お母さんみたいにならないように必死に勉強して頑張ってきたのに・・・。(1/2)



心理学の法則に「絶対ああなりたくないはああなってしまう法則」があります。
「反面教師」は実は「マザコン・ファザコン」と同義語です。
でも、それを許して感謝に変えると、恩恵がいっぱいになるのです。

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はじめまして。
30代、既婚、息子2歳、のYと申します。

幼い頃から家族仲が悪く(母と祖母)、長女として親の過干渉、親の悪口のはけ口となることに耐え続け、人に自分を出せない、人を全く信用できない、自分がすべて悪い、と思いこむ癖が骨身にしみついてしまいました。

自分が生きづらいのは何故かなんて疑問すら、今までは持ちませんでしたが、私をすべて受け入れてくれる主人に出会い、何年もかかってここが居場所だと思う感覚を初めて味わえ、結婚を機に実家から出たことで、少しずつ私はなぜこのように生き辛いんだろうかと思えるようになりました。
いくつかカウンセリングやセミナーに出るなかで、根本先生の本やblogにたどりつき、こういうことだったのかと、自分の今まで押し込めていた気持ちに少しずつ気づき、それがパズルピースのように当てはまっていって、泣きながらバックナンバーを読みあさる日々です。

今回ご相談したいことは、息子とのことです。
小さいときから母のようになりたくない、絶対にならない!と心に深く決意しながら育ったので、母とは違う子育ての方法を知りたいと思い(先生になりたいというあこがれより…動機としてひどいですよね)、教育大学に進み、死ぬ気で勉強し、保育士、幼稚園教諭、小学校、中学校、高校教諭すべての資格をとりました。(保育士は教育大学在学中に通信教育を併用してとりました)
幼稚園、保育園の現場での10年の経験を経て、自分がこれだと思う子どもへの向き合い方が分かってきたので、ようやく自分の子どもをもつことに自信がつき、現在に至ります。

毎日、息子にたっぷり愛情をそそいで、認め、許していく。可愛くてしょうがなかったです。もちろん小さい問題はしょっちゅうでしたが、ゆっくり冷静に何度も繰り返し伝える。充実した毎日で、何ら問題なく、夫もできる限り子育て協力してくれるのもあって、周りからも羨んでもらえるほど、穏やかな家族でした。母の嫌な流れを私は断ち切ったんだ!と晴れ晴れした自信さえありました。

ところが、それもつかの間。
イヤイヤ期に突入し、自分の知っていることをすべてやってみてもうまくいかないということが増えました。
もちろん、そんな時期みんなあるし、2歳児クラスを何年も担任していたので、だいたいのことは分かっているつもりです。
私を否定されているわけではない、この子の成長過程、怒りたくない、癇癪を出したら負け、母と同じことを繰り返してもいいのか!などと頭のなかでぐるぐる考えながら、もうすべてが限界となると、母のようにヒステリックに対応してしまう。そしてそのあとの罪悪感がひどく、自分をとことん悪者にして、責め続けてしまいます。

そうしているうちに、「Yの子育ては間違っている」と、母からメールがあり、「Yは息子を縛りすぎている、可哀想だ」などと書かれていて、今まで溜めに溜め込んだ怒りが大爆発しました。
「誰のせいで私がこんなに辛く苦しい日々を過ごしてきたと思っている!」と啖呵を切り母を罵倒し、涙も声も渇れるほど何時間もわめき散らして…
もう身体中の力が抜けて、頭はガンガン、手足はガクガク。こんな状態で子育てできないからと、主人が息子を母のところへ連れていき…
息子と離れてもう3日たちます。
産まれた日から1日も誰かに預けたりしたことがなかったので、そのショックもあるし、
少しずつ少しずつ築いてきた、子どもを育てることへの自信も、子どもを通じて生まれてくる初めての自分を認める感覚も、すべて音をたてて崩れ去った気がします。

こんな私ですが、まだ手だてはあるのでしょうか?
ぜひ教えていただきたいので、blogで取り上げていただけると嬉しく思います。
どうぞ宜しくお願いします。
(Yさん)
***

カウンセラー/セラピストという立場から見ると・・・、

>今まで溜めに溜め込んだ怒りが大爆発しました。
>「誰のせいで私がこんなに辛く苦しい日々を過ごしてきたと思っている!」と啖呵を切り母を罵倒し、涙も声も渇れるほど何時間もわめき散らして…
>もう身体中の力が抜けて、頭はガンガン、手足はガクガク。

なんて素晴らしい!
おめでとうございます!!
ほんとうに良かった!
おめでとう!!

