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昨日、個人セッションをしていましたらこんな話になりました。
「こんど退職して独立することを決めたのですが、その挨拶をするために役員のところを回ってるんです。軽く『あ、そう』って言ってくれたり、『がんばってな』と応援してくれる人もいるのですが、『絶対うまく行かない』とか『この2年、ろくな業績残してないのに』とかネチネチ言う人もいて、ものすごく疲れちゃいました。」
ライフワークをテーマにセミナーしたり、セッションしたりしているので、この手の話はよく耳にします。
勇気を出して夢に向かって一歩踏み出そう!とすると、その足を引っ張る存在が出てくるのです。
そういう人たちのことを「ドリームキラー」と言います。
あなたの夢をあの手この手で否定して夢をつぶそうとする人たちです。
以前もこの内容に軽く触れたのですが、改めてお話ししたいと思います。
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「やりたいことが見つかったので起業しようと思います!」
そう上司に告げると、彼は顔をしかめて言います。
「え?お前ごときが独立してやっていけると思っているのか?自分の実力を甘く見過ぎてないか?」
さらに続けて、
「会社を辞めて起業するなんて、どれほど大変なのか分かっているのか?うちの仕事だってまだちゃんとできないお前には無理だよ。それに家族だっているんだろ?ちゃんと支えていけるのか?奥さんや子供を路頭に迷わせる気か?」
そして、
「今までうちの会社がどれだけお前に金を掛けて来たか分かってるのか?それを裏切るのか?恩をあだで返すつもりだな」
とまで言ってきます。
その時に心の中で
「ああ、ほんとこういう上司の元にはいたくないもんな。だから辞めたくなるんだよ。独立することに決めてほんと良かったわ」
とか、
「やっていけるかどうかなんて、やってみなきゃ分からないじゃん。そもそも部長自身やったことないのになんでダメとか大変だとかって言えるんだよ。人から聞いた話でしょ」
とか、
「おぉ、これが噂に聞くドリームキラーか!すげえな、ほんとに存在するんだ。おもしろーい!!」
とか思える人ならいいんですけど、多くの人は起業することを決めたとしても不安で自信がありませんから、その言葉に思い切り揺さぶられます。
しかも、その人を信頼していたならなおさらですね。
「そんなに大変なの?ヤバい。どうしよう。そこまで考えてなかった」
「やっぱり僕の実力では無理なんだ。どうしよう」
などと思って、見事に夢を諦めてしまう人もいるかもしれません。
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ただ、この上司のように“あからさまに否定してくる”という場合は分かりやすいでしょう。
ところが、オトナな人たちはもっと巧妙にあなたの夢を殺しにやってくることがあります。
「そうか。独立することに決めたか。応援するよ。君ならやっていけると思う。もし、なんかあったら私に相談してくれ」
と始めは肯定的に受け止め、不安だった心を一瞬、解してくれます。
ところが、その後、
「でも、君も分かっていると思うが、この業界、一人でやっていくのはなかなか厳しいぞ。君は実務面では実力があるが、営業の経験などないだろ?ちゃんとお客さんを集められるのか正直、心配なんだ。」
と心配顔で語られます。
「以前、うちの会社を辞めて独立したAを知ってるだろ?君の先輩だったな。その後、どうなったか知ってるだろ?なかなか大変みたいだぞ。」
と知ってる人の情報を入れて来て、さらに動揺を煽ります。
「もちろん、私は君を応援しているし、止めようとは思わないけれど、正直言えば、独立するならあと3年はうちで頑張った方が確実だと思うんだ。それに、来期から始まる全社横断のプロジェクトに君を推薦しようと思っていたんだ。君が辞めるなら君のひとつ下のB君にするほかないな」
こんな風に言われたら、ものすごく揺さぶられますよね。
つい「そこまで私のことを考えて下さるんですね。ありがとうございます。先ほどの話はなかったことにしてくださいませんか」と言ってしまいそうです。
こういうタイプは「応援してる」「大丈夫だ」などと言いながら、一方で「心配している」というテイで、「無理だ、やめろ、諦めろ」というメッセージを送ってくるので、直接否定されるよりもずっと考えさせられます。
心を開いた後に入ってくる否定的な情報だからなおさらです。
