原稿『恋愛上手な人たちが教えてくれたこと』(2009東京感謝祭講演用)



東京感謝祭での講演でお話させていただいたこと。
せっかくですので、その原稿をご紹介させていただきます。
参加された方であの話の元ネタを読みたい方、参加できなくて内容を知りたかった方。
ぜひ、楽しんでください。

3名はもちろん現実に存在する私の友人であり、お客様です。
しかし、プライバシーに配慮して個人の情報が分かるものは一切カットしてあります。(もちろん、講演でもお話してませんが)

また、若干私の方で手を加えた部分もありますが(解説的な部分とか)、その点はご了承下さい。

皆さんの恋の参考になりますように・・・。


* * *

<Aちゃん>

「あたしな、別にめちゃくちゃ美人ってわけでも、かわいいってわけでもないやん?でもな、男の人ってこうしたら喜ぶんちゃうかな?とか、こう言われたら嬉しいよな、とか思うこと、一生懸命やってあげるねん。」

彼女は自分のことをちゃんとわかってる。いいところも悪いところも。でも、悪いところがあってもそれを嫌ったりはしていない。いいところをどう生かそうか?考えるタイプ。

彼女はよく私に「こういうとき男の人ってどう思うの?」と聞いてきた。男性心理を知る、それに熱心。
そして、与えてあげる。尽くすのとは違う。ちゃんと与えてるから自信が持てる。だから、わがままも言えるし、言いたいことも言える。そして、ちゃんと与えてるから彼もそれを聞いてくれる。
与えるというのは「相手が喜ぶことをしてあげて、それを自分も喜べること」

でも、私達はどこかに「自分が~して欲しい」という依存心を持っている。
それが邪魔して「~してくれない」という不満になる。

まずは彼のために一生懸命与えてあげること。そうすると自信が付くし、堂々と、毅然としてられる。
でも、実はそれ、彼氏ができる前からやっておくのが重要。その彼女、彼氏だろうが、友だちだろうが、知り合ったばかりの人だろうが、あれこれと与えてあげる。だから、彼女はモテる。男性を居心地よくさせてあげようとするから。

こういう話をすると犠牲的になったり、自分が満たされなくなったりするような気持ちがして踏み込めない人がいる。
「与えてあげた分だけ受け取れる」という法則がある。だから、まずは与えましょう。
でも、相手によっては「自己アピール」が必要なときもある。

例えば、あなたが彼が喜ぶことをしようとして「彼の話をいっぱい聞いてあげよう」と思ったとする。彼はいつも自分の話ばかりするので、ふんふん聞いてあげていた。でも、不満が溜まってくる。私だって話を聞いて欲しい、と。いつかは彼も気付いてくれるだろうと一生懸命聞いてあげるがなかなか満たされない。で、不満が募って爆発する・・・。
これは「与える」ことにもなるのだが、でも、彼に「合わせてる」ともいえる。彼からすれば、あなたは「話を聞いてくれる人」にしか見えない。
こういうときにPR。でも、不満をぶつけても相手はいい顔しない。
「私って、あなたの話、一生懸命聞いてて偉いでしょ?褒めて褒めて」と。
そうすると「あ、そっか」と彼は気付く。

<Bちゃん>

Bさんはどっちかというと男がいないとダメなタイプ。恋愛至上主義で、いつも本気の恋をしている。話していても怖いくらいに表裏が無く、透明感がある。男らしく見える一方で、女の子の部分もしっかり持っている。
そして、失恋したら思い切り落ち込むけれど、でも、だからと言って彼を追いかけたりしない。そんなことをしても、彼の心がますます離れていくことを知っているから。
だから、聞いた。自分の辛い気持ちはどうしてるの?って。
そしたら、あっけなくBさんはこう言った。「最後にできることはあいつを自由にしてやることだけだって自分に言い聞かせる。お互い悪くなかったし、私も彼も全力で恋をしたから、今はもう離れるのがベストなんだと思える」

全力投球をしたからこそ言えるんだと思う。
自分のエゴやプライド、意地にしがみついていたとしたら、きっと遣り残したこと、後悔することがいっぱいあるはず。

でも、全力投球ってどうやったらできるんだろう?
そんなに本気にどうしたらなれるんだろう?