と大いに祝杯を挙げたい気分なのですよね。。。
冗談じゃなくて、ほんとうに。

これのために今までのプロセスがあった!と言っても過言ではないほどです。
教育関係の資格をすべて取ったのも、現場で10年頑張ったのも、結婚して子供ができて、ここまでやってきたのも、すべてこの爆発のためだった、と言ってもいいんです。

だって、それが根幹なんですもの。
ここでお母さんに爆発しないなんて、ようやく予約の取れた三ツ星レストランでメインディッシュを食べずに帰るようなもんですよね。

セラピーの世界では、そんな状態を一種の解脱みたいに捉えます。
ほんとうに解放されて心の中が空っぽになった状態。
その無気力さは解放感でもあるんです。

ただ、今までずっとよりどころにしてきた感情が抜けてしまったので何もやる気が起こらず、ただ茫然としてるだけになります。
それは正しいこと、自然なこと、そして、とても大切なことなんです。

ずっとお母さんに迷惑をかけないようにしてきたでしょう?
お母さんに不満を貯めながらも、憎しみすら感じながらも、ずっとそれに耐えてきたでしょう?
「あんなお母さんになりたくない」というモチベーションでここまで頑張ってきた気持ちもわかるのですが、でも、それはお母さんへの執着であり、癒着なんです。
だってYさんの人生の基準は「お母さん」なんですもの。

生活でも、恋愛でも、結婚でも、子育てでも、その基準は「お母さん」でしたよね。
それだと親離れできないんです。
ずっとお母さんに抑え込まれて生きて来たのと同義なんです。

「お母さんとは違う」「お母さんみたいになっていない」という生き方を私は良く「隠れマザコン」って名付けます。
だって、ずっと「お母さん、お母さん」て言ってるんだもの。
どれだけ好きか?ってことですよね。

よく「反面教師」って言いますよね。
反面教師ってマザコン、ファザコンとイコールなんです。

違いはマザコンが「お母さんが右に行くなら私も右に行く」で、反面教師が「お母さんが右に行くなら私は左に行く」です。
基準がお母さんってことに違いがないんです。

だから、Yさんはこれを機に「そっか、私はマザコンなんだ」と気付いていただければ幸いです。
また気持ちが悪くなってきたかと思いますが・・・(苦笑)

>少しずつ少しずつ築いてきた、子どもを育てることへの自信も、子どもを通じて生まれてくる初めての自分を認める感覚も、すべて音をたてて崩れ去った気がします。

これってものすごくしんどい状態だと思うんです。
けれど、すごくいいことなんです。

今までは怒りや反発心、反抗心などの思いで生きてきました。
いわば「復讐を果たすのがわが人生」という武士みたいな生き方です。
この生き方はものすごい情熱と根性を与えてくれます。
だから、資格を取りまくったり、仕事しまくったり、研究できたりします。

しかし、残念ながら復讐心は愛ではありません。
愛ではないものは、その目的が果たされてしまうと一気に生きる目的を失うんです。
すなわち、愛以外のものはすべて一時的な感情に過ぎないのです。

お母さんを基準に生きて来たYさんが、その原動力であるお母さんを手放したら、そりゃあ、生きていく望みも失ったように感じるし、無気力になってやる気もでないし、これからどうしていいのかわからなくなる・・・のも無理がありません。

でも、ある意味、それがずっと怒りや不満や反抗心などに隠れていた本当の私の姿かもしれません。

子ども時代、どんな思いで過ごしてきたのでしょうね。
我慢した言葉は?
分かってほしいけど飲み込んだ言葉はどんな言葉?
子ども時代の自分に会えたらなんて伝えてあげたい?
子どもの頃、ほんとうに欲しかったのは何だろう?
本当にしたかったことって何?

そして、いっぱい自分を褒めてあげてください。
よく頑張った。
ほんとに我慢して偉かったね。
お母さんのためにほんとうによく頑張ったよね。

やがて、この経験は恩恵に変わります。
もし、Yさんがお母さんを「恨む」「憎む」というやり方から「感謝する」「愛する」というやり方に変えることができたら、きっとそれまでの経験がすべて恩恵になります。

お母さんがああだったから、これだけ勉強できた。知識が得られた。
お母さんがああだったから、これだけの資格が取れた。
お母さんがああだったから、旦那さんと出会え、息子と出会えた。
お母さんがああだったから、○○さんに出会え、○○という経験ができた。。。

それだけ頑張ることができたのも、必死に学んできたのも、すべて「お母さんのおかげ」なんですよね。
これからはそういう風に思えるようになっていきますから。

こんなロールプレイ・セラピーが効果的かと。
2つ浮かびましたが、1つは明日、ご紹介しますね。
今日は自己承認のためのセッションです。

1つ目。
セミナールームの中で、昔、子ども時代、必死に頑張っていた自分を思い出させる人を選びます。
たぶん、今、頑張ってる人。でも、報われない人。自分の存在意義を感じていない人。

その子をいっぱい褒めてあげます。
でも、その子は首を振って受け取りません。
一歩一歩近づいて行って、その子の素晴らしさ、存在意義を伝え続けます。
そして、最後、その子をぎゅーっと抱きしめます。
そこで「あなたは本当にすごいんだぞ」って伝えてもらいます。
「生まれてきてくれてありがとう」とも。

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