現状に不満があっても心の中では、それが「ほど良い」状態なのかもしれない。~「今」を肯定して問題の本質に迫る方法~



ご相談をいただいて、いろいろと話を伺っていくと、「案外、今の状況が自分にとってほど良いのかもしれない」という思いに至ることがあります。
あいまいで、中途半端で、決められなくて、イライラしたり、焦ったり、不安になったりしているけれど、それが「ほど良い」状態であることを理解することで、確実に解決に向けて一歩前進するようです。

先日、こんなツイートをしてみまして、その後も「ほど良い」を訴えるカウンセリングがありましたので、もう少し深掘りしてみようと思いました。

例えば、個人セッションで、

Aさん。「そろそろ本命の彼と出会いたいと思ってるのに全然出会いがないんですよ!いつまでもあいまいな彼とずるずる関係を続けるのもそろそろ疲れてきたし!」

とか

Bさん。「仕事を辞めたいってずっと思ってるんですけどなかなか踏ん切りがつかないんです。でも、辞めた後にやりたいことも特に見つかっているわけではなく、中途半端なんです。そんな自分がすごく嫌で」

とか

Cさん。「いい加減、旦那さんを選ぶのか、離婚して彼と一緒になるのかを決めたいんです!けど、なかなか決め切れなくて。そんな優柔不断で宙ぶらりんな状態がしんどいんです」

とか

Dさん。「野良猫な既婚者の彼をこのまま追いかけていていいんでしょうか?もっと誠実できちんとした人を見つけて結婚した方がいいんでしょうか?」

とか

Eさん。「カウンセラーとしてちゃんと食っていけるようになりたいので自分なりに頑張っているつもりなんですけど、なかなか売り上げが伸びなくて。自分には才能がないんじゃないかと思って最近落ち込み気味なんです」

とか、、、とか、、、とか、、、。

とりあえず、そっとこの本を差し出して「読んで、実践してね」と言ってセッションを終えられたら楽なんですけど、目の前にいるのは武闘派女子ですから、そんなことしようもんなら私の命が危ないでしょ?なので、一応、お話はお伺いするわけです。

★でもとりあえず読んだ方がいいよ。楽になるよ。

『7日間で自分で決められる人になる』(サンマーク出版)

「今はどんな状況なの?」
「自分の本音としてはどうなの?」
「ほんとはどうしたいの?」

から始まって、時には「過去に何があったの?」とか「親との関係はどうだったの?」的な話に広がることが多いんですが、そうした話をお聞きしながら私の中では、

「なんでこの状態になっちゃんだろう?」

ということを理解しようとしていくんですね。

だって、どのケースにしても今の状況は嫌だし、不満だし、焦るし、不安になるし、自分のこと嫌いになっちゃいそうだし、人に迷惑かけてる場合(=罪悪感)もあるし、イライラするし、暴れたくなるし、地球を爆破したくなるじゃないですか・・・。

それなのに「その状況にとどまっている理由ってなんぞや?」ということを理解したいわけですね。

そのために「クライアントさんのキャラ」とか「人間関係・思考・感情のパターン」とか「トラウマ問題」とか「前科前歴」とかをあれこれ知りたくて、根掘り葉掘りお聞きするのです。

そうすると、「ああ、なるほどーーーーーーーー」と個人的に合点がいく背景が見えてくるんですね。

なんでそうなっちゃうのか?ってのが分かってくれば、この先どうすれば?も見えてくるわけで、まずは第一関門クリアです。

で、そのときに不思議なことに

「ああ、なるほどねー。今の状況はご本人としては不満かもしれないけど、案外、“ほど良い”のかもねー。つまり、あいまいな状態だったり、中途半端だったり、宙ぶらりんな状態が、今のあなたにとっては“ちょうどいい塩梅”なんですよねー」

と理解できることが多いんです。

ほど良い状態だから、その状態が長続きする・・・
今の自分にとってちょうど良い状況だから、そこにとどまり続ける・・・

けど、このセリフを伝えるときは非常に注意しないと武闘派女子の逆鱗に触れる可能性があるので、とても気を遣うんですね。

だって、本人は「この状況を何とかしたい!変えたい!何とかせえや、コラ!」って気持ちでセッションにいらっしゃっているのに、こともあろうにカウンセラーは「今の状態があなたにとってほど良いんですよー」とか言うわけですから、全然納得できないですよね?

「は?あんた、何言うてるの?ちょっと表出て話しようか?」とバッグの中のリボルバーに手をかけたクライアントさんも何名もいらっしゃいます。

なので、「ちょ、ちょ、ちょっと早まらないでください!」と焦りながらも私なりそれを説明させていただくわけです。

「Aさん、もしさ、今、目の前に白馬に乗った王子様が『ハアイ、Aちゃん!お待たせ~♪』って現れたらどうする?『よっしゃ!!』てガッツポーズして王子様を引きずり降ろして『もう逃がさんでー!うひひひひ!』って喜べる?できないでしょ?むしろ、その白馬を奪って逃げだすんじゃね?
だって、○○や△△みたいな体験してたらさー、親密になるの怖いもんねー。だとしたら、今のあいまいな関係ってのがほど良いんじゃねーの?」

