[10/14]関係性の逆転と目覚める内なる女の私。



カウンセリングの実際「浮気と離婚の危機とセックスレスの向こう側にあったギフト」

[10/14]関係性の逆転と目覚める内なる女の私。

こうした新しい展開が起こると、夫婦関係にも少なからず影響を及ぼします。
状況は一度停まってしまうとなかなか動かすのが大変なのですが、動き始めると思っているよりも早く状況が変わっていくものです。

カウンセリングやセラピーでは、感情を常に動かしつつ、感情が作り出す関係性や状況を常に動かし続けるようにアプローチするんですね。

そのため、結果的にプロセスの進む時間が短縮され、問題解決や心の成長が早まったり、精神的な安定をずっと早く手に入れることができたりするんです。


さて、例の出来事を機に、友美恵さんの周りも予想以上に動き始めます。

友美恵さんの自立度(強さ)が上がった分だけ、まずはご主人に変化が現れました。
今まではあまり表立ってはいなかったのですが、ご主人が友美恵さんとのセックスレスの問題を真剣に考え始めたようなんです。

それは彼が子どもが欲しくなったことも原因の一つなのですが、それ以上に注目すべきは、ご主人が友美恵さんとこのままずっとやっていく事を決意したことです。
もっともはっきりそう伝えてくれたわけではありません。
友美恵さんからの問いかけに、曖昧さを残しつつもYesという反応がありました。
罪悪感があったり、今後うまくいく自信がなかったり、そんな気持ちからやはり明言はできないものです。

とはいえ、ご主人も具体的な方法があるわけではなく、奥さんが通っているという“カウンセリング”を使うという方法も考えたみたいなのですが、やはりなかなか踏ん切りがつきません。

そんなご主人に“煮え切らなさ”や“頼りなさ”を感じた友美恵さん。
そして、そう感じている自分に気付いてショックを受けたそうです。
なんせ、出会って以来、常にご主人は“すごい人”で“私なんて足元にも及ばない人”だったわけですから・・・。

どうも社長さんの好意が彼女に自信をもたらし、徐々に夫婦間の力関係の変化が如実に現れてきたようです。

(もちろん、ご主人は奥さんの気持ちの変化には気付いていません。こういう流れを目の当たりにすると、人と人、特に夫婦は見えないところできちんと繋がっているんだな、と思わされるのです。)

とはいえ、友美恵さんだってどうしていいのか分からず、夫婦間は微妙なすれ違いを見せ始めます。

お互いに感情が揺れ動いているところですから、私としても神経を使います。
というのも、自立と依存の関係がひっくり返る時というのは、そのまま別れに繋がることもあります。特にここでは友美恵さんの気持ちが一気に冷めてしまうことや、依存的な立場に立つことに抵抗し、ご主人が暴走してしまうことも想定されます。

一つ一つ、今の気持ちを見つめ、それを大切にしていくことをコツコツと続けることにしました。

こういう時は大きなことはできませんよね。
感じてしまった感情は否定できません。どんな感情であっても、ただ受け入れるしかないものです。

だとすると、その感情に振り回される、いわば“二次被害”を起こさないようにするのが賢明だと思うんです。
だから、「焦らないでね」「心配しなくても大丈夫」「まあ、しょうがないよね~」「そのまま気持ちを大切にしようね」などの言葉をかけて、できるだけ受容していくことにしました。

さて、問題の社長さん。
元々受身な友美恵さんの性格に乗じてか、徐々に積極的になってきます。

どうもだいぶ熱が高まってきているようですし、友美恵さんもその気持ちにマンザラではないですから、断りきれず食事に出かけてしまう回数が増えていきます。
(ご主人はハードワーカなので、余程帰りが遅くならないかぎり大丈夫なのです)

ダメだ、いけない、と思いながらも、求められると断れない性格も邪魔して出かけてしまいます。でも、それは喜びでもあり、楽しくもある時間なんです。
でも、やはり「いけないことをしている」という罪悪感が首をもたげ、葛藤してしまうんです。
そして、「今日もなんとか無事に終わった・・・」と安堵して家に帰るわけです。
これでは感情のアップダウンが激しくて、相当疲れてしまいそうです。

「食事くらいはいいじゃないか?」と思われるかもしれませんが、やはり自分が浮気で痛い目に合っていますし、その後のご主人の苦労も垣間見ていますから、こうした不自然な関係には必然的にブレーキがかかるものです。

でも、とりあえず、「最後の一線は越えないようにしようね~」という気持ちは持ち続けていてくれたようです。

その一線越えは罪悪感を確定化し、時には戻れない一線となってしまい心を締め付けるからです。
いわば、大きな不利を背負うことになるんです。

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私達は、ここでは自分の気持ちと向き合いながら一線を越えないように踏みとどまることをお勧めするのですが、もし、ここで友美恵さんが一線を越えてしまったとしたら、どんな問題が起きるのでしょう?

