[28]男性が仕事を大事にするのは?



4/23の大阪・心理学ワークショップに参加してくださいました皆さん、ありがとうございました。
たくさん来てくださったお陰で、ちょっと会場が狭く感じましたね。
また、打ち上げにもたくさんの方が参加してくださいましてありがとうございました。
今回も夜中までお付き合い下さって嬉しかったです。

機会がありましたら、ぜひご参加ください。

なお、何人かの方からテキストが欲しい旨リクエスト頂きました。
近々、テキスト自体をここで公開させていただきますので、しばらくお待ち下さい。
今回のはワークブックとしても使えると思いますので、お手持ちの方は、もう一度見つめなおしてみてはいかがでしょうか。


* * *

さて、ワークショップの時にも楽しみにして下さってる方が多いことを知って、若干調子に乗ってます(^^)
「あと何回続くんでしょうか?」
ってご質問もいただいたのですが、今回を含めて後4回+αで終了の予定です。
またこのテーマのワークショップを開催させて頂いたときに、再開させていただこうかと思っています。
あるいは、皆さんからリクエストを頂いてもいいですね。

28回目の今回は「どうして男の人は仕事を大事にするの?」です。
全員に当てはまるわけではないんですが、男性に対してこういう気持ちを感じられる方も多いかもしれません。
色々な見方があろうかと思いますが、いくつか心理学的な見方をご紹介したいと思います。

どうして仕事を大事にするのか?というと、
1.仕事そのものが好きだから
2.家庭・家計を支える上で必然だから
3.やはり男たるもの、仕事をしてナンボだから
4.そういうものだと思ってるから
などの理由が挙げられるかと思います。

それぞれ心理的に見れば次のような解釈ができます。
1.好きなものは好き、という心理(ウーマンズ・リーズン)
2.役割の問題
3.観念の問題
4.義務の問題

1はいいとして、2~4はちょっと問題があるかもしれませんね。
そして、「どうして仕事を大事にするの?」という疑問を持つ場合は、その男性が2~4のどれかにはまっているからかもしれません。

役割、観念、義務。
どれも固いような、でも、男性的なような匂いがしませんか?
実はこれらは「自立」の問題でして、「男性性」がテーマになるものです。

そもそも人間の歴史を遡れば、男性は狩りに出かけ、女性は竪穴式住居などで家を守る、というのが伝統なわけです。
それが近年覆されてきている部分もあるんですけど、習性的に、男性は家族の食い扶持を作ることが本性のところもあるのかもしれません。

だから、仕事の仕組みそのものが男性向け(男性が接しやすい仕組み)になっていることが多いと思うんですよね。
マニュアル化や機械化、経営理論、目標設定、年功序列(上下関係)、評価制度などなど、どちらかというと論理的な形で「仕事」は成り立っていると思います。

そうした論理的な見方は、一般的に男性が得意とするところですので、仕事=男性というイメージがつきやすいのではないでしょうか。

カウンセリングをしていても、仕事そのものに関するご相談は男性が圧倒的に多いんですね。
時に経営コンサルタントのようなカウンセリングを求められることも多いんです。
(自営業とか社長などをやられている方は特に)

女性から頂く仕事関連のご相談は、キャリアアップがテーマになることも少なくないですが、やはり職場の人間関係に関するものが多いと思います。
男性のように、就職や出世、成績を上げるために、あるいは、ライフワーク探しを目的としたカウンセリングは、比率としては女性の方が少ないように感じます。

最近は時代がだいぶ変わってきまして「主夫」という存在も少なくないと思うのですが、妊娠・出産・育児などの問題もありますから、女性よりは男性が仕事をするものという社会的風潮も強いですね。

独身男性にとっても、いずれは家庭を持つ身という前提で社会から見られますから、どうしても仕事に意識を向けなければいけないのが事実なのかもしれません。

ただ、最近ではフリーな仕事をされてる女性などから「私は恋愛よりも、仕事の方が面白くて、あまり男性に夢中になれないんですよね」というお話を伺うことも多いですね。

ちょっと社会的な視野をお話した後で、先にお話した義務、観念、役割の問題。
それぞれ心理学講座でも扱われるテーマですが、これらの問題は自分自身を窮屈に押し込めてしまうところがあります。