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こうしたドリームキラーは身近なところに潜んでいる場合が多いのでめんどくさいですね。
職場はもちろんですが、家族がそうだったり、友達の中にいたりします。
信頼している人や大切な人に否定されるわけですから、精神的にもものすごく堪えます。
あなたがドMで、否定されればされるほど燃え上がるタイプならばいいんですけど、多くの人はその夢がどんどんしぼんでいくのを感じちゃうんじゃないかと思います。
ドリームキラーは何を感じているか?というとたいていの場合、「嫉妬」と「変化への怖れ」です。
嫉妬は分かりやすいですね。
「俺も独立したかったんだよ。でも、勇気がなくてできなかったんだよ。それなのにお前はやるのか?いいよなあ」って。
そして、もう一つの「変化への怖れ」というのは、今までと環境、状況が変わってしまうことを怖れることです。
分かりやすいのは独立起業することを奥さんに相談したら「大丈夫なの?私たちはちゃんと生活していけるの?今の安定した生活を捨ててまでやりたいことなの?失敗したらどうするの?」と矢継ぎ早に言われるようなケースです。
また、学生時代からの友人たちと集まって飲んでるときに「俺、今度、会社辞めて起業しようと思ってるんだ」と一人の友人が言い出したら、心がざわつくこと、想像できますか?
こいつは社長になるんだ・・・俺は何もしてない・・・俺らの関係も変わっちゃうのかな・・・どうなるのだろう?などと不安に思ったり、焦りだしたりするので、つい否定的なことを言っちゃうのです。
でも、本当に心配してくれる人は、その人がうまく行くように人を紹介してくれたり、情報を提供してくれるはずですよね。
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ドリームキラーの出現は、投影の法則を使うならば、内なる怖れや否定的感情の存在を示唆しています。
不安だったり、自信がなかったりするところに、その感情を引き受けて表現してくれる人が現れるのです。
その否定の度合いが強ければ強いほど、実は自分自身がその夢に不安を怖れを持っていることを教えてくれるでしょう。
なので、自分がより夢に向かって決意を固めるために彼らは協力してくれるのです。
これも一種の「神様のテスト」みたいなものですね。
だから、否定されたり、ぐらついたりしたら、より夢を実現するためにコミットするチャンスです。
人に会って相談したり、情報を集めたりして、できることをやっていきます。
そして、その夢に向かう気持ちを高めていくのです。
不安や怖れが強いときは、肯定的な発言をする人よりも、否定的な発言をする人の方を信じやすいものですが、それを知っていれば、意識的に肯定的に応援してくれる人に会う機会を増やしましょう。
そういう意味では、ドリームキラーというのは、飛行機が飛び立つときに必要とする向かい風のような存在ですね。
あなたをより覚悟させてくれる存在なのです。
そして、あなたがその夢に向かって変化することを「決めた」瞬間から、そうした存在は自然と姿を消していきます。
それどころか、応援してくれる人とばかり出会うようになりますし、それまでドリームキラーだった存在がサポーターに変化することもよくあります。
そもそもドリームキラーに潰される程度の夢であれば、ほんとうの夢ではないのかもしれません。
もっと本気で夢を追いかけろ!!という叱咤激励として、彼らの言葉を受け止めることができれば最高ですね。
私ももうあまり覚えていないのですが、ドリームキラーに出会ったことがあります。
けれど、頑固なのかワガママなのか分かりませんが、むしろ決意が高められました。
また、私自身がドリームキラーになっちゃったことも実はあるんです。それは未熟だったなあ、と反省しています。
ちなみに今の私のスタンスは「会社辞めて独立する」と聞いたら「おぉ、いいじゃん。よかったじゃん。楽しみだね~」と言い、「やっぱり会社に残ることにした」と聞いたら「そっかー。良かったじゃん。」と言うことが多いです。
自分の人生ですから、自分で決めるのが一番。
ドリームキラーに潰されたとしても、その選択をしているのは自分自身ですから、それもまた良いことだと思うのです。
チャンスは何度も来ますからね。その上司が言うように3年後にまた考えてもいいですし、何よりも「今、自分がどうしたいか?」が大事ですよね。
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