負け、を認めよう。(1/2)



ラブ・カウンセリング

Aさん:彼に対してはまだ何かできることがあると思うんです。今の彼はちょっとおかしくなっているだけだと思うし、ほんとうはまだ私の方に気持ちがあるはずなんです。だから、チャンスを欲しいってお願いしてるんです。まだ大丈夫ですよね?

Bさん:彼は今自分を見失ってると思うんです。だって、今気になるって彼、絶対、彼の好みじゃないですし、きっと彼が目を覚ましたら、やっぱり私がいいって思ってくれると思うんです。だから、まだ諦めたくないんです。

Cさん:「友だちとしてなら会ってもいい」って言ってくれてるってことは、まだ希望はあるってことですよね?ほんとうに嫌いならきっと「会ってもいい」とは言わないはずだからチャンスはまだありますよね?

Dさん:確かに私は彼の愛情にあぐらをかいて、わがまま言って彼を振り回してたと思うんです。でも、今から私が変われば間に合いますよね?だから、彼に待ってもらってるんです。だから、早く変わるためにがんばりたいんです。

Eさん:彼に嫌われることが怖くて、全然自分を出せなかったんですけど、ほんとうは彼のこと大好きだったんです。今からでも気持ちを伝えて遅くはないですよね?「好きな子ができたんだ」と言ってるけど、まだ付き合ってるわけじゃないですし、いいですよね?


タイトルと、ここまでのお話で、既に痛いモードに入っている方もいらっしゃると思うのですが、その辛さを乗り越える“お注射”のつもりで読んでいただけるといいかもしれません。

とはいえ、今、ほんとうに辛い人は、まだ見ないほうがいいかも。この文章は逃げませんからね。準備が出来た後にご覧下さいね。

・・・。

さて、彼女達が一生懸命彼のことが好きで、好きで、そして、必死なことは痛いほどに伝わってきます。むしろ、必死なだけに聞いてる私たちは痛いのかもしれません。

彼とのお付き合いの中で、ほんと頑張ってきたんだなあ、と、そして、何よりも、彼女は情熱の塊ですよね。その熱いハート、情熱はほんとうに素晴らしいものです。

だから、こうしたご相談を頂いて、私が一番最初に思うのは、その恋するハートの情熱を消したくない、ということですね。
その情熱ゆえに彼のことを引っ張ってしまう一方で、でも、そのハートは、きっと人を幸せにするエネルギーを持っていると思ってるんです。
だから、それを自分を傷つけたり、貶めたりする方向ではなく、もっといいものに使って欲しいと感じてるのです。

そんな時、敢えて、きっと言われたくないだろうな、という事を伝えることがあります。
そして、その結果、私のことを否定したくなったり、嫌いになったり、憎んだりすることだってあるかもしれません。
でも、たとえ、そうなったとしても、伝えた方がいいだろうと判断して、お話を始めます。

『今のままでは90%以上、うまくいかないと思うんです。なぜかというと、あなたの今の言葉の中に、彼の気持ちを考えたものが一言もないんですよね。
彼がなぜ、別れを切り出したのか?それまでの彼の苦悩。一緒にいたあなたならば、きっと分かるはずです。
でも、今のあなたは残念だけど、自分のことしか考えられなくなっているのかもしれません。辛くて仕方がないことかもしれないけれど、でも、そんな今のあなたに彼はロマンスを感じられるでしょうか?
もしかしたら、お付き合いしている間も、そんなところ、ありませんでしたか?もし、あったとすればそれが別れの理由になってはいませんか?
あなたには十分魅力があると思います。でも、自分のことでいっぱいいっぱいになっていると、その魅力は全然発揮されないと思うんです。
ご自分でも分かっているかと思うんですが、今のあなたは、自分の点数を下げることをしようとしているのかもしれません。
だから、まずは、その思いを置いて、自分自身を見つめること、つまりは、余裕を心に作ることをお勧めしたいんです。
なぜ、こんなことになってしまったのか?なぜ、二人は別れなければいけないのか。そこを見つめなおしませんか?そこから自分を変えていきませんか?もし、セカンドチャンスを狙うとしたら、まずはそこからだと思いますよ。
いわば、負けを認める、ということ、もっと言えば“全面降伏”です。「もう、負けたよ」って。それは別れを受け入れる、ということで、そうすることできっとあなたは次のステップに踏み出せると思うのです。』

