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[33]ダメ男にハマる心理とそこから抜け出す方法。



ちょっと前になるのですが、お客さまから頂いたリクエストにお答えします。

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では、皆様からのリクエストをお待ちしています。
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まあ、なんともストレートなご質問でございます・・・(笑)
最近は「だめんず・うぉ~か~」というドラマも放映されてましたし、以前取材でも「だめんず(=ダメ男)の見分け方」とか「対処方法」などを質問して頂きました。

ダメ男の定義というのは色々あろうかと思いますが、一応Wikipediaによれば「だめんず・うぉ~か~」の原作でよく取り上げられるのは「貧乏人、虚言癖、ドメスティック・バイオレンス、マルチ商法の勧誘、浪費癖、浮気常習など」といった男性陣を指すようです。

ただ、カウンセリング的には、あなたが『こいつはダメ男やわ』と思ったら“だめんず”になるわけで、例え浮気常習犯と付き合っていても「素敵な男やわ」と思っていれば、それはご本人的には“だめんず”にはなりません。

では、どうしてそういうダメ男にはまってしまうのでしょう?

一つは“補償行為”という見方ができます。
それはダメ男と恋をしてるときは「彼を助けたい」「私があなたを救ってあげたい」という気持ちが強くなるところから見分けられます。
それはダメ男って言うくらいですから、すごく弱い部分をあなたはたくさん彼の中に見るわけです(例えば、すごく暴力的な男性は自分自身に対しても酷い暴言・暴力を働いて自虐的、自己破壊的な部分をたくさん持っています)。
そうすると「放っておけない」「私が何とかしてあげる」という母性にも似た強い感情がむくむく沸きあがってきます。

例えば、DV夫を持つ女性をカウンセリングしているとき、
「彼に殴られるのは辛いけれど、彼はもっと辛い思いをしているの」
「彼のことを本当に理解できるのは私だけしかいないの」
「私しか彼を分かってあげられないし、助けられないの」
という思いを抱かれている方が非常に多いんですね。
それが苦痛を和らげる心理的な効果があるので、また我慢して苦しい境遇にも耐えてしまうんです。

こうした気持ちが出てくると、もう放っておけないのでとことん付き合ってしまいます。
何とか彼を守ろうとして、助けようとします。
でも、なかなかそれがうまく行かないので、ますます酷い状態になっていきます。
それでもやはり「私が助けなければ・・・」と深みにはまり、やがては共倒れしてしまうような感じです。
言わば「共依存」という状態ですね。

でも、それが愛情なのかどうかの判断はとても難しいところです。
相手のために一緒にいるのか?それとも、自分のためなのか・・・。

補償行為という考え方に従えば、まるでこの状況を使って自分を責めているように見えることが少なくありません。
言葉は悪いのですが、「彼を助けることによって自分の存在価値を証明しようとしている」場合や「彼を助けることによって、贖罪をしている」という場合もあります。
もちろん、無意識的な行動ですので、すぐには信じがたいものかと思います。
でも、こういう場合には彼を助けることで自分の存在意義が成り立つので、なかなか彼を助けることができないんですね。
そればかりか一層酷い状況を招いてしまうこともあるくらいです。
こうなると、彼のために、というよりは、自分のために、という欲求が強いと言えるかもしれません。

この心理背景には「私は彼以上にダメな女で、彼ぐらいしか私をちゃんと受け入れてくれない」という心理が隠れているんです。
つまり表面上は彼のことをダメ男と思っているのですが、その背景には「あたしはもっとダメ女」という観念が根を張っていたりするんですね。
そうすると、ダメな男にダメな態度を取られ、また傷つくんだけど、それでも「このくらいダメな男が私には相応しい」と感じてしまうんです。
これは無価値感と言って、自分には愛される価値などないんだ・・・という強い自己否定感なんです。

また、罪悪感が強いとダメ男と付き合って自分が苦しむことで、自分を罰しようとしていたりします。
そうするとダメ男にダメな振る舞いをされても「あたしが悪いんだから、このくらいは我慢しなければ」と背負い込んでしまいます。

