大人が引きずる不倫の心理



相手が既婚者だってことも分かっていたから、最初は抵抗ありましたけど好きな気持ちもあるし「まあ、いいか」と始まった関係なんです。お互い会いたいときに会う感じで深入りしない自信もありました。もちろん彼も離婚する気はさらさらないし、私も奪おうなんて気持ちはないし、軽い感じの付き合いでいいと思ってました。私も仕事もあるし、趣味も充実してるし、今までも色んな恋愛してきたから大丈夫って思ってたんですよね。そんなハマるわけがない、と。でも、いざ別れるってなったらすごく悲しくなって自分でも信じられないくらい苦しくて。早く忘れようと思うんですけど、最近もますます彼のことを考えてしまってるんです。職場で顔を合わせるたびに凄く辛くなります・・・。

そんなご相談を伺う機会が増えています。
大抵は30代の独身女性(もしくは既婚女性)が相談者。
自立していて、しっかりしていて、女性としてももちろん魅力的(それを伝えると抵抗されます)、話をしていても楽しい明るい方が多いですね。



軽い気持ち、軽い感じで始まるってのが多いんです。
自分も大人だし、既婚者って分かってるし、そんなハマることはないだろう、と。
一回寝るくらいで何も起こらないだろう、と。

自立している、ということは「意識(思考)」と「感情」の間に少し隙間が出来てるということです。
「意識」が優勢となっていて、「感情」の変化に気付きにくい、鈍くなっている、ということでもあります。

意志の力(これは「意識」)は強いので、感情をうまくコントロールできてるつもりになりやすいですし、蓋をして抑圧することも人によっては自然にできてしまってます。

しかし、感情の力は私たちが思っているよりも相当パワフルです。
私は良く「意識vs感情」を「電卓vsExcel」に例えます。
勝てる自信のある人、います?(笑)
確かに簡単な計算ならばExcelよりも暗算や電卓の方が早いでしょう。
でも、少しでも複雑になるのなら、やはりコンピュータには適わないと思うのです。

意識と感情も同じ。
少しの感情の動きであれば、意識でコントロールできます。
「やった!でも、はしゃぐのは恥ずかしいからちょっと大人しくしていよう」
「お腹すいたな・・・でも、ちょっと我慢しよう」
みたいに。

ところが、それ以上に感情が動くと、意識の力ではもう抑えきれなくなります。
だから、そこで認めたくない感情を麻痺させることにします。
気付かないように蓋をする、目を瞑るんです。

既婚者の彼にハマるわけがないと思っていたら、彼に会いたくなった気持ちを抑圧して気付かないふりをします。
「なんか、今日の私はおかしいわ。生理前だからメンタルが不安定になってるに違いない」という風に解釈をしてみたり、「ま、そんなことよりも仕事、仕事」と別のことに意識を振り分けたり。

でも、麻痺させたとしても感情は常に生きています。
彼をどんどん好きになっていくのに気付けません。
甘えたい気持ち、誰かに頼りたい気持ち、依存したい気持ちが彼に向かってどんどん大きくなっているのに気付けません。

そんな時に別れ話になります。

それも彼からではなく、自分からすることもあります。

「もう潮時にしましょう。」

きれいに別れます。
彼が縋り付いてきてももちろん突き放します。

そして、その後に来るんです。
どーん、と。

あれ?どうしてなんだろう?彼のことを毎日考えている自分がいる。
もう終わったはずなのに涙が出てきたりする。
夜、眠れなくなってしまった。
仕事に身が入らない。
訳もなくイライラして後輩にぶつかってしまった。
訳の分からない不安に駆られてどうしていいか分からなくなる。
未来に絶望してる自分がいる。

自分を見失っている・・・わけです。

「別れ」という合図によって自立と言う名の蓋が外れて、その奥の感情があふれ出てきたのです。

「ちゃんと泣いてる?」
「彼に怒ってもいいんですよ」
「まだまだ彼の幸せを願うなんて全然早いです」
「とりあえず恨みましょう(笑)」

不倫って制限が多い恋です。
制限が多いからこそ燃え上がるものですが、その代償もすごく大きいです。

付き合っている間、軽い気持ちでいながらも、我慢がいっぱいあります。
不自由さもたくさん感じてます。

それを「大人だから」「分かってやってることだから」と我慢した分、あとで出て来ちゃうんですね。

まずはその素直な気持ちを受け止めていきます。
全部、丸ごと。
そうして、心に寄り添ってあげます。
よしよし、してあげます。

本当は好きだったんよね。
もっと一緒にいたかったよね。
寂しいよね。
元々すごく寂しかったしね。
虚しい気持ちでいっぱいでしょう?
たくさん我慢して偉かったね。
ムカつくでしょう?
悔しいでしょう?
恨むよねー!

そうして、まずは付き合っている間に溜め込んだ、そんな感情たちを解放してあげましょう。
それだけもだいぶスッキリするはずです。

ラブ・カウンセリング
男と女の心理学

 Twitter > http://twitter.jp/nemotohiroyuki
 Facebookページ > https://www.facebook.com/nemotohiroyuki
こじれたココロのほぐし方 頑張らなくても愛されて幸せになる方法
 ★好評発売中!根本裕幸の近著。


あわせて読みたい