「Bさん、今の職場って仕事は退屈かもしれないけど、人間関係も給与も福利厚生もいいんでしょう?そしたら、なかなかそれを捨てるのはリスクだよねー。でも、確かに仕事は面白くないから辞めたい、もっと血が沸く仕事がしたいって思うかもしれないけど、でも、話を聞いてたらそんな仕事に生きる人じゃないよね?
だとしたら、辞めたい、辞めてやるって思うことで、いい感じに自分の不満を抜いてるのかもしれないよ。そう思うことで自分を慰めてるって言うか。」

「Cさん、旦那さんは優しいけど男を感じられないんでしょ?けど、夫としては最高の人だよね?一方、彼は刺激的で危うくてドキドキさせてくれるからやっぱり離れられないよね?彼と別れて旦那さん一本なんて女として想像できないでしょ?でも、離婚して旦那さんを失うのって安定を失うってことだから怖いよね?
つまり、両方欲しいんだよね。夫も彼も。でも、それだと罪悪感も出てくるから、何とか一方に決めなきゃ!と思うんだけど、そうやって『決めなきゃいけないのに、まだ決められない』って迷ってる間ってどちらとも別れなくて済むのよね。だから、その状態にいることが今のCさんにとってはちょうどいいってことなんよね」

「Dさん、前の失恋がだいぶ尾を引いてるみたいだよね。そこからでしょ?男関係が変わったのって。また裏切られて傷つくことが怖い一方で、やっぱり恋もしたいから、ちょっと距離(障害)のある人がちょうどいいんじゃない?しかも、彼は野良猫なんでしょ?
ある意味、Dさんが主導権握ってるの分かる?自分から連絡しなきゃ彼は捕まらないし、向こうはDさんを束縛してこないし、ましてや結婚を迫られることもないし。
だから、ある意味、その彼を追いかけてるのって安全なんだよね」

「Eさん、安定してる今の仕事(収入)って捨てる覚悟できてる?それに、名前が売れてみんなに知られるのって怖くない?周りの人に嫉妬されるのはどう?それから、どこかええかっこして“スマートに売れたい”とか思ってない?泥臭くやるのは嫌だ、みたいなプライドとか。
いやいや、それは誰にでもあるものだから別にいいんよ。
でも、そういう前に出る恐れがあると、何をしようにも中途半端になっちゃうのよね。
才能は十分あると思うんだけど、それを表に出すのが怖いっていうか。
だから、案外、今の売れそうで売れないって状態がほど良くて、それを望んでる自分がいるのかもしれないよ」

そんな話をすると、初めは「えーっ!!そんなことないー!!」って反応をされるのですが、あれこれ説明していくと「確かにその通り、ぐうの音も出ねえ」と降参されるわけです。

「案外、今の状態が自分にとってほど良いのかもしれないね」

という意識で今の問題を見つめてみてください。
そうすると、嫌だけど、納得したくないけど、「確かになあ、その通りだなあ」という現実が見えてくるかもしれません。

もちろん、物語はそこでは終わりません。

「だからってどうせいっちゅうねん!このままいとけ!ってことですかい?」と皆さん、思われるわけです。

けれど、幸いいろいろとお話を聞いているので、それぞれに「今向き合うべき課題」が明確になっています。

Aさんにとっては親密感への怖れと向き合うこと。
Bさんにとっては今の会社に感謝し、ほんとにやりたいこと(ライフワーク)を見つけていくこと。
Cさんにとっては自分の性質を知り、その自分が幸せになれるパートナーシップ像をデザインし直すこと。
Dさんにとっては元カレをきちんと手放し、許すこと。
Eさんにとっては前に出る怖れと向き合い、カウンセラー業によりコミットしていくこと。

もちろん、これだけでなく、それぞれに親子関係やきょうだいやお金などの問題と向き合う必要があったりしますが、でも、明確な方向性は見つけられます。

つまり、現状を否定するのではなく「ほど良い」ということを受け入れることは、「自分が望んでこの状態を作っている」「すべての問題は自作自演」という話にも通じますね。

「いい出会いがないことがほんとの問題じゃねーんだよ。それよりも男と親密になることを怖れてる自分を何とかした方が早いんじゃね?」というわけですし、「会社を辞めるかどうかがほんとの問題じゃなくて、そもそも自分がやりたいことが見つかってないってことがほんとの問題じゃねーの?」ってわけです。

「今の状態は自分が望んでいるもので、ほど良いものなんだ」と受け入れることで、表面的な問題の裏にある本質的な問題に目を向けることができますから、結果的に、解決が早くなると思いますし、ほんとに自分が望むものが手に入ると思うんです。

もっと言えば、仮に今の状況でAさんに本命になりうる彼氏が登場したって、今のAさんではその関係をつぶしてしまう可能性が高いですし、Bさんが勢いで仕事を辞めたり、Cさんが旦那か彼のどちらかを無理やり選んだりしたらめちゃくちゃ後悔することになるだろうし、Dさんが既婚者の彼と無理に別れてもまた自分からよりを戻す可能性が高いし、Eさんが今の状況で売れちまったらそれを受け止められずに潰れちゃう可能性が高いと思うのです。

だから今の状態が「ほど良い」というわけです。

・・・ということで、皆さんも今、目の前にある問題を何とかしようとする前に、「なんだかんだ今のこの状態がほど良いのかもしれないなあ。嫌だけど」なんて思って見るといいかもしれません。

そうすることで案外、気持ちが楽になると思うんです。
そこから先は自分なりに考えてみてもいいし、カウンセラーとかに相談してみるのもアリだと思うわけです。

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もしかして今の状態は自分にとって「ほど良い」のかもしれない。


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