「奴隷体質?」



昨今、大阪にいるときは、現代風を装い、少々イクメン・モードにスケジュールを立てている。そのため、朝早く起きて娘の相手をしたり、家事を手伝ったり、夕方も4時には帰ってきて娘の宿題に付き合ったり、息子を風呂に入れたりする生活を送っている。

2ヶ月も入院し、少し高齢で出産しているためか、妻の体調は思うようには回復していない。その上での育児は過酷ではあるのだが、幸い、2ヶ月半になる息子は、すでにたくさんの親孝行をしてくれている。

娘のときは夜、3時間連続して眠れたことなど無かったはずなのだが、息子は一転、ぐっすり5,6時間も寝てくれることが多いのである。


「ちゃんと分かってるのよね。あたしがしんどいときには一緒にがーがー寝てくれて、さあ、動こう!と元気になると、むにゅむにゅ動き出すんだから」

やはり、きちんと繋がっているんだろうな、と思う。

私も時々ミルクをあげるし、抱っこもするのだが、やはり、ママが来ると何となく様子が違う。嬉しそうに見える。また、誰に似たのか娘が鬱陶しいくらいのぶちゅー攻撃を仕掛けるのも、息子としては嬉しそうなのである。

やはり、誰、というのは認識しているのかもしれない。

さて、そんな、ある日のことである。
さっきまでご機嫌よくしていた息子がぐずりだしたのである。「はいはいはい」と近づいて抱っこし、「どうしたん?」などと話しかけて抱っこし、ソファに腰掛けたのである。が、ちっとも泣き止まない。
横抱きはあまり好まないらしく、ずっと縦抱きをしてるのに、ちっとも泣き止まない。
そこで、ソファから立ち上がって、よしよし、と抱っこをするのだが、やはり泣き止まないのである。

そこで、抱っこしながら部屋をうろちょろ、廊下に出て玄関や寝室の方までうろちょろすると、すっと泣き止んで目をぱっちり開けている。

良かった良かったと思って椅子に座ると、やっぱり泣き始め、ベッドに寝かそうものなら号泣へと変わるのである。
そこで、やっぱり立ち上がって、あちこちうろちょろすると、ふっと泣き止むのである。

やはり、誰、というのは認識しているのかもしれない。

「こいつは、抱っこしてどこかに連れて行ってくれる都合のいい奴だ」

とか認識されてるに違いないと、ふと、気付いた。

以来、ママが抱っこするとそこまででもないのに、私が抱っこすると、「はよ、動け」との命令をするが如く泣き出すようになったのである。

そもそも私もじっとしているのが好きな性質ではないし、また、6kgを越えた程度の乳児を少々抱いて疲れるほどの筋肉でもない。

性(さが)なんだろうなあ・・・

まだ明るい外を眺めながら、ふと、そう悟ったのである。

さて、相変わらず娘の要求レベルは高い。
最近は朝起きれば「抱っこしてリビングに連れて行って」とねだり、寝る前には「歯磨き、1人でできない。もう歩けない」と仕事中の私を訪ねてくる。

当然、「リビングくらい1人で行け!」とか「もう小学生なんだから1人で歯磨きくらいせい!」と叱ることなどできないので、抱っこしてリビングに行き、抱っこして洗面所に向かい、仕上げ磨きをするのである。

しかも、最近の娘はパパに対して非常に厳しい。
あるとき、洗濯物をたたんでいるとベッドに寝ていた息子が泣き出したことがあった。始め娘は「ハルキ泣いてるよ。抱っこしてあげたら。」と言ってたのだが、「今パパ洗濯物たたんでるし、ちょっとは運動させようよ。」と言うと、いきなり厳しい顔になって「ハルキと洗濯物とどっちが大切なの?」ときつく言い放つのである。
それはキッチンで夕食を作っていた妻が思わず「怖っ」と思うくらいのインパクトがあったらしい。

一方、私は、その程度のことは頻繁に言われてるので、慣れている。

他にも、何だかんだ、正論をぶつけてくることも多くなり、なんだこいつ怖いな、と思うことも多い。ま、既に口では勝てないかもしれない、と思うくらいのしゃべりである。

性(さが)なんだろう、と思うことにした。

どうも私には奴隷体質が染み付いているようである。
そもそもワーカホリックな人間であるからして無理も無い。

しかし、娘に対してもだけでなく、2ヵ月半の乳児にまでそのような扱いを受けるとは・・・どうかと思うのである。

しかも、奴はライバルであり、数年後には雌雄を決する必要があると踏んでいたのであるが、既に完敗ではないか。

とりあえず、寝る前にミルクをあげてくれ、という総元締めからの指令をもらっていたので、今からその準備に取り掛かろうと思うのだが、やはりそれも・・・。

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