どちらのケースでも、表面に起きていることと、背景にある深層心理ではまったく違う流れがあって、そこが問題を複雑化している原因になるんです。

そうするとカウンセラーとしては、まずはダメ男のことは横において、彼女の内面を掘り下げ、その無価値感なり、罪悪感を癒す方向に舵を切ります。
つまり、ダメ男にはまる要因である無価値感や罪悪感を癒せば、補償行為はなくなりますよね。
そうすると、
・ダメ男な彼をすんなり手放すことができる(→幸せな恋愛ができる方向に踏み出す)
・ダメ男な彼を今とは違う角度から助けることができる
のどちらかになるんですね。

特にパートナーは自分の鏡でもあります。
だから、パートナーの中に酷い痛みや苦しみが見えたとしたら、同じような苦しみや辛さがあなたの中にもあると言えるんです。
とすれば、あなたのその痛みを癒すことができれば、彼の痛みも癒されるか、あなた自身が癒してあげることもできるようになるでしょう。

これはもう少し話を広げて一般化すると次のように言えます。
「問題児の彼の存在によって本当の問題を隠す」

これはちょっと分かりにくいでしょう?
例え話を用いて説明すれば、あなたは朝からずっと変な腹痛に悩まされてると思ってください。ちょっとヤバイなー、医者に行かないとまずいなー、という感じの変な腹痛。
でも、病院嫌いなあなたは「もうちょっと様子見ようかな・・・」と思ってます。
そうしているうちに、今度は虫歯が痛み出しました。こちらはちょっと水を飲んだだけでもビクンとなる刺激で、ものは全く食べられません。
あまりに痛いので腹痛のことはすっかり忘れてしまっています。

この腹痛が「本当の問題」で、歯痛が「ダメ男な彼」なわけです。
より刺激的な痛みを感じることで、本来の違和感が忘れ去られてしまう(意識が逸れてしまう)という例です。

実は先ほどの例も、本当の問題=無価値感なわけです。
こういう見方をすると、ちょっと辛い言い方だけど、それを彼の問題を使って隠してしまってると言えるんですね。
その他、家族の問題、借金の問題、子供の問題など、彼の問題が刺激的で派手で目立ってはいるけれど、ほかに重要な問題が隠れてることも少なくないんですね。

だとすれば、まずはそちらの本質的な問題に目を向けることが大切なんです。

だから、カウンセリングでもこうした問題をご相談いただいた時には、「まずは彼のことは横において、自分自身の問題に目を向けましょう」という風にお話させていただくことが多いんです。
表面的に彼との問題を扱ったとしても、本質的な問題は差し置かれてますからまた同じ事が繰り返されます。
だから、少々時間はかかるけれど、根っこの問題を扱っていく方が確実かと思うんですね。

そして、この根っこの問題というのは、昔からある人間関係に由来します。
特にご両親との関係が重要です。

AC(アダルトチルドレン)の本を読めば「アルコール依存症の父を持つ娘は、なぜかアルコール依存症の夫と結婚することになる」という症例が必ずと言っていいほど紹介されています。
うちの心理学講座でも、親との関係は折に触れて取り組んでいますね。

そうすると、もしダメ男と付き合っているのであれば、お父さんや家族の中に彼と同じようなダメ男か、あるいはまったく逆のきっちり男がいた可能性が高いといえます。
そういう目でもう一度家族、あるいは過去にお付き合いした男性を振り返ってみてください。
もし似た感じの人、まったく逆のタイプの人を発見したら、その人との関係を見つめなおすと、やはり彼との関係も変えていくことができるようになるでしょう。

そんな風にダメ男にはまってしまう心理には掘り下げれば、非常に広い心の世界が見えてきます。
千差万別な部分もありますので、ぜひ、一度自分自身をよく見つめてみてください。
ちょっとドロドロした部分、嫌な自分と直面することもあろうかと思いますが、それもまた自分の成長と彼とのより良い関係のため、と思い、ひと踏ん張りしてみましょうね。

男と女の心理学

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この記事はまだまだ十分ではないと感じているので、続編も考えてみたいと思います。
皆様の感想やご意見を一定期間お待ちしていますので、もし、宜しければコメント欄を活用下さい。


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