温泉とラーメンで無為の人となる。



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かねてからの計画(陰謀)により、「特急くろしお」に乗って和歌山へ行ってきた。
実は和歌山へはわざわざ特急を使わなくても紀州路快速の方が安いのであるが、敢えて特急を選択する理由は「旅気分を満喫するため」に尽きる。休日をそれらしく演出するには旅気分は欠かせないアイテムである。
さらにこの気分を高めるためには「新大阪駅で缶ビールを購入する」というオプションもあるのだが、実は今日の私は丸一日の断食明けであったため体がアルコールを欲していなかった。そもそもその状態でアルコールを投入することでとんでもないことになる可能性があり、なんとなく残念な気持ちで新大阪を経ったのである。

さて、1時間も特急に揺られたら和歌山に着く。駅は東口に出て退屈そうにしてるタクシーの運ちゃんを呼び止めて「花山温泉へ」と告げる。

ものの10分で到着である。
実は数週間前、妻と一緒に訪れたところ、なんと定休日にぶち当たり、車内で呆然とした記憶はいまだ生々しい。
若干のトラウマを感じつつ到着すると、無事、本日は営業しており、リベンジは果たされた。

さて、この花山温泉であるが、たいへん私と相性がいい。
この茶褐色の名湯に浸かっていると不思議と様々なインスピレーションが訪れ、アイデアが滾々と湧き出してくるのである。もちろん、元気にもなるし、やる気も充填される。
だから年に幾度か、オーバーホールするつもりでこの湯を訪れる。

40℃の熱めのお湯で身体を温めた後は、38℃のぬるめのお湯に体を浸す。いつまでも入ってられるくらいゆるいお湯で、ここに10分も浸かっていると徐々に脳が溶け出すのが分かる。
汗をかくくらいになったら露天風呂に顔を出す。
なんでか分からないのだが、ここの露天風呂に浸かって空を眺めていると、天国にいるような気持になるのである。
そして、汗を思い切りかいたあとは26℃の源泉に浸かる。ここで冷やして気を絞めるといい感じに出来上がるのである。
この温冷入浴のサイクルを3回くらい繰り返すうちに、私は一個人となって恥も外聞もなくなり、自分の世界に入り込むようになり、同時に陽気なお兄ちゃんとなって近くの人に話しかけたりする。
まあ、酒に酔った状態とあまり変わらなくなるのである。
だいたいこの辺になると地元のおっちゃんやおじいちゃんと露天風呂やぬる湯あたりで話しかけ、意外に面白い話を聞けることも多い。

1時間半ほどこの名湯にお世話になれば、もうすっかり完成する。

いつもであればタクシーを駅前の多田屋さんに向け、さらなる無為の人へと成り果てるのであるが、断食明け故、酒はあまり求めておらぬ。
ふらふらと駅周辺を気分よく徘徊するうちに、和歌山に来たのだからと和歌山ラーメンの暖簾をくぐった。

こうしてすっかり出来上がって家に帰れば、家族からは「お肌がつるつる」「憑き物が落ちた見たい」「ピンと張ってたものが抜けてる」と上々の評価であった。

やはりこうして時に旅をかけて世俗の垢を落としてみるのも重要である。

とりあえずはまた2月にでも訪れようと思う。
寒い時期ではあるが、温暖な和歌山はきっとホッコリさせてくれると思うからである。


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