優しくされると物足りなくなる心理~ひとりSMごっこから自己愛の世界へ~


ミスをしたときは心の中に「責める私」と「責められる私」が存在します。
優しくされると「責める私」が立場を失ってモヤモヤするんです。
その分離した二人を統合することで、優しさを素直に受け取れる自分を目指します。

***
根本さん、はじめまして、Rと申します。毎朝楽しみに読んでおります。付き合って1年弱の彼と婚約中、29歳の女子です。行き詰まりを感じてしまい、メールをさせていただきました。

唐突なのですが、最近「Rはほんとにダメな子だなー!!」と彼に言われまくりたい願望が湧き上がっています。

彼はとてもやさしく(この世にこんな優しい男が存在するのか!と思ったくらい)、私が日常で仕事で、どんな笑えないミスをしようと、「よしよし、大丈夫。Rはほんとうによく頑張ってるよ。とってもいい子だよ。」と慰めてくれます。そんな彼の優しさに心惹かれ、大好きになりました。

でも最近、私がミスをしたり忘れ物をするたびに、変わらず優しい彼に、物足りないのです。決して怒られたいわけではないのですが、正直もっと、助けてほしい、心配されたい、面倒見てほしいと思ってしまって‥(私はもう大人だし、彼はパパじゃないのに)。

このままでは、彼に助けてほしい&甘え続けたいがために、もっと笑えないミスや失敗を起こしそうです。

彼は私のことを、「抜けててぽやぽやしててほっとけないけど、母性がつよくて受け入れてくれる人。」と言います。実際、付き合った当初は、甘えると甘えられるが半々くらい、バランスが取れてる感じがしていましたし、彼が大変な時は自然と「助けたい」と優しさが溢れてきました。

が、最近、引っ越しや転職で急速に私の環境が変わり、うつの症状をぶり返し(何年も、治ってはぶり返し‥を繰り返していました)私の甘える比重が増えてきました。

そして、これだけ私は甘えてるんだから、彼のことも甘えさせてあげよう!!と思うのに、いざ彼が「仕事いきたくない‥」「眠いよう」など甘えてくると、「甘えんじゃねぇよ」と突き飛ばしたくなります。自分の悪魔ぶりに凹んできます。

ずっと私が甘えていたい!私だって疲れてるんだ!私だって仕事行きたくない!何もしたくない!あなたが仕事行かなかったら、私、一生働き続けなきゃいけないじゃない!!って、思ってしまうのです。

なんで私は、こんな優しくて誠実な彼に怒ってるの?と自分でもわかりません。

セックスや触れられるのも面倒になることがあります。触られるのが嫌って、結婚生活の長い奥様の悩みだとばかり思っていました。。

どうしたら、自分の苦しみにとらわれず、穏やかな心を取り戻せますか?

付き合った当初のように、彼のこと、優しく愛で包んであげられるようになりたいです。試しに「優しく優しく、母性、母性、、」と言い聞かせやってみましたが、顔が能面のように無表情になってしまい、「怒ってるの?」と聞かれました。

長くなりましたが、読んでくださりありがとうございます。
いつか取り上げていただけると、うれしいです!
(Rさん)
***

バランスの法則というのをよく考えるんですね。
「ワンマン社長にイエスマン」「ヒステリックなお母ちゃんに大人しいお父ちゃん」「借金を繰り返す夫に倹約家の妻」などなど。
やはり「陰と陽」のバランスを取り合うものだと思うわけです。

パートナーシップはじめ、人間関係全般に言えることですが、「一方が“良い人”の役割を担ったら、他方は“悪い人”になってしまう」という法則があるんです。

バランスの法則から見れば一目瞭然ですよね。

Rさんのケースも、彼が優しくていい人になればなるほど、Rさんは反逆して悪い人になってしまうんです。
今、二人の間に起きてることはそういうことだと思うんです。

彼がどんどん素晴らしい人に思えるのと同時に、自分が最低な彼女だと思っちゃうでしょう?
それはちゃんと心の法則に従っている“正しい状態”なのです。

さて、

>私がミスをしたり忘れ物をするたびに、変わらず優しい彼に、物足りないのです。決して怒られたいわけではないのですが、正直もっと、助けてほしい、心配されたい、面倒見てほしいと思ってしまって

という思いと、Rさんのうつ症状がぶり返すのは繋がっているんだと思うんです。

そう、「自己攻撃」なんです。
きっとRさん、履歴書の特技の欄にも「自分いじめ」などと書かれてるかと思うんですが、そういう思いって誰にでもあるんですね。

皆さんも経験ありませんか?
職場でミスしてすごく自分を責めてるときに、周りがみんな優しいとなんか逆にすごく嫌な気分になること。その中に一人でも責めてくれる人がいるとちょっと安心する経験。

ミスをしたときって誰よりも自分で自分を責めます。
そこでは「責める自分」と「責められる自分」の2人が存在します。
(それを私はよく「一人SMごっこ」と呼んでいるのですが)

