なぜあの人が嫌いなのか?~わたしはあの人に何を「投影」しているのだろう?~



嫌いな人って現れるもので、距離が置けるのであればそうした方がいいけど、それが難しい距離の相手なら自分の心と向き合うことをお勧めします。
というのも、その嫌いな人には自分の中にある嫌いな要素を投影していると考えられるからなのです。

根本先生、こんにちは。らんと申します。
いつもブログ、Voicyを楽しみにしています。ありがとうございます。
私は自営、アラフィフ、バツイチ(10年来のパートナーあり)です。
嫌いな人がいる場合、自分はどうすればいいか、教えてください。
私は仕事がそれほど出来ないのに「自分はできる」とアピールする人がとても嫌いです。
パートナーも自営で、同じような仕事をしているのですが、パートナーの周りにはそのような人が多く、私も仕事の関係上関わりがあり、イライラする事が多いです。
パートナーはその人達の事を受け入れられるようで、「パートナーから離れれば、その人達との関わりもなくなるので、別れようか」と思う時さえあります。
私は子供を育てるために、必死で働いて稼いできました。最近やっと仕事のペースを緩められるようになり、念願の畑仕事を始めました。
嫌いな人とは関わりたくないです。
どう気持ちを整えれば良いでしょうか。
(Mさん)

たぶん同じような思いを感じていらっしゃる方も多いんじゃないかなあ、と思うんです。
嫌いな人、苦手な人とどのように関わっていらっしゃいますか?

どうしても関わらなきゃいけないから我慢して仲良いふりをしてる方。
身近な人だとそうしなきゃいけない感じがしますよね。
同じチームで仕事している同僚。
ご近所さん。
習い事の仲間。
配偶者の家族。

一方、適当に距離を置いて付き合ってるって方。
関わりたくないから最低限の付き合いで、という感じで。

あるいは、そういう人は避けちゃう!関わらない!と決めてる方。
これができたら楽なのになあ、と思う方もいらっしゃるでしょう。

そういうご相談をいただいた場合、私がまずお聞きするのは「その人とどれくらい関わらなきゃいけないの?」です。

つまりはその人との距離感はどれくらいなんだろう?って思うのです。

Mさんの場合、「パートナーの周りにいる、仕事上の関わりのある人たち」ですよね?

同じような仕事をされてるということはけっこう絡みが多くて何かと顔を合わせたり、飯を食ったり、仕事をしたりするって感じなのでしょうか?

それがイヤでパートナーと別れたくなるくらいですから相当ストレスですよね。
逆に言えば、それくらい近い距離ってことなのかな?

嫌いな奴、苦手な奴が出てきたときに、もし距離を置いて関わらないようにできるのであれば、それをお勧めすることが多いです。

「夫の母と馬が合わなくてすごく苦手なんですー!年末年始は夫の実家に2泊くらいするのですが、それがほんとうに苦痛なんです。」

年の瀬が迫ってくると毎年のようにそのようなご相談を頂くんですけど、「どうしても帰られなきゃダメなの?」ってお聞きするんです。

「何か適当に理由をでっちあげて夫と子どもたちだけ夫の実家に行ってもらうことってできないの?だってお義母さんだって気を遣うし、息子と孫に会うのが目的でしょ?だとしたら妻は行かなくても問題ないんじゃない?」

そういう提案をすることが多いんですが、実際にそれをやってみたら意外と何も問題は起こらず、自分もおひとりさまの休日を楽しめるし、最高でしたっ!なんてご報告が多いんです。

「そういうことはしちゃダメ!」「そんなことできない!」という思い込みがあってやってないけど、やってみたら意外とすんなりいくことも多いものです。

職場の同僚にしても、仕事自体は独立していてそんな頻繁にかかわりを持たなくていいならできるだけ距離を取る努力をしよう!と提案します。

1対1になるシーンを減らすようにする、在宅を増やして顔を合わせないようにする、どうしても一緒に仕事しなきゃいけないときは“心頭滅却して”ビジネスライクに済ませる、みたいな感じで乗り切れないかなあ?ということを考えます。

