確実に父親を仕事から離し、自分に注目させる方法



今日、パソコンであれこれと仕事に集中していると、リビングの方から

「わたしのぉ~~~~、おかかのぉ、まぁえでぇ~~、泣かないでくだしゃいぃ~~~~♪」

という調子っぱずれの声が響いてくる。
しかも、何度も何度も繰り返される。

この「~」は伊達ではない。かなり声を張り上げ、ファルセット(?)よろしく絶叫するのである。


それは私が笑い出すまで決して辞めない!という強い決意を感じさせる演出で、次第にキーを打つ手が震え出し、腹筋が堪えきれずにわなわなと脈打ち始める。

ここは父親の権威を持っても決して負けてはいけない。

しかし、まず先にキッチンで夕食を作っていた妻が撃沈された。
「もぉ、ミズチやめてよぉ~」
という声もかなり震えている。

もう私は仕事どころではないので、必死に時が過ぎ行くのを耐えるのであるが、娘もやはりその根性を持って、

「あのぉ~~~、おおきなぁ~、そ~らをぉ~~~、吹きわたぁっっていましゅ~~~♪」

を10回以上もひたすら繰り返すのである。
これには参った。もう無理。お腹も痛いし、笑えて仕事が手に付かない。

よってこの名場面を映像に抑えるべくビデオカメラを片手にリビングに乱入すると、

「おおきなぁ~~~~~~~~~、そ~~~~~らうぉ~~~~~~」

を歌い上げる3歳児はテーブルの上のポポちゃん(人形)を相手にリサイタル中であった。

妙に無表情である。
しかし、歌い上げる声量には見張るものがある。
そして、何よりも本人の狙いはパパであった。

ここで会ったが百年目の顔をした。

幼「ねぇ、おもちちゃん。こうしてお馬さんになって。ミズチ乗るから」

父「えぇー。ぱぷぅは仕事があんねんでぇ~」

幼「ちょっこだけだから~、ねぇ、ほっぺにぶちゅーしてもいいから」

(やはり子どもは親の弱点を良く知っている)

父「じゃあ、ちょっとだけね」

幼「うん。ちょっこだけね」

(四つんばいになり、その上に幼児が上る。俗称「ぱぷぅのぼり」である)

幼「ぱぷぅ、そこ動かないでね。あ、動いちゃダメって言ってるでちょ!い、いやー、もう、動いちゃダメって、もぉー、ぱぷぅ、いやよー、手を下に付けてよぉ~。ちやう(違う)、ちやう、そこやないって~。きゃはははは、こしょばいやん。ちやう、床に手をつけて、ね、ね、ね、うん。そー、そー、そこで動かないでね。動かないでねッ。動かないでねっっていやー、きゃはははは。もう一度、もう一度、床にこうなって(お手本に自ら四つんばいになる)、こうなって、いや、ちやう、ミズチが乗るの。ぱぷぅが乗ったらダメやんー。もぉー。離してよぉー」

要するに、奴はビビりな3歳児であり、高所恐怖症なのである。
腕力から言ってもまったく私にはかないっこないのである。
ま、口ほどの奴でもないということだ。

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