義務、観念、役割。
その言葉を聞いただけで重たく感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

義務というのは「~して当然」「~するのが当たり前」という決め付けが前提になります。
だから、「~しないのはおかしい」とか「~すべきだ」という断定的な口調を作ります。

観念というのは、義務に似ていて「~すべき」「~してはいけない」などの思いを指します。
ゲームで言うルールのようなもので、制約条件にもなり、また、行動を縛る鎖にもなるものです。

役割というのは、その義務や観念が形式化・明示化されたものと言えるかもしれません。
例えば「父親の役割」というのは「家の大黒柱でなければならない」とか「家族を食べさせなければならない」とか「弱くてはいけない」とかいう観念を象徴するものですよね。

だから、これらは似て非なるものなんだろうと思います。

こうした感覚が出てくる背景には、そうしたルール化、役割化することで、物事をきちんと進めようとする意志や、グループ(社会、家族、会社など)をまとめようとする働きがあります。

ところが、感情(心)というのは、そんな簡単に割り切れるものばかりではありません。
「好き」と「嫌い」という反対の感情も同居できるくらいですから、どちらかひとつに纏めるのはすごく難しいんですね。
だから、ルールを作っても、その通りに行かないことだって多くなるんです。

そうすると、感情的な部分を強く持つ方は、こうした義務・役割などに対しては、反射的に抵抗を覚えるようになります。
「感情はそんな理論で割り切れるものじゃないのよ!」
って感じですね~

で、一般的に男性よりも、女性の方が感情が豊かな場合が多いですから、女性が男性に対して
「どうして仕事をそんなに大事にするの?」
って思いやすいのではないでしょうか?

なんか、とても壮大な理論を展開したような気がします・・・(笑)
たぶん、うまくまとまってないなあ・・・きっと・・・。

ただ、僕がこうしたテーマを頂いたときに、一番注目したいのは、「なぜ仕事を大事にするの?」という理由ではないんですよね。

「どうしてあなたはその疑問を持ったんでしょうか?」という点に着目したいんですよね。

私よりも仕事の方を大事にしてるって感じたのでしょうか?
仕事を大事にして馬鹿みたいって感じたのでしょうか?
私は仕事をそこまで大事にできないんだけど・・・って疑問を感じたのでしょうか?

1番はもしかしたら、あなたは無価値感を感じているのかもしれません。
愛されていないような感覚、大事にされないような感覚をお持ちなのかな?

2番目はそうした仕事を大事にする人を軽蔑してしまうのでしょうか?
自分自身が何かに夢中になれなかったり、あるいは、過去に大事にしていたものを失って傷ついたことがあったのでしょうか?

3番目は、頑張りたいのに頑張れない、大事にしたいのにできない自分を感じていらっしゃるのでしょうか。

こうした疑問が出てくるには、何かしらの「私の事情」があろうかと思うんですね。
そこに着目してくると、いろんな見方ができるのではないでしょうか?

で、どうしたらいいのか?って話も、そうした背景に着目して初めて分かるんですよね。

例えば、無価値感を感じてるとしたら、彼(夫)にその気持ちを伝えることが大事かもしれません。
あるいは自分の魅力や価値をもう一度見つめなおしたり、自信を付けるアプローチが必要ではないでしょうか。

頑張りたいけど頑張れなかったら、何かしらの空虚感をあなたは感じてると思うんですね。
不完全燃焼してる、今を生きていない、そんな感覚をお持ちなのかもしれません。
だとすれば、その部分を手放していくことが求められるでしょう。

そんな風に「そもそも論」に立ち返ってみると、アプローチが見えてきたり、自分をより深く知ることができたり、あるいは、今の目標を見つけることができたりします。

そんな風に「誰かに感じた疑問」を「自分を見つめ直す機会」として捉えてみるのもお勧めです。


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