失恋してから無気力な私。



ラブ・カウンセリング

* * *

お付き合いしれいた彼と別れて数ヶ月。
仕事も行けてるし、ふつうに生活できているし、そんなにダメージはないと思っていたのだけれど、気が付けば何に対しても無気力になっている自分に気が付いた。
仕事はもともとやる気があったわけじゃなかったから、余計気付くのが遅くなったのかもしれない。
でも、他の女の元に走った元彼とヨリを戻したいわけではないし、だからって新しい恋を始める気にもなれないし。
このまま年を取っていくのかと思うとゾッとするけれど。

* * *

例えば、ものすごく熱い恋が終わって燃え尽きてしまったとか、最後はうんざりするくらいケンカが多発して嫌いになって別れたとか、他の女と彼を取り合っていい線まで行ったのに敗れたとか、ひどい裏切りにあって誰も信じられなくなったとか、そういう時って、失恋後、無気力になりやすいですよね。

もういいや・・・疲れた・・・て投げ出したり、諦めたり、「しばらく休も」と別のことに意識を向けようとしたり。


失恋クリニックに寄せられるご相談でも、それでウツっぽくなって病院に行ってる方もいらっしゃいますし、そこまでじゃないにしても、気力が萎えてしまい、何に対しても心が動かされなくなってしまう方にもお会いします。

人を好きになって、愛して、それで、うまく行かなくなってハートブレイクしているのですから、その心理的ダメージは大きいものですよね。

で、そうした明らかな燃え尽き症候群の場合、自分でも「そりゃあ、アレだけ燃えたんだからなあ」と納得もできるところなのですが、その一方で、最初に紹介したような「別れ際はスパッとやったし、それほどダメージないはずなんだけどなあ」というケースも実際少なくないんです。

“自立的”な女子がそうなりやすいんですね。

「最近、無気力だなあ、と思って、やっぱり仕事が忙しいからだと思ってたんですよね。でも、少し楽な時期になったのに気力が戻らなくて。例年ならとっくに海外に遊びに行ってるのに。まさか、あの失恋が原因だなんて言われるまで気付きませんでした。」

という女性もいるくらいで。

よくこの連載でも「本音」とか「素直さ」という話をしているかと思うのですが、「自立」というのは、「感情」を抑圧してするものなんですね。
すなわち、自立する、ということは、感情を抑圧する、ということと同義なんです。

だから、自立すればするほど、本音が分からなくなり、素直になれなくなってしまい、その分、理性的、思考的に物事を判断し、捉えようとします。
そうして「失恋」という現象がそれほどダメージを与えているようには“感じられなく”なってしまうのです。

とすれば、やはり、素直な気持ち、本音の気持ちに向き合うのが大切なんですよね。

そうすると、自分が思っている以上に彼にハマっていて、想像以上にダメージが大きいことに気付けたりするのです。

(ここからは、“ホットな失恋”の場合も基本は同じです)

「気力が無い」の「気」というのは、「気持ち」ですよね。
「気持ち」すなわち「感情」なわけですから、その抑圧している感情を取り戻していくことで、無気力状態から抜け出していくことが出来るのです。

だから、カウンセリングでは、そんな彼への本音と向き合うことをテーマにすることが多いんです。

「ほんとうは好きだったんです。」
「本音はすごく悔しかったんです」
「今もまだ逢いたいかもしれません」
「彼と離れるのはすごく辛かったです」
「今、すごく寂しいんです」

認めたくないので、ちょっと惨めな感じ、屈辱感、嫉妬、恨み辛み、様々な感情が出てくると思います。

そして、そんな感情を感じるのは辛いし、イヤですよね。
(むしろ、それがイヤだから、抑圧して、無気力になってしまってるわけですけれど。)

だから、今度は逆に、イヤだけど、辛いけれど感情を動かしてあげると、その無気力感から抜け出せるわけです。

とはいえ、辛い思いばかりではないんですよね。
むしろ、辛い思いだけだったら、やる意味ないと思うんです。拷問というか、修業になってしまうから。

感情を動かしていくと、始めは嫌な気持ち、辛い気持ち、惨めな気持ちなどがたくさん出てきます。
怒りや恨み辛み、憎しみも不信感も出てきますし、罪悪感や無価値感もやっぱりたくさんあります。

でも、そうした感情とは別に、「好きになることの素晴らしさ」とか「いけてない奴だったけれど、感謝できることもあるなあ」とか「あながち悪くなかったかも」とか「次の恋はもっとお互いを尊重できる関係がいいな」みたいな、前向きな、ポジティブな気持ちが徐々に湧き出してくるんですね。

そうして、感情を取り戻していくと、無気力感から抜け出して、また、新しい未来へと踏み出していくことができるのです。

無気力状態でも心は死んでませんし、またイキイキと躍動することもできます。だから、絶望したり、自分を責めたり、誰かを攻撃したりする必要はないんですよね。また復活できるのですから。

だから、今、そんな状態になってしまっているとしたら、じっくり自分の気持ちを探そうと思ってみてください。
彼に対する気持ちだけでなく、食べ物、映画、ドラマ、音楽、絵、お笑い、スポーツ、なんでも構いません。
感情を感じられるような方向に動ける範囲で動いてみるといいんです。

もちろん、カウンセリングなどで誰かと話をすることも効果的。感情が動き易くなりますから。

そうしていくと、自分自身を取り戻し、新たな恋へと向かう準備が出来ていくのです。

※ただし、無気力だからって無理に感情を動かさないほうがいい場合もあります。
まだうまく説明できないのですが、その方の状況によっては「今は今のままの方がいいかもしれませんね。無理に感情を動かすとかえって危ないですから」と助言することもあるんです。

というのも「無気力さ」って嫌なものですけれど、ある種、心を守る防衛本能から来てるときもあるんですね。
その辺の判断は難しいところですが、お話を伺いつつ、ああ、今はまだその時期ではないな、と感じたときには、そうお伝えしています。

皆様の参考になれば幸いです。


あわせて読みたい