昔の恋の清算はもう済みましたか?



ラブ・カウンセリング

ちょっと年末らしい(?)テーマを選んでみました。
失恋カウンセリング。こんな話題が出てくることがあります。

「前の彼とよく渋谷で遊んでたんですよ。でも、別れてから、なんか行きにくくなっちゃって。思い出があり過ぎるんですよね。」

皆さんもそういうこと、ありませんか?


例えば、二人でよく行ったレストランがあるとします。
その店の雰囲気や料理はもちろん、その店員さんとの会話、二人で過ごした時間、空間。その全てが「彼」を象徴するものになります。

男性よりも女性に傾向は強いようで、全部がセットになるんですね。

だから、失恋すると、その店がどれだけ好きだったとしても、彼の思い出が強すぎて足を向けられなくなったりします。

「元々私が好きで通ってた店やのに・・・。別れてからはよう行かれへんねん」

その店の前に立った瞬間から、思い出しちゃうわけです。
心の痛みが強ければ強いほど、その店に向かう駅に降りた瞬間から気分が沈んでしまうことだってあるでしょう。

あの時はくだらない話をして笑ってたのになあ・・・
あの席で誕生日プレゼント渡したら、びっくりしてワインこぼして・・・
店のマスターから「二人が結婚したら奥さんの尻に敷かれそうですね」とか言われて、二人で照れて・・・

失恋の痛みって、クリスマスなどの大きなイベントよりも、日常の些細な出来事に色濃く出てくると思うんですよ。

だから、二人でよく共有していた空間があれば、それはもう日常だから、なおさらその場所が辛くなるんじゃないかと。

(その最たるものが「一緒に暮らしていた家」だったりしてね)

でも、逆に言えば、その彼に対して思いが残っているほど、執着があればあるほど、その場所に行けなくなるとも言えます。

だから、その執着を手放すために、また、恋の清算具合(手放し具合)をチェックするために、懐かしいその街を、場所を訪れてみることも効果的な場合もあるんです。

昔、ある女の子で「その思い出の地」に行って見ることをお勧めしたことがあります。
何度もカウンセリングをして、執着を手放して、彼の幸せ、自分の幸せを願えるようになって、もう大丈夫かな、と思ったから。

でも、彼女はやはり思い出が強すぎて、「でもまだ辛いし、泣いちゃうと思うんだけど・・・」と抵抗があります。

その「思い出の地」は常連だったカフェで、大阪の南船場という場所にあったのですが、彼女はそれ以来、最寄の心斎橋の駅に降りることすら躊躇してしまっていました。

「きっと何かが変わり始めると思うから、怖いと思うけど行ってみたらどうかな?」と提案した私。

結果、私を信頼してくれた彼女は友だちを呼ぶこともなく、一人で駅に降り立ち、懐かしいその界隈を歩き、そして、その店の扉を開けてくれたのです。

すると、見知らぬ店員さんの向こうに懐かしい店長の顔が見えて、それだけで思わずすーっと涙が出てしまったんです。以前より無精ひげが濃くなった彼は、ニッコリ笑ってよく座っていたカウンター席に案内してくれ、何も言わずおしぼりを渡してくれました。
彼も事情は全部知ってくれていたのでしょう。
他の従業員に「任せて」という合図をし、彼女が話し出すまでは黙ったまま、カウンターの向こうでじっと待ってくれてました。
そうした優しさも嬉しくて、彼女はそのまましばらく泣いていたそうです。

そうして少しずつ話をしたり、新しいスタッフを紹介されたりしていくうちに、彼女はあることに気付いたんですね。
「彼と一緒に良く来ていたこの店」が大好きだったんだけど、「純粋にこの店も私が好きな店」だったんだ、と。
ほんの小さなことかもしれませんが、その気付きは彼女の元彼への執着を大いに手放してくれました。
それ以来、再び彼女がその店の常連に戻ったことは言うまでもありません。

「そのお店な、トマト系のパスタがめっちゃ美味しいねん。根本さんもカフェ好きなら、絶対行って下さいよ!」

次にお会いしたときニコニコしながら、このエピソードを語ってくれました。

「執着を手放せていない。彼が一番で、彼以上の人なんて居ない」と思っていも、実際には、心が次に向かい始めていることもあるんですね。

そして、大好きな場所が“アンタッチャブル”になってしまうのはもったいないです。

もし、別れて以来、訪れてない街や店があったら、一度、勇気を出してその扉を開けてみてもいかがでしょうか。
一人で行くのが無理ならば、友だちを誘ってもいいですよ。

思い出の地の扉を開けることは、あなたの閉ざされた心を開けることに繋がることだってあると思うのです。


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