そのとき、彼に優しくされると「責められる自分」はホッとするんです。うれしいんです。
「うんうん、そうだよね。誰でもミスするよね。ミスは取り返せばいいもんね。いつも一生懸命やってるからだよね。余裕なくなってたんだもんね」と分かってもらえたような気持ちがするんです。

ところが、その一方で「責める自分」の立場はどうなるでしょう?
ケンカしてる2人の一方の肩を持たれたような感じになっちゃうんです。

「おいおい、どういうことやねん。じゃあ、私が自分を責めてるのは違ういうんか?あかんことなんか?」と反発するわけです。

そして、その自分が物足りなさを感じ、もっと責めてよ、と思ったり、もっと深入りしてほしかったりするんですね。

たぶん、彼のしてくれる優しさってのは「受容的なやさしさ」なんですよね。
「君は悪くないよ」という感じの。そして、「頑張ってるのにね」という。
でも、その優しさは刺激が足りないんです。
もっと突っ込んできてほしい、優しくするだけじゃなくて、たまには激しくしてほしい!!っていう感じがしちゃうんです(笑)

人ってみんな天邪鬼ですからね~。

ちなみに、彼が優しく接することなく、「そう、お前が悪い」って責められたらどうなると思います?

やっぱりちょっとホッとするんですが、同時にイラッと来ます。
「そんなこと言わないでよ!私だって頑張ってるんだから!」とか言いたくなります。

さっきの「責める自分」は自分の行為を承認されたようでうれしくてホッとするんですが、「責められる自分」が今度は暴れ出すわけです。

そう、結局そこでは優しくされても、そうでなくても満足できない自分が出てくるんです。

Rさん、常々自分の中に葛藤があるでしょう?
今回は分かりやすく「責める人」と「責められる人」の2人にしましたけど、時には3人、4人と分裂して、違う自分が自分の中に存在してるでしょう?

そうすると一方を立てれば、他方が立たず、ということになり、どうしたってモヤモヤしてしまうようになるんです。

特にRさんの場合、そうしたバランスの法則や内面的な葛藤の問題だけでなく、彼との距離が近づいたこともその傾向を加速させているんですね。

すなわち、彼との心理的な距離が縮まれば縮まるほど、彼に自分自身を投影するようになるんです。
つまり、「彼=私」なんですね。

だから、Rさんが自己嫌悪している分だけ、彼にも嫌悪感を持ってしまうんです。

触れられるのも嫌!って感じるのって、まさにそんな心理的な距離が近すぎて、自己嫌悪がもろに出てしまっている状態と言えるんです。

ということで、次のような意識を持つことが大切ですし、目標だと思ってくださいね。

・自分ひとりが悪いわけではなく、彼の優しさもまた「悪」であることを知る。

・だから、わがまま言ってケンカを吹っかけたり、その優しさが物足りない!ってことを堂々と宣言することも大事。

・自分を愛することを学ぶ、ということ。
 うつもあるということで、Rさん、相当、自分を責めるのが好きらしいですから、それも含めて自分を愛することを意識しましょう。

・彼を聖人君子にしないこと。彼もふつうの人間ですよね?うんこ臭いですよね?屁もしますよね?彼を素晴らしい人にし過ぎてしまうと相対的に自分を貶めてしまいます。

・少し距離を置くことも意識しましょう。「私は私、彼は彼」という言葉を毎日何度も声に出して言ってみましょう。ちょっと寂しい感じがするかもしれませんが、Rさん、少し癒着体質なところがあるみたいです。
適切な距離を取ることを少しだけ意識してみましょう。

・これを機会にご自身の家族のことも振り返ってみましょう。彼に父親的、兄的役割を求めてしまうということは、その原因はやはり育った家庭にあると思うのです。

まずはこんなセラピー(セッション)はいかがでしょう?(ロールプレイという手法です。)

セミナールームの中から「自己嫌悪の強い自分」を象徴する人と、「彼のように優しい自分」を象徴する人を一人ずつ選びます。(後者は彼を思い出させる人でも構いません)

そして、Rさんを真ん中で挟むように「自己嫌悪役」の人と「優しい役」の人に立ってもらいます。

そして、自己嫌悪役の人には自分を否定する言葉を、優しい役の人は優しい言葉をかけてもらい、真ん中で立っているRさんはただそれに耳を傾けます。

こうして、Rさんの内側にある「責める人vs責められる人」、すなわち、「悪い人vs良い人」を人を使って視覚的・聴覚的に表現します。

心の中ではこんなことが起きているんですよ、といことを“思い知る”わけですね。
ちょっとエグいセッションと言えるでしょう。

そして、一歩ずつ両サイドの自分に近づいてもらい、真ん中で3人を統合します(つながります)。

そうすることで、二つに分離していたRさんのマインドを一つに統合します。
責める自分も、責められる自分も一つになって、ただ、愛の存在である自分がそこにいることになります。

そうして自分を愛し、許し、つながり、解放される体験を心にさせてあげるのです。

いかがでしょうか?
潜在意識を直接扱う少々深いセッションですが、なかなかインパクトがあると思いますよ。

こうして「自己嫌悪な私」と「優しい私」を統合することで、素直に彼の優しさを感じられ、また、自分のことも好きになれるのです。

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