別れの危機~自立と依存がひっくり返るとき~(2/2)



ラブ・カウンセリング

さて、この危機を乗り越えると、今までとは違う関係性になっているので「あれ、おかいな。こんな自分じゃなかったんだけど」という状態になりやすいんですね。

「今までのあたしと違うな」と感じますし、今まで自立側だった人は「今までメールの返信がなかったからって気にしたことはなかったのに」とか「彼のこと、なんかものすごく好きになってしまったかも。そんなあたしって変」とか感じたりします。「いつものあたしだったら、とっくに別れを切り出してるのになぜかそれができないんですよね」というお話もよく耳にしたりします。

逆に「なんか彼のこと、好きなのか自信がなくなってきちゃった」とか「彼が最近鬱陶しくなってきて、今までならべたべたするの好きだったのに」とか感じるようになったりします。


自立と依存がひっくり返ると、感じている感情もひっくり返ります。
そうすると、「今まで彼が感じていたことを今度は彼女が感じ、今まで彼女が感じていたことを彼が感じる」ようになるんですね。

だから、「今まで彼女はこんなにも寂しくて、不安だったのか。だから、今までは俺の表情をいちいち伺っていたんだな」ということが分かり、「彼はこんなにも余裕な気分だったのね。だから、あたしがますます不安になっていたのか。でも、ちゃんと気持ちはあったんだな」ということが分かるわけです。

そしたら、「かつての自分がして欲しかったことを相手にしてあげる」ことができますよね。これが自立と依存がひっくり返ることのメリットですし、相互依存状態を作っていく礎になるのです。

すなわち、「今までちゃんと彼の気持ちが分からなくて不安だった。きっと今、彼はそんな状態なんだな。だから、あなたのことが好きだよって、ちゃんと伝えてあげよう。」と思えますし、「今までは彼女に不安や寂しさを常にぶつけられて、ちょっと重たかった。きっと今彼女にそれをやったら同じ気持ちにさせてしまうだろう。だから、もっと上手にそれを伝えられるようになりたいな」と思えるでしょう。

これこそが、対等性であり、相互依存なんですね。
でも、これをやりきるには精神的な成熟性がものすごく求められますけどね。難しいですよね。

さて、失恋クリニックですからね、「危機を乗り越えられずに別れちゃった」というケースも私は多くご相談いただくわけです。

別れた後、セカンドチャンスを狙う、という場合、手放して次に向かう、という場合、そして、どちらかまだ決められない、という場合でも、基本は変わりません。
むしろ、なぜ、うまく行かなかったのか?どうしたらうまく行くのか?を学ぶ上で、この振り返りはすごく大きいのです。

危機を越えられずに別れてしまったとしても、この関係性の逆転現象は起こっています。今まで自立だった人は依存側になり、それまでの相手の気持ちを痛いほど感じることができます。また、別れを切り出した元依存・現自立の側もそれまでの相手の気持ちを知ることができ、どうして二人が別れなければいけなかったのかを理解していくことができます。

例えば、元々自立だった人が依存側になると振られる側になるでしょう。今までは我が世の春だったのに、いきなり地獄に突き落とされたような気持ちがするかもしれません。(このパターンは「飼い犬に腕を噛まれた振られ方。」(2009/08/03) などに詳しいです)
しかし、その結果、今までの相手の辛さ、不安、寂しさを肌で知ることができます。
「彼女の気持ち、俺は分かってるようで全然分かってなかったな」
「こんなにも寂しくて辛い思いを毎日していたのか。そういう気持ち、全然理解してあげられなかったな」
と気付いたとすれば、これからは「相手の気持ちをちゃんと考える」ということを学べますよね。

逆に、元々依存だった人が自立側になったとしたら、別れを切り出す側になるでしょう。(「私から別れようと言ったのに・・・(1)」(2009/06/29) などに詳しいです)
そうすると、慣れない自立側かつ、振った罪悪感から、ひどく自分を責めたくなるかもしれません。
でも、そこで「彼は今までこんな風に罪悪感を私に対して持っていたのかもしれないな。そういえばよく頑張って私のわがまま聞いてくれたもんな」とその価値を再確認するかもしれませんし、「これからはあまりわがままを言うのではなく、相手の気持ちを考えて行動するようにしよう」という学びを得るかもしれません。

そうすると、再びこの失恋を機に、自分自身を成長させることができ、その結果、セカンドチャンスを手に入れたり、あるいは、次のパートナーとより幸せな恋愛ができる確率が高まるわけです。

別れの危機について、参考になりましたら幸いです。


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