言い方は様々ですが、要は「今のあなたのスタンスで彼に迫っても、あなたの印象を悪くするだけで、彼の心はますます冷めてしまいます。」ということ、そのために「負けを認めましょう」ということを伝えたいんです。

自立的な生き方をされてる方は、とてもそれに屈辱感を伴うでしょう。負けを認めることは、まるで、自分の存在がなくなってしまうような怖れ、自分を全否定されたような痛みを感じるかもしれません。
だから、「分かってます。分かってます。でも、彼が・・・」と、つい、“でも”を連発してしまったりします。

実は「負けを認める」という、こういう厳しいお話をするのは、まだ“失恋を受け入れられていない”状態だからなんです。

現実を見ずに動いてもうまく行くことは少ないと思うのです。まるで、目を瞑って猪突猛進するようなものですから。

でも、実際のところ、こうして“負け”を認めてみると、不思議なほどに心が落ち着いてくるものです。

「あ、もう頑張らなくていいんだ」
「もう戦わなくていいのか」
「肩の荷がすーっと下りたような感じ」
「なんかホッとして気が抜けてしまいました」

そんな感覚がやってきます。

「きっと受け入れたくないけれど、分かっていた、でも、それを受け入れる勇気もないし、これからどうしていいのか分からない。だから、ほんとうは無理だって分かっているんだけど、無理やりしがみついているのかもしれない」

それが彼女達の本音のような気がします。

だから、負けを認める、すなわち、現実を受け入れると、心がすーっと軽くなるのです。

私たちはどんなに辛いことがあったとしても、それを受け入れるだけの心の器を持っています。
でも、意識が、そして、過去の経験が、その受け入れを拒否したがるのです。それが執着心というものかもしれません。

だから、現状に素直に向き合えるようになると、その器に現実がすっと入り込み、そして、心が落ち着いてきます。

そうすると自然と“次”が見えてきます。

「どこかで分かってたのかな、と思います。けど、今は追いかけても無理ってことが分かりました。だから、彼を自由にしてあげようかな、と。そして、自分もまた自由になって自分磨きをしたり、過去の傷を癒したりして成長したいな、と思うようになりました。もし、彼と結ばれる運命になってるのなら、きっとまた出会うだろうと思いますしね。そのとき、びっくりするくらいいい女になっててやろうかな、なんて思うんです。」

1ヶ月前には辛そうな表情をしていた彼女が、ときどきニコッとしながらそんな話をしてくれたこともあります。
そのときの彼女は、まるで憑き物が落ちたかのようにすっとした表情をされてました。

「やっぱり彼のことをもうちょっと好きでいようと思いました。だって、なかなかあんないい男、やっぱりそういないな、って。でも、しがみ付くのはもうやめようと。そうしても、自分を落とすだけだし、これ以上、自分を惨めにすることもないかな、って思うんですよね。だから、自然の流れに任せようかな、と思っています。」

負けを認め、執着を手放した後にも、こんな風にまだ“好きだな”という気持ちが残ることもあります。
それはとてもピュアで自然な思い。だから、全然おかしいことではありません。
やはり憑き物が落ちたようなすっきりした表情で、そして、目は未来をちゃんと見ています。

そういう状態になれば、あとは自然と上がっていくものです。この彼女が数ヶ月後、どれくらい魅力的な女性に“勝手に”成長していくのか、私も楽しみにしているんです。

※来週はAさん~Eさんへの「個別メッセージ」をお届けしたいと思います。


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