根本流「仕事の心理学」。自分に合う仕事とは?



こうあるべき姿を手放すと、自分に合う世界が見えてくるものです。
チームでの作業が苦手なのは悪いことでも何でもなく職人だからかもしれません。
自分に合う感覚を見つけ出すと、それに合う仕事にも巡り合えるようになります。

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日々、根本さんのブログの更新心待ちにしております。
経験も状況も全く違うのに、皆さんのリクエストに深く共感します。
そして根本さんの回答は、まるで自分に言われてるように腑に落ちます。
ありがとうございます。

「仕事の心理学」について、今一度ご教授願いたいです。
私はほんの小さな子供の頃から、仕事というものに執着があるのですが、まったく上手く行きません(笑)
転職回数が多く、これと言った職能もありません。
高校生の頃からバイトを掛け持ちしたりして働いて来ましたが、その頃からミスが多く本能的に「自分は仕事が出来ない」と思いました。
だから尚更、危機感と執着があるのかもしれません。
仕事以外のことだとリラックスしているせいか、あまり苦労をした記憶がありません(恋愛など)
しかしこと仕事が絡むと、常に緊張状態で萎縮します。

人と協力して仕事をすることが向いてないのか、チームから外されて単体業務(仕事を無理矢理作って貰ってる?)をさせられることが多く、ショックを受けつつも1人になると気が楽になり頑張れるので、何か1人でやれる仕事を出来ないかと少しずつそっち方向に動いてるところです。
なんとかそっちの方向で邁進出来ればと思っているのですが、あまり進んでいません。

元々、非常に拘りの強いタイプだと思います。でもそれだと生きずらいと学習したのか「とりあえず」とか「こんなもんだろ」という手抜きのような感覚がすっかり染み付いてしまって、いざ自分の頭や感情で判断して進んで行こうとすると、今自分の手元にあるものが全て中途半端で価値のないものに思えてしまいます。
本音としては…とことん拘ってみたい気がします。が、上記の経験もあり止まってしまってるのかもしれません。
「いいかげん」になって確かにずいぶん楽になりましたし…。

このまま年をとりたくありません。
少しは納得して生きて行きたいです。
しかしその「納得」を求めて行くと究極のところ「ゼロ」になってしまう感覚がいつも漠然とあります。
何も無意味だし、何も価値がないと…。
頭でっかちな学生のようでなんともお恥ずかしいのですが、いつかお言葉頂けたら幸いです。
(Yさん)
***

自分に合う仕事を見つけるのはなかなか難しいようで、仕事に関するご相談をお聞きするたびに、「こっちの方がいいんじゃない?向いてると思うけど?」「え?そんなこと考えたこともありませんでした」なんて会話を良くしています。
Yさんももしかするとそうなのかもしれないですね。

例えば、人に気を遣いすぎる人って人疲れするので淡々とこなせる事務作業に落ち着く傾向があるのですが、それが喜びであればいいんですが、本来人が好きな方でしたら相も変らぬ同じメンバーで顔を突き合わせながらルーティンをこなすのはなかなか苦しいものがあります。
でも、働かなければと我慢して仕事しているうちに思考停止・感情停止になってロボット化するか、気が病んで離職を考えるようになるわけですね。
人に気を使いすぎるって言うと悪い響きですが、それは人の気持ちがわかる人、配慮ができる人、相手の心の繊細な動きをキャッチできる人ってことで、案外接客に向いていたりするんです。
しかも、じっくりと相手と話ができる、例えば高額商品だったり、継続的なサポートが求められる契約ものだったり。
で、そんな話をすると「そんなこと考えたこともなかった」という常套句が飛び出すわけですね。

もともとこだわりが強いYさんのようなタイプというのは、職人系か芸術系かは分かりませんが、感性でお仕事をするのが向いてる方が多いように思います。
職人ってことは例えば料理人や美容関係のようにあちこちの店で修業を積んでいずれは独立することを目指す人が多いんですが、見方を変えれば数年で店を変えるわけで「転職が多い人」に見えちゃうんです。
もちろん、Yさんに手に職をつけろって言ってるわけではなく、生き方の筋がそっち方面だから、自分がしてもしなくてもいいような作業をするのには向いてないと思うんです。
つまり、それだけ「仕事人間」の素養があるってことですね。

そんな職人気質のYさんが「いいかげん」という技を身に着けてしまうと、どうしたって仕事に精が出ないし、不向きな職場ばかりと出会うのも無理のないことでしょう。

私はかつて大企業でサラリーマンとしてSEをしてました。
当初からあまり向いてる感じはしながったのですが、タイプの違う10歳上の2人の先輩と一緒に仕事をさせていただいたおかげで、はっきりと無理だなあ、と悟りました。
仕事のスタイルや考え方が2人ともとてもしっかりされていて今でも尊敬しています。でも、逆に自分には「そんな生き方は向いてない」とはっきりと諭される結果となりました。
それにそもそも有給制度、固定給、賞与、時間の拘束等、サラリーマンとしては当たり前に受け入れるべきシステムに納得がいかなかったのですね(笑)

それで当初から興味を持っていた心理学の世界にどっぷりハマり込み、仕事をさせてもらえるようになりました。
スケジュールが自由に決められ、自己責任で、インセンティブで、かつ、私の好きな企画の仕事もたくさんあって。
ところが、その仕事も10年以上携わっていたら、かつては喜びでもあった組織体系が逆に窮屈に感じられるようになって、この春フリーになってしまいました(笑)

で、Yさんはそんなある種の“社会不適格者”に「仕事はどうしたらいいでしょう?」って相談されてるわけですから、その回答もそれなりに社会から逸脱したものになり得ることを想定してくださいね(笑)

で、私の場合は今のところ結果的に父や母のように小さいけれども一国一城主になってしまったのですから、仕事と親子関係というものはやはり切っても切れないものがあるんじゃないかと思います。

Yさんのご両親、特にお父さんとの関係はいかがでしょうか?