中には直接やり取りをせずに後輩や上司を挟んでやり取りするようにした、という方もいらっしゃって、それで楽になるならいいですよね。

これもやっぱり「できない!」と思い込んでることも多く、やってみたら簡単に距離を置けて楽になった、ということもあります。

自立系なみなさまは「逃げるは恥」とか「敵前逃亡は死に値する」という武士道をお持ちの方も多いんですけど、逃げるときは逃げる!でいいんですよ。

ギリギリまで我慢してしまうあなたへ『逃げる技術』(徳間書店)
*セミナー動画:逃げる技術~今よりもっと自由で自分らしく生きられるスキルを習得する~

でも、どうしたって付き合わなきゃいけない相手もいますよね。

夫の実家が遠ければいいけど徒歩圏にあるとか同居してるとかであれば逃げ道を探すのはなかなか難しいものです。

チームで一緒に仕事していて協力し合わなきゃいけない相手とか、習い事の仲間で発表会に向けて一致団結しなきゃいけないとか、何ならパートナーそのものが苦手になってきた、けど、すぐには別れられないとか、自分の家族が嫌いで苦手で、みたいな場合。

そういう場合は腹をくくって向き合うことを推奨するわけです。

それだけ近い距離に苦手・嫌いな人が現れるってことはメッセージ性も強いわけでして、ここで無理やり距離をおいてもまた似たような人が現れるかもね?と思うからです。

そして、よくよく思い返してみれば過去にも似たような感じの人がいたなあ・・・ということに思い当たるかもしれません。

となると、近い距離に苦手、嫌いな人が現れるのは「自分自身の問題」として受け止めることをお勧めしたいのです。

それによって時には自分自身が大きく成長し、生きることそのものが楽に、楽しくなっていくんです。

逃げ切れるなら逃げてもいいけど、逃げ切れないなら向き合った方が結果的に早い!と思ってください。

こういう話を書いてる本。

*新書版『なぜ、あなたは他人の目が気になるのか?』(フォレスト出版)

「投影の法則」によれば、「嫌いな人ってのは自分自身の自己嫌悪を見せてくれている」と解釈するものです。

だから、カウンセラーからの質問は「その人のどんなところが嫌いなの?」なのです。

Mさんのお話を例に挙げましょう。

>私は仕事がそれほど出来ないのに「自分はできる」とアピールする人がとても嫌いです。

まあ、そういう人を好きだ、という人はあんまりいないと思うんですけど、もっとこの嫌いを見ていくと彼らの何がMさんの気に喰わないのでしょう?

・謙虚じゃないこと
・自慢しぃなところ
・自分のことをちゃんとわかってないこと
・強がっているところ
・身の程知らずなところ
・裸の王様なところ
・偉そうなところ
・上から目線で言ってくるところ
・自分ほど頑張ってないところ

などなどいろいろ出てくると思うのです。

つまり「わたしはあの人たちのこういうところが大嫌いです!」というところをより具体的にするってことです。

そこからこういう見方をします。

「わたしはその人そのものが嫌いなのではなく、その人の持つ○○という要素が嫌いなのです。」

つまり、「あの人の謙虚さがなく、たいした実績がないのに自慢ばかりしているところが嫌いです。」という風に解釈するのですね。

そして、「じゃあ、謙虚じゃないところが嫌いなんだろう?」と深堀っていきましょう。

でも、少なくともそこで分かるのは「自分は「謙虚でなければいけない」という観念(ビリーフ)を持っている」ということですね。

そこで「なぜ謙虚じゃなきゃいけないと思っているんだろう?」という視点を持つのもアリです。

そういう視点を持つことで“自分自身の”様々な歴史が掘り返されるかと思います。

・親が常々自慢するな、謙虚であれ、と言ってきた。
・親が何かと自慢してくる人で、それがすごくイヤだな、と感じていた。
・周りの人にマウントを取られることが多く、めちゃくちゃ気分を害してきた。
・自分自身が謙虚じゃない時代があって、そこで周りの人から叩かれた経験がある。
・学生時代に自慢してたら周りから笑われたことがあってすごく恥をかいた。

つまり、嫌いな人というのは大きく2つのパターンに別れるのです。

・その嫌いな人に、過去の嫌いな人を投影している。
・その嫌いな人に、自分自身の自己嫌悪を投影している。

両者は深いところではつながるのですが、ふつうはそれぞれ別に考えても差し支えはありません。

そして、それは「心の傷」の存在を示唆するものでもあります。

「今嫌いな人と過去に似た人がいて、その人のことも嫌いだった。やたら自己アピールをしてくる人で、大してデキもしないのにやたら自慢をしてきてすごくイヤな感じがした。その人から上から目線で見られてる気がして感じが悪かったし、自分を上げるためにわたしや他の人を下げて話をしていたので気分がすごく悪かった。」