「恋が好き」「彼が好き」と自分の気持ちに嘘がないから。
私達、つい考える。あるいは恥ずかしがって自分にしがみ付く。
好きなものに好き、と堂々と言えると、自分を捨てられる。自由になる。
彼女、男が変わると服の趣味も変わる。それに眉を潜める女性も多いと思うが、彼女は気にしない。彼に合わせてるのではなく、自分が好きでやってるだけだから。

「好き」を大事にすると恥ずかしさも越えられる。
お馬鹿になれるし、お気楽にもなれる。余裕ができるし、自由にもなる。
そうすると男性がとっても喜ぶ安心感や居心地の良さを与えられる。

怖くないの?と聞いたら、こんな風に答えてくれた。
怖くて仕方が無い。父親から暴力を受けてたから、彼が怒るのも怖い。でも、一緒に居るときの幸せ、繋がってるときの喜びがそれを越えさせてくれる。
またそれを味わいたいと思うし、彼にも味わって欲しいと思う。

<Cさん>

離婚寸前の夫婦。ご主人はずっと仕事ばかりしていた人。仕事で成功していた。家ではいい父親。いい夫。経済的にも豊かだからもてる。女性には苦労しない。でも、浮気って全然楽しくない。虚しいだけ。そのことを知っていたので仕事の付き合いで女性と飲むことがあっても気持ちは動かない。でも、そういう男性は余計もてる。だから、誘いは比較的多かった(はず)。

でも、あるとき、夏休みを利用して子どもを連れて奥さんが実家に帰ってしまった。理由は分からない。
電話でちょっと様子がおかしいと今から思えば感じていたが、「夏休みだし、実家でゆっくりするのもいいだろう」と前向きに捉えていた。
家族のことは忙しい合間にもちゃんと意識を向けていたはずだ、と自負していた。だからあまり心配はしていなかった。
しかし、2週間経っても戻ってこない。今まではなかったことだったが、「夏休みだし」と自分で納得していたし、多忙な毎日がその期間の長さを忘れさせていた。

そんなある日、馴染みの社長がオフィスを訪れ、仕事の話を一通りしたあと、ふと彼に言った。
「今、奥さんとあんまりうまくいってないの?」
突然のその質問に戸惑った。確かに実家に帰っているが、うまくいっていないとは思っていなかったから。なぜ?という彼の問いに、その社長は笑いながらこういった。
「靴がね・・・」
ふと足元を見る。いつも磨き上げられていたはずの革靴が少しくすんでいる。

そのとき彼はハッとした。
そっか、知らないうちに奥さんが磨いてくれていたんだ、と。
でも、彼女。そんなことを一言も言わなかった。また、彼が居ない間にしてくれていたのか、直接見たことはなかった。彼は彼女の手によって当たり前のように磨き上げられた靴を履き、忙しく仕事に走り回っていたのだった。
そして、もう一つ気がついたことがある。
うちの奥さん、そういう風な愛し方をする人だ、と。決して目立たず、自分の邪魔をせず、でも、きちんと見守り、支えてくれる人。
当たり前すぎて気がつかなかった。
思わず溢れそうになる涙を堪えて、その彼は奥さんの元へ車を飛ばす。
そして、奥さんに一言、車の中で散々考えたセリフをいおうとした。きれいごと、言い訳、たくさん用意していた。でも、全部出てこない。
漸く言えたのは一言だけ。「すまなかった。お前がこんなに愛してくれてることに気付けなかった」
奥さん、黙って頷いた。そして、こう言った。
「いつか、気付いてくれると思ってた。それだけの人だと信じたかったから。ちょっと時間かかりすぎたね。でも、まだ夏休み。許してあげるかな。」と。
そして、一言、「さびしかったんだ」と呟いた。

その言葉に彼は何も言えなくなった。「ごめん」と言うのが精一杯だった。ただ、涙が溢れ、ホッとしている自分を感じていた。

そして、彼は気付いた。彼女でなければ自分はダメだったんだ、と。
彼女だから、今の自分があり、今の生活があるんだ、と。
そのことに気付いた彼は奥さんに言った。「お詫びの印に欲しいもの、何でも買ってあげる」。
エルメスのバッグでも、カルティエの時計でも何でもいいと思った。
でも、彼女は言った。家族で1週間。ゆっくり過ごす時間が欲しい、と。
彼は躊躇無く、会社に出向き、10日間の休暇を申請した。
周りの人間にどう思われようがそのときはどうでも良かった。自分にとってもっとも大切な何かに気付いたから、世間の目も、仕事もどうでもいいものになっていた。
そして、彼女と子ども達の希望通り、南の島へ飛び立った。

そんな風に自分が気付かないところで愛を贈ってくれている人がいる。それに気付けたとき、自分は一人では決して生きられないし、生きてこなかったことに気付ける。そして、大いなる感謝と同時に愛を感じ、それがあなたの明日からのパワー、エネルギーになってくれる。

あるいは、あなたもそんな風に誰かを愛したことがあったかもしれない。
だとしたら、この奥さんのように「いつかは気付いてくれる」と信頼してみてもいいだろう。
それは、自分がそれだけの人を選んだ、という自信があれば叶えられるはず。

皆さんの恋に参考になれば・・・。


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