「愛する」ことは「愛される」こと。



「愛される」ことは受け身には違いはないのですが、「愛させてあげる」という見方をすれば「愛する」ことになります。
さらに、彼のために、と心を込めてすることも「愛する」ことになります。

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いつか根本さんに相談してみたい・・・と心密かに思っていたのでついにチャンス到来です。

昨年の9月に結婚5年目になる彼から離婚を言い渡されました。
彼はバリバリ働く肉食系男子、私は愛されているのが幸せな受け身女子です。
彼からはいままで両親からも受け取ったほどがないほど、たくさん愛され、付き合い始めてからは10年になるのですが、
こんな人と結婚できて、自分はなんて幸せだろう、もうこれ以上の生活はないと思い本当に幸せな毎日でした。

しかし、彼の海外駐在と、激務で(これも私を避けるためかもしれませんが)関係が悪化してしまいました。
元々人に心を開くのがすごく苦手な私は、海外で心を開ける友達もおらず、年の3分の2ほどを別の国への出張で家を空ける彼に、寂しさからどんどん依存するようになってしまいました。

そして海外生活も数年を過ぎた頃、不妊治療も重なり、彼から離婚したいと宣言されました。
「俺の気持ちは変わらない。日本には帰る時間がないから離婚届は今年の年末に出そう。」

そう言って残りあと3ヶ月になってしまいました。
彼とはとりとめのないメールをしたり、笑い合ったり、泥沼の関係ではありません。
慰謝料などももらわないでおこうと思います。

彼が大好きだから、彼を悲しませる事はもうしたくありません。

そして前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題で(笑)
今までは彼が愛する役割、私が愛される役割をずっとしてきたと思います。
でも私は最後に彼にも「俺は思いっきり愛された!!」という気持ちを持ってお別れしたいと思います。
(本当は関係回復したいですが、彼の意思を無視したくないので、これが私にできる精一杯かと思います)

今まで愛されることばっかりで10年間来てしまったので、どうやったらそれが伝わるのかがわからないのです。
私がしてもらった事をしてあげたいけど、それを受け取ってくれそうにありません。
そもそも「愛された」という気持ちをあげたいということ自体、傲慢で自分勝手な気持ちなのでしょうか?
今の私には彼のために何ができるのでしょう?

お時間があるときにでも、ご回答いただければ幸いです。
(Hさん)
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たくさん愛されたから、たくさん愛してくれたから、彼の意思を尊重したい、というのはHさんの優しさだと思います。
でも、もし、Hさんが本当に離婚したくないのであれば、やはり一度それを伝えるのも大切なことではないでしょうか。

ま、こんなことを言われたら、せっかくの決意が揺らいでしまうかもしれませんが。

海外で生活されている奥さまからのご相談で一番多いのは「寂しい」、そして、「退屈」。
仕事に忙殺されるご主人の影で、持って行き場のない思いを抱えられている方も多いですね。
自由が利く国ならばまだいいですけど、そうでない場所にいる方はなおさら。

また、現地で友人ができればまだマシですけれど、たいていは頼る場所も夫しかいない、ということで、どうしたって依存してしまうことも増えます。
そこで浮気しちゃう奥さんもいますし、依存症のように何かにハマってしまう方のお話も伺ったことがあります。

>今までは彼が愛する役割、私が愛される役割をずっとしてきたと思います。

これはある意味お互いの同意の上でなされるものですよね!
おっしゃるように彼は受け取らない人で、与えたい人。
一方、Hさんは受け取りたい人。
だとすると、そこで受容と供給は成り立っているわけです。

で、ここからが本題なのですが!

「愛される」=「愛させてあげてる」

と解釈すれば、愛されることも十分愛することになるんですね。

『「与える」と「受け取る」は同時に起こる』と言います。

彼がいっぱい愛してくれたことに感謝することは、愛することの一つです。
「受け取ってあげる」という「与える行為」になるんです。

だから、Hさんは今までも「愛させてあげていた」という意味で「愛を与えてきた」と思って下さい。
だって、彼が受け取れる方法はそれしかないんですから(笑)

その一方で、じゃあ、今から何ができるか?というと、あまり難しいことは考えない方がいいでしょう。

今の自分にできることを一生懸命してあげたらいいんです。
離婚問題で悩まれる奥さんに「今できることっていっぱいありますよ」ってお伝えします。
大それたことをしなくてもいいんです。

もし、家でご飯を食べてくれるのであれば、気持ちを込めて料理してあげることもその一つ。
彼の好物を一品出してあげるのもいいでしょう。

彼の服を気持ちを込めてアイロン掛けして、たたんであげたらいいですし、彼のために部屋をきれいにしてあげることもその一つです。

「感謝の気持ち」や「愛情」を込めて家事をすることは、十分、彼を愛することになります。

それを「分かってもらおう」「受け取ってもらおう」「気付いてもらおう」とすると、それは「愛」ではなく「欲」になります。

他にもちょっと街で見つけた「彼が喜びそうなもの」を買ってあげるのもいいですよ。
受け取るか受け取らないかは彼の選択。
でも、彼を喜ばせたい、というHさんの愛情に違いはありません。

「受け取ってくれるから与えること」を「取引」って言うんです。それは愛ではありません。

今まで愛してもらうばかりで何も与えられてないなあ、と感じるのなら、今、何か新しいことをするのはかえって逆効果です。
だって苦手なことをするんですから。経験値、ゼロ、ですしね(笑)

今までしてきたこと、今していることを、ただ、愛情込めてしてあげるだけでも、だいぶ、自分の気持ちも変わります。
もちろん、それもいつしか伝わります。

昔、あるご主人がこんな経験をされました。
ある日、仕事ばかりして家庭を顧みない彼に愛想を尽かして子どもを連れて実家に帰ってしまったんですね。
でも、彼は一人で家事もできるから、始めは不便に感じていませんでした。
そんな時、ある人からの指摘で奥さんからの愛情に気付きます。
実は奥さん、毎日ご主人の靴を磨いてたんです。
奥さんが実家に帰ってしまってからは彼の靴を磨く人は誰もいなかったので、知らず知らずのうちに汚れていたわけです。
表立って愛情を示すタイプじゃない奥さんの愛情にそこで初めて彼は気付くんです。
靴磨き、だけでなく、奥さんがそんな風にそこかしこに愛情を込めて家のことをしてくれたことに。

「今、できることをしましょう」とよくお伝えします。
同時に「今できることは何百、何千ってありますよ」って。

だから、Hさんが今、良かれと思うことをしてあげれば、それは十分愛することになるのです。

「愛される」ことも「愛する」ことになりますから、あまり自分を追いつめないようにしましょうね。

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