旅好きの出張生活。



5月の終わりから、かれこれ16週も連続して出張してきた。内、東京が10回、名古屋が3回、福岡が4回である。足すと16にならないのは、一回、名古屋→東京というスケジュールがあったためで、この間の移動距離はいったいいかほどだろう?と思うわけである。

この間、精神的にはだいぶ鍛えられたと思う・・・。
出張が習慣化されると、体がそのように順応していくので、月曜日に大阪に戻れば自然とスイッチがオフになり、火曜日になれば大阪での仕事モードにきちんと入れ替わる。
そして、週末が近づけば出張の準備をし、朝は目覚ましの力を借りぬとも自然と目覚めるわけである。


しかし、この期間、世間で言うところの季節は「夏」であった。
例年ほどの暑さでなかったのは節電中の日本と出張中の私には恩恵だったと思うが、出張が続いている間に知らぬ間に蓄積された疲れやストレスに、夏バテが加わったりすると、この後がちょっと怖いのである。

涼しくなる頃に出る、夏の疲れ、である。

私達は何かの“渦中”はそれなりの精神状態(一種の緊張状態)を保っているので、案外、丈夫である。
私もこの期間、数年ぶりに風邪を引き、咳ばかりしていてご心配をおかけしたが、咳以外はてんで元気で、咳をしながら飲みに出かけ、咳をしながら美味い肴に舌鼓を打っていたのである。(だから治らない、という説は正しいと思う)

ところが、その緊張状態が一旦緩和されると知らぬ間に溜め込んでいた疲れやストレスがどっと出てくるのである。

だいたい、その期間は2、3ヶ月後と思う。
8月まで暑かったら、10月になるとその疲れがじわりと出てくるのである。

よく長年勤めた会社を辞める方に、2,3ヵ月後に注意した方が良い旨、伝えることがある。蓄積疲労が徐々に溶け出すからである。

とりあえず、戦々恐々としながら10月を待つことにしようと思う。

さて、ともかく毎週の出張生活は一旦、終わりを告げる。とはいえ、来週も再び東京へ行くのであるが。

これだけバタバタしていると、旅慣れて各地のうまい店に詳しくなり、現地に友人も増えるのは喜ばしいことである。
この数ヶ月で、ほんとたくさんの店を仲間と開拓し、数多くの発見があった。
東京・名古屋・福岡であれば、数週間滞在しても行く店に困らないほどのラインナップは揃えられてたと思う。

しかし、一方で失うものも少なくない。

まずは家族との時間。
私はそもそも家族と過ごす時間が大事な人間で、妻・娘・息子の匂いやほっぺの感触が必須ビタミンと言えるくらいである。
それがやはりこの数ヶ月の生活で、ちょっと距離が空いたように思える。
居場所がなくなるわけではないのだが、彼女達からすればパパはいないものとなり、私としても、1人が行動単位になってしまっている。

とはいえ、毎週出張ということは、毎週自宅には帰っているわけで、その間に家族と過ごしたり、息子の成長を目の当たりにできたのは有難い。
かつては1週間丸ごと出張していたために、8日ぶりに自宅に帰ったら娘が全然違う顔をしていた、などということは無かったのは幸いである。
そのときは本当に「俺、何をしてるんだろう?」と真剣に思ったものである。

さらに、地元の友人との時間も失ったものの一つである。
短い大阪滞在中には家族を優先すると、どうしても、大阪の友人と遊ぶ時間は限られる。そもそも皆忙しいので「飲みに行こうぜ」と話をしてから実現するのに数ヶ月を要することもザラだからなおさらである。
この数ヶ月に、「また時間が空いたら行こうな」というメールが何度空を舞ったか知らない。

そして、私の家の机には未処理な書類が山積みになっている。
地に足を着けて何かをする、ということができなくなるため、書類を見て何とかする気力が萎えてしまうのである。

当然、それは本業にも影響する。
この期間、企画案は浮かべどもそれをまとめたり、会社に提案するといった作業が完全にストップしてしまった。
これは痛い。アイデアはあるのだが、それをじっくり取りまとめる時間を作る余力がなくなるのである。
これは最後の方はフラストレーションにもなるくらいであった。

故に、出張が毎週続くような生活から解放されたのは何ともめでたい。
これでじっくり今と向き合える時間も増やせるだろう。
旅好きだからこそ、こんな生活が出来たんだと思うが、とはいえ、おなか一杯である。

この週末は珍しく何も仕事がなく、全休日に当てている。
3連休なんて、いつ以来だろう?

じゃあ、じっくり家で休もう・・・と思うのであるが、旅好きは恐ろしい。
ついつい家族で旅行を計画してしまい、早速朝から荷物をまとめて家を出るのである。

そういうわけで、今週末も私は家を空ける。
とことん、じっとしていられない性格である。
とはいえ、通常の出張とは緊張感が全然違うのは救いである。

※現在沖縄に台風が来ているが、だからって私たちの行き先は沖縄ではない。念のため。


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