トンネルが苦手なのである。



福岡の講座の打ち上げで苦手なものの話になった。
・・・というか「ねむねむはトンネルが嫌いなんだよね?」と話を振られたので、苦手なものについて熱く語ってきたのである。

私は苦手なものについても事細かに詳細に語るタイプのため、話が興じるにつけ「ねむねむはメンドクサイ奴」との印象を与えるらしい。
「こだわりの男ってことやん?」と思うのだが、その主張は軽くスルーされるのである。


さて、トンネルや地下は閉じ込められるような気がしてとても苦手である。
過去生で生き埋めになったことがあるんじゃないかと思うくらい、乗り物に乗っていてもあまりいい気分はしない。
ましてや自らの足で歩こうなんて気はさらさらしないので、電気が煌々と明るい地下街もできれば避けて通りたいのが本心である。

当然、地下鉄も好きではないのでできるだけ地上を走る電車やバスを選ぶ。
最近、東京の電車は地下鉄に限らずとても深いところを走っていることが多く、乗らなければいけない際は感情のスイッチをオフにせざるを得ない。
しかも、大井町のりんかい線始め、あの地下にひたすら降りて行く長いエスカレータにも絶望に似た感覚を覚えてしまうのである。

実はうちの受講生に二人ほど地下鉄の運転士や車掌がいる。思わず尊敬し、「よくできるよね。怖くない?変なの目撃したりしない?」などと矢継ぎ早に質問をしてしまった。
子どもみたいだが、そもそも暗闇が怖く、窓からの景色を眺め、ここはどこなのだろう?ここで生活したらどんな日常になるんだろう?と想像を膨らませるのが好きなのである。

そう、受講生と言えばかつて2人ほど海上自衛隊で潜水艦乗りがいた。
一度訓練に出ると2か月ほどは潜りっぱなしの生活が続くこともあると聞き、尊敬を通り越して、神を見る目をしてしまったと思う。
私にとってはナンボ金を積まれようと経験したくない生活である。

また当然、地下通路を通るよりも歩道橋を愛するタイプであるが、ただ、トンネルが嫌い以上にイラチな性格ゆえ、横断歩道で信号を待つくらいならば、少々嫌な思いをしても地下通路を選ぶことが多い。その点、自分もメンドクサイ性格だと思う。

新幹線(トンネル)山陽新幹線はその多くがトンネルの中を走る。
最近は広島くらいまでは電波が通じるようになってきたのだが、基本、トンネルの中では携帯が繋がらず、それでイライラしてしまうことも多い(大抵、送りたいメールが書き上がった時はトンネルの中を走っている)。

そもそも窓からの景色を眺め、旅気分を味わい、ほけーっとするのが出張族にとっては安らぎのひと時である。窓際の席を選ぶのは景色を楽しみたいからに他ならず、美しい初冬の山々や靄に煙る田畑などの景色に見とれているといきなり目の前が暗転し、良く知ってる顔が窓に映し出される際には少々辟易する。

とはいえ、トンネルを作るのは並大抵の苦労ではなかろう。
新大阪と新神戸の間には14kmに渡る大トンネルがある。その他無数のトンネルを通って博多との間を行き来するのだが、これを掘ってくれた作業員だって無数にいるのである。
文句ばかり言ってては始まらないので、最近はトンネルが嫌だと思った瞬間に、これを掘ってくれた人たちに、管理維持するJR西日本の作業員たちに、そして、勇猛果敢にそのトンネルに突っ込んでいく運転士に、感謝の思いを捧げることにしている。

その点、飛行機は地下に潜る必要がないので素敵な乗り物である。
窓からの景色は晴れていれば最高で、ひたすら、窓に顔を貼り付けていることも多かった。
評判があまり良くないプロペラ機はジェットに比べれば低高度を飛ぶ。それゆえ、景色は抜群に美しく、幾度となく瀬戸内海に輝く海と島々の景色に感嘆の声を上げたものである。
ただ、便数に限りがあって自由が利かないので、昨年来、私は気楽な新幹線ユーザーになってしまったのであるが。

うちの奥さんは海外にしょっちゅう行ってたくせにその飛行機が怖いという。
私は飛行機は全然怖くないのであるが、観覧車は怖い。
梅田のスカイビルからの景色は大好きなのだが、観覧車はどうしても好きになれない。

淡路島に大観覧車があり、それを見るたび娘は乗りたがり、娘の前では強がる父親は大量の汗を手にびっちりかいて周ってくるのである。
高所が怖い、というよりも、狭い空間に閉じ込められ、自由が利かないのがどうも嫌いなようである。

そう思えば、トンネルも出入りを制限された閉じた空間である。
なるほど、私は自由に動き回れないことに不快を感じるのか。
やはり過去生で自由を奪われ、苦痛を享受した歴史があるのだろうか。

そんなことを考えている最中も山陽新幹線は山口県内のトンネルをひた走っている。
運転士と作業員に感謝をすでに3回ほど捧げているのだがまだ世界は開かれない。

東京から福岡に向かう早朝の飛行機からの眺め。
まるで羽の上から出てくるような日の出がとても美しい。
そして、厳粛なまでの美しさを湛える富士山。霊峰という意味がよく分かる。

ご来光 富士山(上空)

新幹線も負けてはいない。やはりここから眺める富士山もまた息をのむほどに美しく、雄大である。
富士山(新幹線)

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