それはあなたの感情なの?



ラブ・カウンセリング

今回は失恋クリニックに限ったお話ではありません。
先週の「私を攻撃する彼、その真意とは?」で頂いたたくさんのコメントに目を通していると、いくつかのコメントで気付かされたことがあるんですね。

それは「あなたが今、感じている感情は誰のものなんだろう?」というもの。

「えっ!?」と思ったりします?

実は私たち、ふつうに生活しているだけでも、周りの人から様々な影響を受け、他人の感情を引き受けてしまうこともあるんです。
感受性が強い方は特に、自分では知らないうちに結構やってしまっているものです。


なぜ、そういうことをするのか?というと「助けたい」からです。

実は、この誰かの感情を引き受けることは私たちがほんとうに小さい頃(胎児の時代も含む)に、親に対して絶え間なくやってきたことなんです。

例えば、あなたの大切な人が重たい荷物と背負っていたら、それを少しは持ってあげたい、と思うでしょう?
それと同じで、あなたの大切な人が重たい感情を持っていたら(つまりは苦しんでいたら)、それを引き受けて、少しでも軽くしてあげたい、と思うんです。

それを生まれからずっとやってきたとすれば、特に感受性が強かったり、助けたい気持ちが強い方はもちろん、そうでない方だって少なからず人の感情を引き受けてしまうようになるんですね。

また、そもそも感情には共鳴作用があります。人の感じている感情に反応して、同じ感情を感じる作用です。
楽しい人のそばに行けば楽しい気分になったり、全然関係ない人のお葬式に参列したとしても周りにつられて悲しい気分になったりしますよね?
それが共鳴作用。

それはその人との距離が近い分だけ強くなりますから、あなたのすぐそばにいる人の感情を引き受けるのです。

皆さんの中に、さっきまで気分が良かったのに電車に乗ったら急にイライラし始めた、なんて経験ありませんか?もしかすると、電車で隣り合わせた人がイライラしていて、それをあなたがキャッチしてしまったのかもしれませんね。

そう考えれば、パートナーシップというのは、大事な人で荷物を持ってあげたいと思うし、そもそも距離が近いわけですから、ガンガンお互いの感情が行き交います。

ただ、感情は感じれば感じた分だけ解放されますから、感受性が強くて、感情を常にオープンにしている方同士がお付き合いしてる場合は、感情が溜まることなく流れていきますから問題はあまりありません。

でも、私たちは程度の差こそあれ、何か我慢していたり、抑圧していたり、禁止していたりします。

すると、無意識のうちに、相手の感情を自分が感じるようになります。すなわち、相手の荷物を持ってあげてるわけですね。

もちろん逆もまた真なりで、あなたが抑圧している感情はパートナーが持ってくれていることになります。

特に、ロックマンや鉄火面ちゃんと呼ばれる、感情を切って生きているタイプが相手の場合は、相手の感情のほとんどを引き受けなければいけなくなって、2人分の感情を常に抱えるような状態になってしまうこともあります。

ところが、どれが自分の感情で、どれが相手の感情なのかはなかなか区別が付きません。
だから、相手のものとは知らずに、自分の感情だと思ってずっと抱えている場合も少なくないのです。

もちろん、彼の感情を引き受けてあげるのは彼を助けてあげたいからですが、区別が付かない以上、自己嫌悪も2倍、罪悪感も2倍、イライラも2倍感じてしまうんですね。
それってすごくしんどいですよね。
言い換えれば、自分のものではない感情で苦しんでしまうことになるんですね。

では、どうしたらいいのでしょうか?

赤の他人の感情であれば、その場を離れれば、その感情から解放されるので分かり易いのですが、パートナーが相手の場合は、心は近い状態ですから、離れるだけではなかなか気付けません。

だから、「これは自分の感情なのかな?もしかしたら、彼の感情じゃないかな?」という思いを頭の隅に入れておいて欲しいんですね。
そして、理解できない感情と出会ったときに、この言葉を思い出してみてください。

もし、本当に彼の感情であったとすれば、腑に落ちるというか、その感情がすーっと抜けていくというか、心がふっと軽くなります。

そこで、もし、彼の感情だと気付いたら、「私はまだ無意識に彼を助けたいと思っているんだ。そして、彼とは今もとても近い距離にいるんだ」と思ってみてください。自分の中にある愛にまた気付けます。

大事な人だから、助けたいと思います。
その思いが、彼の感情を引き受けることになるのですが、でも、それを知らずにやってるとしたら、あなたは、必要以上に自分を責めたり、相手を攻撃したり、我慢したり、辛い思いをしたりしてしまいます。

これは自分の感情ではない、と気付いて手放すことで、自分自身の感情と向き合えるのと同時に、彼への愛を再確認することが出来ますし、改めて、彼を助けることを選択できるようになるのです。

※ただし、お互いの心がくっ付いてしまう「癒着」の状態ですと、感情的にお互いの区別がつかなくて、感情を共有していますので、仮に彼発の感情であっても抜けていくことはありません。そこに留まってしまいます。
この場合は、まずは癒着を解くことが先決となりますね。


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