うっぱつちんごう!!~根本先生が車になった日。

先日、大阪ワークショップの当日に台風が直撃するというチャンスが訪れました。
前日にJRが夕方から運行を停止するということもあり、ワークショップそのものを中止にさせて頂いたんですね。
これで8月に続いて2回連続ですね。これじゃあ、また雨男などという都市伝説が流布しそうですね。

(なんとこのワークショップの代替開催が2月になりそうです!さすがに2月には台風来ないから大丈夫でしょう!また告知させて頂きます!)

ということでぽっかり一日オフが出来てしまった私。
なかなか貴重な祝日の休日ということで、有難く恩恵とさせていただく予定でした。

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さて、当然その日は我が家の暇な幼稚園児も家にいるのである。
ママと娘が朝から買い物に行ったので置いてけぼりをくらった息子は「ぼくもどっか行く~」と騒ぎ始めた。


日ごろから幼稚園にて山野を駆け巡っている彼は体力を持て余しており、ここは外に連れて出して走り回らせ、消耗させねば夕方からとても機嫌が悪くなることは目に見えている。
またパパも家にずっといるのも落ち着かない性質なので、まだ台風の気配もないし、さくっと準備をして出かけることにしたのである。

家から出ると当然走り出すのだろう・・・という予測を軽く裏切り、すぐに「抱っこ~」を要求してくる3歳児。
相変わらず奴は尊敬すべきパパを「乗り物」としか認識しておらず、何度降ろしても10メートル歩いてはくるっとこっちを振り返り、両手を万歳しながらもたれかかってくる。

「あかん、あかん。ちゃんと歩きなさい」

とできるだけ威厳のある口調で命じるも「こいつは口ではそんなことを言いながらも、結局は抱っこしてくれる」と私の心の内はすっかり読まれている。
そして、奴はすんなりその思い込みを実現させ、破顔一笑、高見の見物にありつけるのである。

しかし、この嬉しそうな顔というのはヤバい。本当にヤバい。
つい42歳の体へのダメージへの心配、はたまた、休日だからしっかり休まなければという理性をあっさり捨てさせ、15kgの塊をひょいと持ち上げてしまうほどに魅力的な笑顔なのである。

さらに抱っこすると目の前に彼のほっぺが近づいてくる、という更なる特典もある。
密かにほっぺフェチである私は、抱っこしてる間は手数料としてそのほっぺにぶちゅーしまくることができるので、やはりその訴えを拒めないのである。
もちろん、その様子を見て妻からは白い目で見られてはいる。

その結果、「息子の体力を消耗させるための散歩」が「パパの筋力を鍛えるトレーニング」に早変わりする。

さて、「カンカン見に行く~」との彼。
まるでそれはタクシーに乗って「品川の港南口まで」と運ちゃんに伝える如く自然な口調であり、乗り物である私は素直に「はいはい」と足を遮断機のある踏切へと向けるのである。

ちなみに息子は曲がり角に来ると「こっち~」とばかりに行先を指差すのであるが、最近はその行為に「かっちん、かっちん、かっちん」というウインカー音が加わるようになり、時には手を振ってワイパーの如くパパの顔(眼鏡含む)を撫でまわすのである。(故に眼鏡は幾度となく欠損の危機を迎えている)

こうなれば最早私は車以外の何物でもなくなるのである。

「がたんがたん、がたんがたん」と電車に合わせて声を発しながら(それが時に大声ゆえに、たいへん耳に響き、衆目を集めるのであるが)何往復か電車を見送った後もまだまだ筋力トレーニングは終わらない。

「こっちー」と踏切を越え、「かっちん、かっちん」とウインカーに合わせて左折し、歩道橋の階段を上らされる。
私は意志を持った車であるため、この辺になると密かに脳内ナビを起動して我が家までの最短ルートを検索し、乗客に気付かれぬよう、その道へと向かう。
しかし、その作戦を知ってか知らぬか、気まぐれな乗客は家とは反対方向にウインカーを出し、新たな精神的ダメージを与えてくるのである。
そんな駆け引きを幾度か繰り返し、結局は同じようなところをぐるぐる回っているうちに、パパの足腰も限界に近づいた。
この車、とても燃費が悪いのである。(そりゃあ、1972年製だから仕方あるまい)

そうして乗客を宥めすかし、ようやく家へと向かうのであるが、油断はならない。
その途中にはコンビニエンスストアというトラップが待っているからである。
賢い私は「おかち(お菓子)買う~」という駄々を捏ねさせないためにも、ベテランドライバーよろしく、その前を回避する裏道を辿るのである。

さすがに家までの坂道は乗車拒否をして歩いてもらったのだが、ずっと車に乗っていて体力を温存している3歳児は当然元気いっぱいである。
サクサク坂道を上り、よそ様の家の塀にも(もちろん低いもの)登り、遊びながら無事家へとたどり着いた。

ガス欠寸前の車はすぐに布団に倒れ込み、「休憩~」と宣言したものの、散歩に行ったのに体力を全然消耗していない幼児は「お馬さんする~」とどっかと再び乗車、いや、正確には騎乗してくるわけである。

車の次はウインカー付の馬となり、家の中をぐるぐると回った私は褒められていいと思う。
とはいえ、馬に乗ってきゃっきゃ喜ぶ息子はべったりと背中に貼り付いて来るので、私の顔のすぐそばに奴のほっぺがちょうど位置するのである。
これが抜群のクッション性を持っていて気持ちがいいので、それを餌にまたリビングを一周してしまうのである。