<リクエスト>
カップルカウンセリングに行くのに、私がカウンセリングを受けることに対して前向きである一方で、主人は「行きたくない」の一点張りです。2人で受けなければあまり効果がないと思うのですが。
とりあえず、「行かないなら別れます」と宣言しているので、いやいやながら一緒に行くことに同意してもらいました。それでも、カウンセリングを受ける意味はありますか?
(Yokoさん)
<根本からの回答>
一概に“意味なし”とは言えませんが・・・。やはり本人の意思は尊重してあげたいです!
最近、カップルカウンセリングのご依頼もすごく増えて来ました。
ありがたいことです(^^)
私も、カップルカウンセリングは「小さなセミナー」みたいな感じで、ふだんとは違う感覚で関われるので、案外楽しませていただいているんです。
以前は「この旦那、何とかしてください」的な感じで“連行されてきた”パターンも多かったのですが、最近は、お互いに「前向きに良くなりたい」という方も多いです。
とはいえ、まだまだカウンセリングを受けるには抵抗があるのも正直なところでしょうね。
一般的にはやはり女性の方が敷居が低いのでしょうか。
カップルで来られた方も、その多くが女性が発案者であることが多いんです。
で、Yokoさんと同じご相談、とても多いんですよね。
「カップルで行きたいけれど、相手が同意してくれない。それでも行く意味はありますか?」と。
そして、私がどう答えるかというと、まずは「やる気がある人からはじめるのが良いですよ」と。
パートナーシップの問題はどちらか一方が悪いと言うことはありません。
どんな問題であろうと50/50、五分五分です。
ということは、自分がやる気があっても、相手がない場合、相手のモチベーションの低さに引っ張られてしまうと、自分が担当する50%分に力が割けなくなってしまいます。
また、“つり橋理論”と言ってもいいんですが、カウンセリングに行くこと、あるいは、変化することに潜在的な“怖れ”を抱いていると、パートナーとの間で「あなたが先に行きなさいよ」「いや、お前が先に行けばいいじゃないか」というネガティブな譲り合いが生まれることも少なくないんですね。
そうすると、お互いにプロセスが止まってしまって身動きが取れなくなるんです。
「じゃ、じゃあ、怖いけれど一緒に行こうか・・・」となればハッピーなんですけどね。
だとしたら、ここはやはり、やる気がある人が「リーダーシップ」を取ることが望ましいかと思うんです。
もし、Yokoさんが東京にいて、旦那さんが新大阪の駅にいると思ってください。
同時刻に出発する新幹線に乗り込めば、1時間ちょっとで、ちょうど中間点の浜松あたりで出会えます。
これが一番早く出会える方法で、一番理想です。
しかし、相手が新大阪でぐずぐずしているからと、自分も東京で待ってしまえば、いつまで経っても会えません。
それならば、東京から先に乗ってしまったほうが、2時間半で二人は出会えるんです。
ベストではないけれど、ベターだとは思いませんか?
だから、たとえ、夫婦二人の問題だとしても、やる気がある人から始めるのが一番良いと思っているんです。
また、「来ないと離婚するから」と怖れを使うのもどうかな、と思うんですよね。
ご主人の立場になってみましょう。
脅されてカウンセリングルームに来たとき、彼はどんな気持ちでしょうか?
「しゃあないな、よし、やるか!」という気持ちになるでしょうか。
それとも、「言われたから来ました」と後ろ向きな気持ちになるでしょうか。
後者ですよね。
そうすると、そんなやる気のない旦那さんを見て、きっとYokoさんは失望したり、怒ったりしてしまうと思うんですね。
私も、そこに意味があるかな・・・と思ってしまうわけです。
カウンセリングが何かをしてくれるわけではありませんよね。
あくまで、二人の関係が良くなるためのサポーターであり、助言者であり、黒子なんです。
残念ながら魔法の杖を持ってるわけではありませんから、連れてきさえすれば大丈夫、ということにはならないんですよね。
過去、なかなか向き合えない旦那さんのモチベーションを上げるのに2時間のほとんどを費やしてしまったことがあります。
奥さんもだいぶがっかりして、落胆されてました。
「こんなことなら私一人で来たほうが良かったかも」と。
あるいは、こんなケースもありました。
モチベーションの低い旦那さん。2時間とりあえず座っていて、奥さんの訴えを横で聞き、そして、「なんとかがんばります」と言って部屋を出た数日後。
奥さんにこうおっしゃったそうです。
「ほら、君の提案にしたがってカウンセリングへ行っだけれど、ぜんぜん良くならなかっただろ?だから僕らはもうダメなんだ。離婚しかない」と。
数日で効果が出るわけではないこと、また、1回ではあまり意味がないことなどを一生懸命奥さんは説明したらしいのですが、堅く心を閉ざしてしまったようです。
これは、“カウンセリングに行った”ということを利用されてしまったケースで、私としても痛い思いをしました。
そんなネガティブな話もありましたけれど、最近ではカウンセリングという言葉も一般化してきたお陰で、「口ではあんまり乗り気ではないけれど、実はちょっと楽しみにしている」なんて方も増えてきたように思います。
誘ったのは奥さんだけれど、実はご主人もやる気で・・・みたいなことも。
実際お会いして話を進めるうちに、どんどん乗ってきてくれて、最後はかなり饒舌に話してくださったり、涙してくださるような方も増えてきました。
カウンセラーは気持ちの代弁者にもなりますから、「そうです、そうです、私が言いたかったことは」と反応してくださると嬉しいものですよね。
最後は二人で見つめあいながら「良かったね」なんて帰っていただければ、私としてもこれ以上の幸せはないわけです。
それに、1回でもご主人にお会いしていたほうが情報量が豊富になるので、今後のことを考えると、あながちネガティブなことばかりではないんですよね。
だから、一概に「意味はない」とは言えません。
そういうわけで、最近は「当日の朝、もしくは、前日の晩。『明日カウンセリング一緒に行ってくれる?』って聞いて、明確に『No』でなければいいでしょう」なんて付け加えるようにしています。
Yokoさんのご主人も、来て見たらよかった、どんどんテンション上がっていった・・・なんてことになればいいなあ・・・と思っています。
参考になりましたら幸いです。
=お勧め!エクササイズ=
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