執着を、手放したくない



ラブ・カウンセリング

失恋後、辛い気持ちをどうかしたくて友だちに話したら「辛いよね」って話は聞いてくれるけれど、やっぱりちょっと気を使う。いつまでも泣きついてたら悪いと思うから自分で何とかしようとする。
それで、ネットでどうしたらいいのかを検索して、見つけたホームページには「彼を手放しましょう」とか「執着を手放しましょう」と書いてある。
確かにその通り。でも、具体的にどうしたらいいのか分からない。
「手紙を書いてみましょう」とか「彼に感謝を贈りましょう」みたいなことが書いてあって、やろうとしてみたけれど、あまりに辛くて躊躇してしまう。
そして、カウンセリングの無料電話を使ってみる。
共感してくれて分かってくれて、でも、「手放しましょう」と、やはり言われる。でも、何か、何故か、抵抗があって、気が進まない・・・。


先日、あるセミナーで「元彼への執着を手放しましょう」というセッションをしたんです。
その後、彼女は「なんか、すごく寂しいんです。ぽっかり心に穴が空いたみたいで」とおっしゃってたんですね。

彼の存在が大きければ大きいほど、その執着を手放したときに、そんな寂しさがやってきます。その穴に「愛」がたくさん入ってくるので、家族、友だち、仲間など人の温かさや有り難味が感じられる一方で、恋するハートはちょっとの間、行き場を失います。

だから、彼女には「それはとってもいいことなんですよ。それくらい彼のことをちゃんと好きで、愛してたって証拠だしね。だから、ちょっとしばらくの間はしんどいけれど、その寂しさは意味があるんだ、と思って、ただ感じておいてくださいね」と伝えます。

もっともその寂しさは、ほんとうは、失恋や手放しによって生まれたものではなく、もっとはるかな昔からあるものなんですけどね。
(すなわち、恋愛とか彼の存在が、そのもともとあった寂しさを覆い隠していたわけです)

執着を手放してしまうと、そんな風に寂しさがやってきます。
だから、手放したくないんですよね。それが分かるから。どこかで。

失恋カウンセリングの中で「執着を手放したら、本当に一人になってしまうような気がする」とおっしゃっていた方もいました。

「じゃあ、今は一人じゃないの?」と言う疑問も生まれますよね?

私たちは「好き」で繋がれないとき、でも、離れられないとき、どんな形でもいいから、彼を心の中に留めておきたいと思います。

「嫌われたっていいから、嫌な女と思われたっていいから彼のそばにいたい」みたいに思ったことありませんか?

そうすると、執着してまでも彼とつながっていたいと思うのです。
(それこそが「しがみつき」であり、「執着」なんですけどね。)

だから、はっきりと「まだ今は手放したくないんです」という方も少なくありません。

そういう時、あなたの心や頭はこんな風に語りかけるかもしれません。

「ダメじゃないの!あなたの人生なのよ。もう彼は過去の人。いい?あなたのために次に行かなきゃいけないのよ」

でも、その一方で、優しい天使の心はこうも言います。

「うん、今はいいんじゃない?それだけ彼のことが好きだったってことだし。仕方ないよ。もうしばらく待ちましょう。自分の気持ちの準備ができてからの方がずっといいのよ。」

さあ、どっちが良いのでしょう?

カウンセラーとしても、その見極めは難しいところですね。
ただ、一般的に、始めは「後者」ですけれど、そのまま何年もってなってしまったら問題ですよね?そしたら、徐々に「前者」の考え方をしていくでしょう。

信頼関係ができていたとしたら、「うーん。もう、そろそろ次の段階に進むときなんだけどね。手放してもいい?」て薦めるかもしれません。強要はできませんけれど。

ただ、執着を手放すことが「正しい」わけではないんですよね。必ずしも。
これは大事なことです。

私はよく、時が満ちるのを待つ、という表現を使います。
いずれ、そのときがくるだろう、という意味で、気長に待とうとするんです。
今日は三日月でも、あと10日ちょっと待てば満月になるわけです。

そして、「彼への執着を手放すことは必ずしも本質ではないよね?」というところを意識します。

なぜかというと、きっと執着してしまう、その要因は過去の恋愛とか、家族関係にあると思っているから。
今の恋愛だけで、そこまで執着するの?というケースによくあって来てるから。

「その彼への気持ちはそのままでいいから、少し深いところにはいっていきましょう。お母さんへの感情、お父さんへの感情、見つめていきましょう」という風に。

執着を手放したくないにも、きっと、何らかの理由があるはずです。
その理由から断つことができれば、もっと自然な関係が築けるようになると思うんです。

そうして、深いレベルに下りていけば、「なぜ、彼なのか?」「なぜ、執着してしまうのか?」「なぜ、手放せないのか?」などの理由も見えてきます。
その理由と向き合い、癒しを進めていくと、やがては、ふと、「もういいかな」と思えるときがやってきます。

「あれ?今日は元彼の話、あまりしないですね?」
「え?そうですか?まだ執着ありますよ。もちろん」
「でも、次の恋愛のこととか、仕事のことが今日は多いですよ」
「そう言われてみれば、思い出す回数はかなり減ったかもしれません」

こうしなきゃいけないってことは心理学の世界には存在しないんですよね。
だから、深く心を見つめながら、自分と向き合い続けて行きたいな、と思うのです。

参考になりましたら幸いです。


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