが、浮気、という形で裏切られることになりました。
晴天の霹靂に始めの頃は嘆き悲しみ、恨み、怒りを感じていましたが、落ち着きを取り戻すに連れて「あの人がなぜ?」と考えるようになったのです。

彼は元々とても優しい人で、他人に迷惑をかけることは良しとしない人です。
誠実な人柄だし、裏切るようなことをする人には思えません。

「あの人も結局はそういう男だったのよ」と友達は言いました。
「あなたが甘やかしすぎたんじゃないの?調子に乗っちゃったのかしら」と実母は言いました。

実際、彼の態度も変わってしまっていました。
今までにない冷たい態度や顔つきで、彼女の気持ちは追いつめられていきます。

でも、彼女は「信頼」を続けることにしました。
ただ、彼を信頼するとは「彼は誠実な人だからきっといつかは目が覚める」と思うことではありません。

誠実な彼が取る行動なのだから、きっと何か意味があり、仕方のない事情があったんだろう、と思いやり、理解し、許容し、そして、許すことです。
信頼する、とは、とても積極的で前向きな行動なのです。

彼がここずっと仕事に追いつめられていて本当に余裕がなかったこと。
同時に彼女もまた自分の仕事がハードだったため、夫婦での時間がほとんど取れなかったこと。
子どもを作ることや将来のことについて二人の間にすれ違いが生じていたこと。
そして、思い返せば、彼からは幾度となく「俺たちこのままでいいのかな」という提案がなされてきたことを思い出しました。

優しい彼はきっと私の状態を思いやって何も言えなかったに違いない。
誠実な彼は今の状況を本当に苦しんでいるに違いない。

苦しく、将来が見えない不安の中に、彼に対して申し訳ない気持ちや、彼の苦しみを理解する思いが彼女に中に出てきました。
そうすると、彼女はそんな彼を助けてあげたい気持ちにもなってきたのです。

でも、具体的にできることはほとんどありません。
けれど、その時できることを彼女は一つ一つやっていきました。

冷たい顔をされても笑顔でいること。
食べてくれないかもしれないけれど、ご飯を心を込めて作ること。
同じように心を込めて洗濯や掃除をすること。
でも、頑張ってやっていると彼を苦しめることが分かったので楽しい気分でできるときだけやっていました。
また、いろいろな場に出かけ、新しい世界とも触れ合って行きました。
そうして、彼女自身も変わっていくのです。

その頃、彼女の中にはある確信が生まれています。
「彼の取る選択を支持しよう」

彼が今のままの生活を続けるのであれば、それがきっと彼のしたいことなのだろう。それを支持してあげよう。
もし、私のところに戻ってくるというのであれば、それを支持して受け入れよう。

結果はご想像の通りです。

彼は自分の弱さから傷つけてしまったこと、仕事のことで余裕がなくなり自分を見失っていたことを詫び、頭を下げてくれました。
そして、2人はやり直すことを決めました。

お互いをもっと大事にできる関係になるように、具体的に仕事や生活のことを話し合うようにしました。
仕事や家事の面での協力はもちろんですが、もっと深い精神的な面での話しができるようになりました。
問題を乗り越えることで、明らかに今まで以上に深い絆が生まれました。
お互いのプライドや犠牲をできるだけ排除して向かい合うことで、2人の間にまた新たな愛情が芽生えたのです。

きれいごとに聞こえるでしょうか?
彼は悪いことをしたのに罰せられてないのはおかしいと思うでしょうか?
彼女ばかりが我慢をして損だと感じるでしょうか?

それとも希望を感じるでしょうか。
信頼の意味を少しでも汲み取って頂けたでしょうか。

これはある女性の約半年間のプロセスです。
いいとこどりをしたのですが、彼女も初めから信頼ができていたわけでもないし、彼のことを100%受け入れていたわけでもありません。
友達に泣きついて絶望して、カウンセリングでもネガティブな発言ばかりしていた頃もありました。
けれど、そこで少しずつ立ち直り、彼女は信頼の意味を学んでいきました。

そして、結果的に旦那さんとやっていくことを決意するのですが、そこではもう一つ、こんな選択肢もあったのです。

「もし、彼が私を選ばないのであれば、潔く身を引く。きっと卒業の時期なんだろうから。そして、もっと素敵な人が私の前に現れる。」

彼を信頼することは、同時に自分を信頼することでもあります。
むしろ、自分への信頼が増すほどに、彼を信頼する力は強くなります。

自分を信頼=自信、です。

だから、彼女は彼を信頼すると同時に、自分の明るい未来を信頼していたのです。
彼とやっていっても私は幸せになれるし、彼じゃなくても私は幸せになれる・・・という自信を身に付けて行ったのです。

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