私は彼のお母さんでした。



ラブ・カウンセリング

「別れた後も、なぜか彼のことが気になって連絡をしてしまうんです。でも、やり直したいとか、そういうわけではなく、もちろん、好きは好きですけど、それよりも、ちゃんと食べてるのか、ちゃんと生活しているのか気になったり、心配になったりしてしまうんです。」

お話を伺っていると、お母さんやお姉さんのような目で彼を見つめている方がいらっしゃいます。

それはたいていご本人も気付いていることが多いのですが、一度、そういう目で見始めるとなかなか修正しにくいんですよね。


“母性”という言葉がありますよね。
これは女性性の中にある、包容力があり、面倒見が良くて、大きな優しさや愛情深いなどの要素を持ったものなのですが、例えば、付き合いが長くなり、生活を共にする時間が多くなると、どうしても家庭的な要素を女性が担うことが増え、その分だけ“お母さん”になりやすいんですね。

また、幼少期から弟や妹の面倒を見てきたお姉ちゃんや、学校やクラブでもリーダーを常に勤めてきたような自立的なタイプの女性に多い傾向でもあります。

そうすると、ついつい息子や弟を見るような目で彼を見てしまいますから、あれこれと粗が見え、手を出してしまい、過保護になったりします。

そして、この関係は、彼が「かわいらしい、年下の男の子」の場合は分かり易いのですが、「10歳も年上の、超自立で、バリバリ仕事をしているビジネスパーソン」の場合でも起こりうるんですね。

要は「何かしてあげたい、与えてあげたいタイプの女性」がなりうると言ってもいいでしょう。

母性が強いということは、とても女性的なエネルギーが強いということでもあります(つまり、とても女らしさを内に持っているわけです)。
だから、その思いは、たとえ、二人が別れることになったとしても続いてしまうんです。

「彼に新しい彼女ができて、ほんとホッとしたんですよね。これで私の役割は終わりというか。1人でいるとほんとあの子何もできないですからね。」という風に、本当にお母さんかお姉さんのような目で見てしまうこともあるんです。
(※参照2010/8/23「忘れられない“あの子”」 )

そうすると「失恋」の味がちょっと違います。

「私のことはどうでもいいんですよね。辛いし、寂しいんだけど、でも、彼がちゃんとしてるか心配で。私のこと振って、すごく罪悪感に苦しんでいないんじゃないかと・・・」みたいに彼の心配ばかりしちゃったりするんです。

逆に、彼の方も別れた後も「飯、食わせてくれる?」とか「ちょっと上司とまたケンカしちゃって、話聞いてくれるかな?」とか甘えてきたりすることもあります。
恋愛関係は終わったけど、親子関係で続いているような感じです。

でも、意外と本人達は「別れてからも二人はいい友だち」みたいに認識してることも少なくないのかもしれません。

こういう風にお母さん役が徹底されてしまうと、それは「役割」となり、彼から見ても、自分自身でも「女」というよりは、「母」になってしまいます。
そうすると「男」である彼は、「女」が欲しくなり、それで浮気をしたり、別れ話が浮上したりするわけです。

ただ、「母」として、この失恋は受け入れられたとしても、「女」としての自分はそれをどう捉えているのでしょうか?

付き合いの最後の方では、もう体の関係はずいぶんと無く、ほんとに家族みたいになっているとしたら、案外あっさりと彼を手放せるかもしれません。
でも、表向きは「母」をしてしまっているんだけど、でも、ほんとうはそれを寂しく感じていて、時には「女」として扱って欲しいと感じているとしたら、別れを納得しているつもりで、実はずるずると引きずってしまうこともあるんです。

「なんかもうしばらくは恋はいいわ」みたいな感じかもしれません。
疲れちゃうんですよね。
以前、このセリフを25歳の女性から聞いたときには、思わず「え?早過ぎるがな(笑)」と突っ込んでしまいました。

ちょっと「母」の仮面を取って、その奥にある「女」の自分に注目して欲しいんですよね。
我慢してきたこと、諦めてきたこと、求めないようにしてきたことってないかな?
彼のため、と思って自分を放置してきたことってないかな?
彼が喜んでいるのを見るのが嬉しくて、色々してあげて、でも、その影で、ちょっと寂しかったり、切なかったりしたことってないかな?

そうすると、もしかしたら、すごく不満な私が出てきたり、怒り心頭な自分に気付いたり、やっぱり彼が大好き!て思えたり、あるいは、もう冷めてたわね、とあっさり気持ちを切り替えられたり、どうなるかは分かりませんが、少なくてもプロセスは一歩進むはず。

そうして、彼を「母」としてだけでなく、「女」としても手放せていけると心はすっきりしてきます。
そのとき、その彼とも新しい関係性を築いていけると思うのです。

皆さんの素敵な恋に、参考になりましたら幸いです。


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