今の恋に忍び寄る元彼の影(1/2)



ラブ・カウンセリング

24才。

「大好きだった彼と別れて1年あまり、ようやく痛手から快復し、私を好きと言ってくれる人も現れて、とても優しいし、ぜんぜん悪い人じゃないしな、いつまでも過去にしがみついてもしょうがないな、と思って付き合い始めたんです。
でも、何かが違うんですよね。何かと元彼と比べてしまうんです。
元彼ってガサツに見えて意外と紳士なところがあって、例えばレストランに食事に行くと、黙ってても壁側に座らせてくれるし、私が座るまで立って待っててくれるし、食事のペースも合わせてくれてたんですよね。そういうところ、やっぱり大人だなあって。
この間、今の彼と食事に行ったら、さっさと座っちゃうし、勝手に食べ進んで『○○ちゃんって結構食べるの遅いんだね』とか言われて、なんだかサーって冷めちゃって。
そんなだから、何か盛り上がらないんですよね。ほんと、悪い人じゃないんですけれど。
でも、それで別れるのはもったいないし、結婚するならこういうタイプがいいんだろうな、とか打算も働くし、でも、やっぱり元彼のことを最近よく思い出すんですよね。会いたいなあって。でも、それってまずいですよね。」



29才。

「前の彼とは5年も付き合ってたし、マンネリしていたし、刺激が欲しかったんですよね。それで私から別れ話をして、意外と粘られて泥沼化して、でも、最後はなんとか別れたんですよね。泣かれた時はどうしようかと思ったんですけど。
その後すぐに今の彼と付き合い始めたんですが、ほんと始めはよかったんですよね。ぐいぐい引っ張ってくれるし、そういうところ、前の彼に物足りなさを感じてたので、ほんと、すごく幸せだったんですよね。
でも、楽しいのは始めだけで、だんだんアラが見えちゃって。あんまり私の気持ちとか考えてくれないタイプなんですよね。なんかヤリたいだけなのかなあ、みたいな。しかも、自分だけ満足してすぐに寝ちゃうし。元彼はそういうときも優しくて、甘えさせてくれたなあ、とか思ったら凄く切なくなって会いたくなっちゃって。でも、今さら連絡取ってもまずいですよね?私から振った手前、なんか抵抗あるし。」

30才。

「ちょっと疲れたてたのかなあ、って思うんです。今の彼って何だか女の子みたいで、話は合うし、盛り上がるし、一緒にいても楽なんですけど、男って感じが全然しないんですよね。いわゆる草食系っていうのかな?
買い物にちゃんと付き合ってくれるのは元彼とは大違いだけど、だからって何か選んでくれるわけでもないし、『これどう?』って聞いても『うん、いいと思うよ』ばかりで。
元彼ってあんまり人の気持ちとか考えてくれないタイプなんだけど、でも、『俺はこうしたい』ってのをはっきり持ってる人で、一緒にいたら頼れるし、そういう意味では安心したなあ、って。
ケンカ多かったし、価値観も合わないし、他の女の子にも手を出してたみたいで、女の敵みたいなところもあるんだけど、でも、男らしくて、その点は頼りがいがあったなあ。
ずっと一緒にいるのは疲れるんだけど、でも、たまには会いたいって思っちゃうんですよね。あいつも新しい彼女が出来たって言ってたけど、どうせまた浮気するんだろうし、たまには会いに行っちゃってもいいかなって。やっぱりまずいですよね。」

「ねえ、根本さん、今までの彼を全部足したような人なんていないですよね?」

ま、これはフィクションですが、付き合いが長いと「歴代の彼氏全集」を作れるくらいの方もいらっしゃるんですね。
「よくよく思えば、私の恋愛を全部知ってるのって根本さんだけかも」とか言われて舞い上がったこともありました。言われて見ればなるほど、元彼も不倫相手も気になってた人もあっさり振った男もよく知ってるなあ、と。

さて、今回のテーマ。
本当に元彼を手放せているのかどうか?というのは、次の恋をしたときに分かるものかもしれません。

彼と別れて、傷ついて、あるいは、幻滅して、悲しみ、怒り、不満がいっぱいの状態があって、それを抜け出して次の恋をして・・・。

そして、ふぅー、ひと安心・・・となるはずなのですが、、、。どうも、そうはいかないことが少なくないようです。

私はよく「隣の芝生は常に青い」とか「私たちは常に青い芝生を探している」などと良く言うのですが、新しい彼に「あれ?」と思う点が出てくると、私たちはつい「昔の彼のいいところ」と「今の彼の悪いところ」を比べるようになります。

そりゃあ、新しい彼、断然不利です。

私たちの記憶は、自分の心の状態で勝手に作りかえられるものなんです。
だから、辛い失恋も、時を経て、今の彼に愛されるうちに徐々に「いい思い出」に変わっていったりするんです。
すると、付き合っている当時は「サイテー。もう、なんでこんな人を彼氏にしたんだろ?」と思っていたのに、何年か後には「なんだかんだ、悪い奴じゃなかった」とか評価が変わってしまうこともあるんです。

特に、私たちの長所と短所は表裏一体。
優しい奴は優柔不断で、男らしい奴は女心が分からず、自由を感じさせる奴は自分勝手なわけです。

ぐいぐい引っ張ってくれる彼には「私の気持ちを分かってくれない」と優しかった元彼を望む気持ちが出てきますし、草食系の従順な彼と付き合うようになれば、そのイヤだったグイグイさが、とてもいとおしくなったりするのです。

私たちはとてもわがままな生き物ですね。(それでいいんですけどね)

さて、次週はなんでそんな目で彼を見てしまうのか?を考えて行きたいと思います。


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