環境の変化が恋にもたらす影響。



ラブ・カウンセリング

春は変化の季節。就職したり、転職したり、昇進、異動、転勤に離職。
また、引越しをするなどの環境の変化を経験された方もたくさんいらっしゃるでしょう。

環境が変化すると、当然、その変化は心、感情にも影響を及ぼします。
すると、今まではOKだったのものが、なぜかNGになってしまうことも出てくるんです。


例えば、転勤した彼と遠距離になったとしたら寂しさや不安が募ります。これからどうなるのか、ちゃんとやっていけるのか、他に好きな人ができたりしないのか、あれこれと考えてしまうかもしれません。

また、彼はまだ学生だけど、私は今年から社会人、みたいなケースもありますね。自分の環境ががらりと変わってしまい、二人の付き合い方に大きな変化が生まれるでしょう。(私が昔経験したことですけれど、笑)

それから仕事自体は変わっていないんだけど、異動や昇進で彼がものすごく忙しくなってしまい、会える時間が急減。そしたら、寂しくなって別の人を好きになっちゃった・・・みたいな話だって珍しくは無いかもしれません。

こうした環境の変化は予め頭の中でシミュレーションができるものですけれど、でも、実際その状況になると予想外のことがたくさん起こるものです。

春に限らず、環境の変化が二人の関係に微妙な影響を与え、それがやがて大きな問題へと発展することも少なく無いんです。

例えば、こんな話をカウンセリングしていたことがあります。

A)「東京と大阪で遠距離恋愛をしていました。結婚が決まり、彼が住んでいる東京に引越し、新しい生活を始めたんです。でも、私が仕事を決めたり、二人で住む場所を探したりするために上京するたびにお互いぎこちなくなり、一緒に住み始めたころには、いきなり家庭内別居みたいな状態になってしまったんです。」

B)「付き合って10年、一緒に暮らしてもう6年。そろそろ子どもも欲しいし結婚しよう、ということになりました。お互いの親にも当然オープンになっていたので、とんとん拍子に話が進み、無事結婚。同棲生活が長かったので始めのころは『あんまり前と変わらないね』なんて話をしていたのですが、だんだんすれ違うようになり、結婚して半年でケンカばかりするようになってしまいました。この10年間、ほとんどケンカなんてしたことが無かったのに」

どちらにも共通していることは何かと言うと、お互い、遠距離、同棲という環境に“適合”してしまったところなんですよね。

例えばAのお話。
遠距離でいることに慣れてしまうわけです。そうすると、お互い東京と大阪に離れて暮らしていて、それぞれの生活リズムが確立します。
特に「好きな人と離れて寂しい」と何とかその心の穴を埋めようと、習い事をしたり、仕事を頑張ったり、友だちと遊んだり、趣味を持ったりします。
そうして、日常は「彼はいないけれど楽しい生活」を作っていくようになるんですね。
普段、彼と話すのはスカイプで、月に1回、どちらかが2泊3日で会いに行くスタイルも固定化します。
私たちは「安心」が欲しい分だけ、関係を「固定化」させたがる心理が動きます。

それが、結婚、という形で「動く」わけです。
そうすると、意識レベルでは「念願のできごと」なわけですが、心にとってみれば「大きな変化」になりますよね。

そんな時、心に目を向けずに「これは二人にとって望ましいこと」と思い込み、結婚なり、同棲なりを決めてしまうと大変なんです。

体は東京に一緒に居ます。でも、心は東京と大阪に離れたまま。
すると、その違和感からぎこちなくなるんです。

特に私たちは潜在的に変化に対する怖れを持ちます。
そうすると、それまで彼なし、彼女なしで確立してきた生活を脅かされる変化のように感じてしまうのです。

もちろん、すべての遠恋カップルが嵌るわけではありませんが、お二人の生活スタイルによっては「リハビリ期間」を設けたほうがいい場合が少なくありません。

例えば、ちょっとコストはかかりますが、まずは彼女が東京に一人暮らしをしてみる、とか。

それからBのお話。
同棲と結婚。
おんなじことのように感じられる人も少なく無いかもしれません。
でも、一緒に生活していることは同じですが、心理的にはとっても大きな違いがあるんです。

同棲から結婚した方に話を伺うと、多くの方が「結婚したら、もう逃げられないような気がする」とか「何か束縛が強くなりそうな気がする」という感覚をもたれます。

同棲って「まだ今なら別れられる」という暗黙の“隙間”が空くんですね。
別に離婚がダメとは思っていないかもしれませんが、一度、結婚してしまえば、家族や周りを巻き込んでしまうのでなかなか別れられない、と感じる方も少なく無いと思うんです。

つまり、それが同棲と結婚の違いなんですね。
結婚はお互いの家族、お互いの家族、会社などにも影響を及ぼします。
それが「責任」と言うことになるわけですが、ずっと同棲をしてきた分だけ、“たかが結婚”されど、その壁が大きくなりやすいんです。

心理的に見れば、同棲よりも、結婚の方がより心の距離が近くなります。つまり、変化が生まれるわけです。小さいけれど、とても大きな影響を持ちやすい変化です。

この場合、潜在意識の中では「もう後戻りできない」という怖れが渦巻いているほかに、さらに親密になってしまうこと、お互いがほんとうに社会から承認される関係になることへの怖れも隠れていることが多いです。

実際、上の例とは別に「同棲していた彼と結婚を決めた瞬間からマリッジブルーになってしまい、毎日『この人でほんとうにいいのか?』を悩むようになってしまった」というカウンセリングも経験したことがあります。

そういうときは、お互いに改めて一歩近づき、新しい関係性を築くように意識を向けます。
できれば結婚後の生活やこれからの関係について、子どもや家のこと、お互いの家族について、じっくりとコミュニケーションを取る時間を設けたいですね。
一緒に暮らしていて、お互いが分かっている“はず”だからこそ、意識的にその時間を作って欲しいところです。
“分かったふり”が一番怖いですから。

そんな風にお互いの環境の変化は、少なからず二人の関係を新しいステップに踏み出させてくれます。
見方を変えれば、環境の変化は、お互いの絆をさらに深めてくれる好機とも取れるわけで、より一層素晴らしいパートナーシップを目指す機会と捉えてみるといいかな、と思うのです。

参考になりましたら幸いです。


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