カウンセリングの王道としては「仕事=お父さん」とみる向きがありまして、お父さんとの関係があまりよろしくないと、仕事、お金の問題を抱えやすいと見ます。
私ももともと父とは疎遠でしたから、特に20代は仕事については深く懊悩しておりました。
お金の問題も昨今までずっと付きまとっていたのも、ひとえに両親との関係に起因しておりました。

たいていの家ではお父さん(お母さん)が仕事をしてお金を稼いできたと思います。その管理も当然お母さん(お父さん)がされていたと思います。
だから、仕事、お金とお父さん(お母さん)との関係というのはとても深い縁があるんですね。

もし、問題があるとすれば、実際に親とどうこうするのではなく(してもいいけれど)、内面的な面での許し、手放しなどが有効な解決手段になることも少なくありません。

お父さんのこと、感謝していますか?愛していますか?
お母さんのこと、尊敬していますか?許せていますか?

その点に意識を向けてみるのも悪くないと思います。

特に仕事以外では緊張しないのに・・・ということであるならば、なおさらここはポイントになるかもしれません。

さて、こういう話をすると仕事の斡旋関係のお仕事をされてる方、ずっと真面目に仕事を勤め上げてこられた方には怒られてしまうのかもしれませんが、「自分の肌に合う仕事、職場」は必ず存在していると思っています。
それこそパートナーシップと同じです。
続かない、できない、のは、自分が悪いのではなく、合わない、と考えるのが良いと思っています。
下戸なのに、無理に酒を飲んで体を壊すのはおかしな話ですよね?
仕事も同じで、ほかの人が当たり前にしていることでも、自分に合わなければできないんです。
もちろん、ミスやトラブルを起こして辞めざるを得ない場合もあれば、人間的に合わない上司と巡り合ったりすることも同じことです。

ならば、自分に合うものは何なのかを探し求めていくのが大事なことだと思うのです。

自分に合うもの、というのは、自分の好きなもの、です。
自分が喜びを感じられるもの、うれしいと思えるもの、もし、10億円の貯金があったとしても続けたいと思うもの、です。

そして、それは「営業」「販売」「エンジニア」などの“職種”ではありません。
「人に会うことが好き」「話が好き」「人の役に立つのが好き」「じっとしているよりも動くのが好き」「数字が励みになる」などの“要素”がある人は「営業」にフィットしやすいんですね。
私は企画が好きで、人に会うのが好きで、しゃべりが好きで、人の笑顔が好きで、目に見えないものに興味があって、自由が好きで、旅人で・・・という“要素”を一番満たしてくれるのが今の仕事であり、今の仕事のスタイルなのですね。
だから、それらの“要素”を満たす別の仕事があれば、そっちに乗り変えちゃうこともあり得るんです。

そうして、自分自身の好きなもの、自分の心と深く会話していくと「やっぱりこういう生き方がいいよなあ~」というものが見えてきます。
それが「ライフワーク」だと思っています。

さて、Yさんのケース。

>仕事以外のことだとリラックスしているせいか、あまり苦労をした記憶がありません(恋愛など)

ということですから、おそらく自分に合う仕事を見つけられた際は、
「仕事って意識があまりないんですよ」
「こういうことでお金をいただくってちょっと意外な感じがします」
っておっしゃるようになると思います(笑)

>人と協力して仕事をすることが向いてないのか、チームから外されて単体業務(仕事を無理矢理作って貰ってる?)をさせられることが多く、ショックを受けつつも1人になると気が楽になり頑張れるので、何か1人でやれる仕事を出来ないかと少しずつそっち方向に動いてるところです。

ということは、私のように何か一人で完結するようなお仕事が向いているのかもしれませんね。
職人はなかなか人と共同作業をするのが苦手ですものね。

そんな風に「周りの人と比べる」「社会の常識に自分を合わせる」というところを一旦手放して、そうした経験が教えてくれる「自分自身の姿」を模索して、その「自分自身」が生かせる環境を探す、創ることをお勧めしたいと思います。

そうして、自分の感覚を知っていくと、不思議なことに、それを満たす仕事に出会えたりするんです。
その時は「あ、こんな仕事があったんだ」なんて感じを得られるかと思います。

あまり実利的なアドバイスではないかもしれませんが、本日も長文にお付き合いくださってありがとうございました。

※ちなみにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、今日の文体がいつもと違うのはこの記事を書くまで小説を読んでいたせいです。
私、文章に関してはとても影響を受けやすいもので。

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