一つは、社長さんに対してもう思いを止めることができなくなることが考えられます。
ここでのセックスはとても精神的な満足度も高いはずですし、また、実際とってもハマるセックスになる可能性が高いんです(タブーの心理から)。
だから、とにかく関係を継続したいという衝動が生まれ、それを止めることは当分の間(少なくても数ヶ月)は難しいと思われます。
すなわち、これを機に数ヶ月は夫婦関係の問題も再び悪化することが予想されます。

また、一線を越えてしまった場合の二つ目の問題は、言うまでも無くご主人に対する罪悪感です。

自分がご主人と同じことをしてしまった、という点では対等なように感じますが、ご主人を責めた分だけ、また、ご主人の浮気で苦しんだ分だけ、今度は自己嫌悪が非常に強くなり、自暴自棄になりやすいんです。
そうして、「してはいけないこと」という思いが強い分、ご主人と向き合い、明日のことを考えていくことが難しくなってしまいます。

つまり、今までせっかくご主人と向き合い、やり直すように頑張ってきたのに、この時点ではご主人から目を背け、向き合えなくなってしまうんです。

そして、恋愛感情をさらに燃え上がらせるので、今度は友美恵さんの方からご主人に「離婚」を突きつけることになるかもしれません。
これはまさに復讐のストーリーなのですが、感情的にはブレーキをかけられないですから、プロセスは数ヶ月は停滞、もしくは後退してしまうでしょう。

もちろん、ここでご主人を手放して、社長さんと一緒になろうとすることも可能ですが(相手が既婚者だとしても)、その場合は、「夫を捨てた罪悪感」と「別の男性に走ってしまった自己不信」と「社長さんに対する依存や執着心」などがとても強く出てきますので、かなり強い遺恨を残すことになります。

なかなか難しいことは承知の上ですが、こうしたケースでは、ご主人との離婚の前に、きちんとご主人と向き合い、社長さんと向き合い、ある程度は“冷静に”物事を見られるようなアプローチを提案しています。
その方が、今後幸せになるためのプロセスをスムーズに進めていくことができます。

ただ、その一方で私達はどのような状況であれ、最終的に彼女が選択したことを支持することが大事だと思ってます。

もちろん、きちんと押さえるところは押さえていきますけれど、そこで「あかんやないか!」と言ってしまうのは簡単だと思うんです。
そこで「なんで、そうなっちゃんたんだろうね?越えてみてどうやった?」と笑いながら向き直ることが大事なんですね。
感情や行動なんてそんな理知的なものではありませんからね。

実際、友美恵さんにも幾度と無く「まあ、そこまで気持ちが行ってしまったら、しゃあないところもあるよね~。もう我慢できなくなっちゃったら・・・、根本さん、やっちゃいましたわ!って来てくださいね」とも伝えていました。

仮にダメって言われた事をやってしまっても、私のところに再び訪れてくれるほどの信頼関係を築きたいなあ、と常々思っているのです。

ただし、セックスや恋愛に慣れてる方の場合、一度関係を持つことでかえってスッキリし、ご主人に再び気持ちを向けることができる方もいらっしゃいます。
とてもリスキーな道で、それなりの覚悟を持たないと感情に振り回されるので、あまりお勧めはしていません。

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ただ、いけないと思う一方で、社長さんとの次のデートを心待ちにする友美恵さんもいるんです。
それくらい彼女は「女」になりたかったんですよね。(=女として扱われることに憧れていた。)
そして、女であることに本当に喜びを感じていたんです。

それは友美恵さん自身も驚く自分の感情でした。

カウンセリングを続けていくと、こうした自分でも信じられない気持ちが湧き出てくることがよくあります。
それくらい私達は素直な気持ちに蓋をして生きているのかもしれません。
私が見た中でも、友美恵さんはとても素直な部類に入る女性でしたから、なおさら、その思いは強かっただろうと思います。

カウンセリングの実際


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