これは自分の中(そして相手の中)の“競争心”が見える関係性ですけれど、そこでバカにされたように感じて傷ついちゃってる自分がいた、ということを表しています。

また、自己嫌悪というのは分かりやすく、心の傷そのものですね。

「学校でテストの点数を自慢してたら同級生から『え?その点数で喜んでんの?』ときつい一言を放たれてすごくそれで傷ついてしまった。それ以来、自慢することが怖くなってできなくなった。」

そういう経験があったら、目の前で自慢している人がいれば、過去の自分を思い出しちゃうわけです。

つまり、「嫌いな人がいる」というのは「そこに自分の心の傷がある」ということを表しており、かつ、その人が「大嫌い」な分だけ、「めっちゃ傷ついてる」ということが言えてしまうのです。

だとしたら、その傷に注目し、その傷を癒していくことをしてみませんか?というのが私からの提案になります。

さて、Mさんの話。もうひとつの情報から見ていくこともできます。

>私は子供を育てるために、必死で働いて稼いできました。最近やっと仕事のペースを緩められるようになり、念願の畑仕事を始めました。

これは素晴らしい成功体験だと思うんですよね。
シングルマザーとしてめちゃくちゃ必死に頑張ってわけで、それはぜひ自信にしていただきたいし、誇りに思っていただきたいと思うのです。

でも、その間の苦しみってなかなか壮絶だったんじゃないでしょうか?
並大抵の苦労じゃなかったと思うんですけどどうでしょうか?

もちろん、自分なりに、だと思いますが。

その間、「これだけ自分は必死に頑張っているのに、周りの人たちはそれをあまり分かってくれてない」なんて不満はありませんでしたか?

正直なところ「少なくともわたしの周りの人たちの誰よりも自分は努力したし、頑張ってきた」と思うところはありませんか?

もしかすると、「仕事がそれほど出来ないのに「自分はできる」とアピールする人」に対して、

「その程度で何自慢してんだよ?お前はたいして仕事できねえだろ?その程度で何アピールしてんだよ?わたしほど頑張ってないだろ?何偉そうにしてんだよ?ほんとうはわたしこそが“仕事できるアピール”をする資格があるんだよ!」

と怒ってる自分はいませんか?

あんまり認めたくない部分かもしれませんが。

これはシンママとして仕事をめちゃくちゃ頑張ってる自分、自分の時間や欲求を犠牲にして頑張ってきた証なのですが、その自分をどれくらい賞賛し、自信にしているのでしょうか?

たぶん、そうしたしんどさを共有したり、そこで頑張ったことを自慢したり、どれだけ大変な思いをしたかを訴えたりすることをMさんはしてないと思うのです。

そういうことは言うべきではないと、それってカッコ悪い、と思って禁止しているかもしれません。

つまり「自慢している自分」「大変さを訴える自分」を嫌い、禁止しているからこそ、それをする彼らにムカつくんですね。これも投影なわけです。

さらに、その一方で、それだけ頑張って努力してきた自分を誰かに認めてもらいたい、という承認欲求もきっとあると思うのです。

それが満たされてない(つまりは不満)とすると「お前らもっとわたしのことを認めろよ、賞賛しろよ」という気持ちが出てきても不思議ではありません。

ちょっとどろどろした心理でしょう?
けど、誰もが持ちうる気持ちなんですよ。

つまり、なんでその人が嫌いなのか?といえば「自分が禁止してること」や「自分が我慢してること」をやってるからなんです。これも投影ですね。

だから、こちらのケースでいえば、Mさんはもっと大げさに自分を褒めたたえる必要があり、自分の頑張りを承認した方がいいですし、もっともっと自分の偉大さを受け取った方がいいと言えるのです。

そうして「自分はめちゃくちゃ頑張って成功したぞ!すごいじゃん!めっちゃすごいよね!」ってニコニコしていられるようになると、その人たちへの嫌いな気持ちは落ち着いていきます。

そして、自己承認が進めば進むほど、それが投影されるので、その人たちも自分のことを認めてくれているように感じられるし、そうした言葉を引き出せるようになるのです。

これはちょっと不思議な体験として感じられるかもしれませんね。

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