「好き」て何?



ラブ・カウンセリング

「好き」という気持ちがよく分からない。だから、付き合う人は言ってきてくれた人ばかり。

いつから?

もうずっと前から。学生時代にも周りの子が「○○くんがいい」と騒いでるのを見て、表面上は彼女達に合わせていたけど、本心は全然乗れなかった。


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そういう方がカウンセリングにいらっしゃる理由は「年齢を考えるとそろそろ結婚しないと」だったり、「今彼がいるけれど、このまま付き合っていて良いのか分からない」だったり、「ずっと好きな人がいないのはまずいと思って」だったり。

だから、「彼氏がほんとうに欲しい?」とお聞きすると「うーん・・・」と考え込まれることも多いのです。

中には「結婚しなければ」「好きにならなければ」という、恋愛や結婚が半ば義務感になってしまっているケースも少なくなく、「それだと全然恋愛が楽しめないよね」という状態になってしまうのです。

「ほんと、彼氏といても全然楽しめなくて、むしろ、虚しいし、申し訳ない気持ちでいっぱい」

なんて彼女もいました。

そんな彼女達にもいくつかのパターンがあって、「女の子といるのは好きだし、楽しい」という“女系・女子校育ちパターン(仮)”もあれば、「誰といても同じ。1人でいる方がずっと気楽だし、いい」という“我が道を行くパターン(仮)”もあります。また、数はずっと少ないですが「家族が一番居心地いい。だからいつも家にいる」という“家ラブ・パターン(仮)”もありますし、「異性は恋愛対象というかお客さん」という“夜の接客業気質パターン(仮)”もあるようです。

それぞれの背景は違いますが、“好きがよく分からない”という心理的な原因には、何らかの共通点が見て取れることが多いのです。

一番分かり易い原因は「過去にものすごい失恋をして、それから恋愛が怖くてできなくなってしまった」というケースですね。

20歳前後の失恋はその後の恋愛に多大なる影響を与えることが多く、その頃に、酷い失恋をした挙句、以来、男性を好きになれなくなってしまった、というケースはほんとたくさんあります。

特に20歳前後の恋は気持ちがものすごく盛り上がりますし、ときめきも、輝きもMAXに発揮されますよね。
だから、その「恋をしている」インパクトもものすごく大きいんです。
そのため、大人になってからの恋に「あの頃みたいなドキドキを感じない」とか「ほんとうにこの人のことが好きなのかな?と思う」みたいな疑問が生まれやすいのです。

しかし、「好き」というのが分からないという背景には、もっと深い理由があることが多いようです。

やはり心理学、カウンセリングの法則に伴って家族、育ちの背景に光を当てることにしましょう。

生来「好きになれない」という人はいない」というのが前提です。
生まれた子どもはみんなママやパパのことが大好きだし、近所の友だちもおばちゃんも皆大好き、という状態から始まります。

だから、大人になって「好きが分からない」という方も、その昔は「大好きな人がいた」と言えるのです。

しかし、幼少期にはたくさんのハートブレイクを私達は全員体験します。
それは自分が幼いからこそ傷つくものもあるし、完璧ではないパパやママの影響で心を痛めることもあります。

だから、大好きなパパやママが、自分の愛を拒否したり、受け取ってくれなかったりしたとしたら、それは大人になったあなたが恋人に愛を拒否されたときよりも遥かに大きなショックを受けてしまうのです。

それに、(信じられないかもしれませんけれど)私達はみんな“親を助けに生まれてくる”という目的を持ちます。

どんな親でも嫌いになれないし、どんな親でも助けたいと思う、んですね。

でも、子どもですから、親を助けられないことも少なくありません。いや、少なくないどころか、まったくなかったケースもあるでしょう。

そうすると、パパやママのことが大好きであればあるほど、助けられなかったときのショックや痛みは大きくなるのです。
好きな人の役に立ちたくて頑張ったこと、ありませんか?でも、それがうまく行かなかったら、どれくらい自分を責めるでしょう?

こうした心理体験を繰り返す(もちろん、親が愛を受け取ってくれなかったり、助けさせてくれないのは一度や二度ではないはず)と、だんだん「好き」「愛する」という気持ちを麻痺させていくようになります。

「好き」って思っても、どうせ受け取ってもらえないし、虚しいし、悲しいだけ。
だとしたら、好きにならなければいい・・・そう意識したことはないかもしれませんが、痛みを回避する仕方の無い方法として、“好きにならないようにする”努力を重ねてしまったのかもしれません。

だから、「好き」が分からない、を正面から扱う場合、そうした幼少期の家族関係まで遡り、そこで彼女がしたかったこと、抱いていた思いに気付いていくようにします。
幼少期の記憶が蘇ってくる人も多く、「パパに肩車をしてもらうのが好きだったな」などの懐かしい思いで心がいっぱいになることもあります。

そうして「好き」という感覚を取り戻していくのですが、同時に、副産物が得られることも少なくありません。
それくらいパパやママが大好きで、助けたい気持ちがあるとすれば、きっと、それは彼女のライフワークになるくらいパワフルなエネルギーであることも少なくないんです。
だから、人を支える、助ける仕事やボランティアに興味を持ったり、人に対して今まで以上に優しく温かく接することができたり、今の何気ない生活に変化がもたらされたりするようです。

古い感覚を取り戻すので、一筋縄にはいかないかもしれませんが、でも、他のあらゆる問題と同様、人生を変える大きな一歩になるようです。

参考になりましたら幸いです。


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