人との距離感と、適切な距離について。


幼少期からの人間関係の距離が、今の人間関係に大きな影響を及ぼします。
では、どうしたらいいのか?を図や例を使って分かりやすくご紹介したいと思います。

***
人との距離感について教えてください。

以前、ブログで
他人

知り合い

友達

親友

きょうだい

父親

母親

パートナー

自分自身
と距離が近づく、と書いておられました。

私は過干渉な母親に育てられ、
長年パートナーもいないし、母子家庭の一人っ子です。
これまで、母親とのようにくっつきすぎる関係になった後、私か相手のどちらかが嫌になり関係が破たんし、他人となって縁が切れる、そんなことを繰り返しています。母親と他人しかないのです。

人との適切な距離が取れない事、それが母親との関係に原因があることはわかっています。

しかし、適切な距離が取れるとは一体どういう事なのかがわからないでいます。

人との距離感について、以前のブログで書いておられた図(?)を、もっと詳しく教えていただきたいです。
(Kさん)
***

もちろん個人差はありますが、だいたい人との心理的距離というのは、自分を中心に、近いところから、母、父、きょうだい(祖父母)、友人、同僚、知人、他人の順に距離を取って行きます。
大人になれば意識的には父や母よりも、友人の方が距離が近いように感じますが、潜在意識レベルではやはり父母の方が近いようです。
20150729距離感1

また、パートナーは一番近い距離から一番遠い距離(他人)まで移動する存在なので、それゆえパートナーシップは人間関係の一つの柱となるわけです。

で、新たに出会う人間関係は、この既存の距離感に強く影響を受けます。
もし、そこにトラウマ的な要素があると、それ以上、距離を近づけられなくなったり、壁を感じたりするようになります。

例えば、ある女性が素敵な男性と知り合いました。始めは他人なのでぎこちないですが、初対面でしたが話がとても合うので同僚や仲間みたいな感覚になり、また会いたくなります。
メールやラインでやり取りを始めてみると何だか友達みたいな親近感が湧いてきて、だんだん、きょうだいみたいな気を使わない関係になってきました。
そして、お付き合いを始めることになり、一気に距離が縮まって行くのですが・・・。
実は彼女、お父さんとの関係に大きな問題を抱えていました。
だから、彼との距離が縮まって、お父さんとの距離に近づいてくると、会いたくなくなったり、何かこれ以上近づくのが怖くなってしまったんです。
それで、少し距離を置きたくなりました。
連絡を少し取らないようにしていると、再び彼との距離が空いて平気になり、ふつうにメールのやり取りができるのですが、「やっぱり好きだな、会いたいな」と感じて距離を縮めると、やはりその親密感がすごく苦手に感じるのです。
しかし、何度かそれを繰り返すうちに、少しずつ平気になり、愛情も再び湧いてきたので結婚を考えるようにもなりました。
その近づくに抵抗がある距離を越えたら、すごく安心感も出て来ました。
実は、彼女はお父さんとは問題を抱えていましたが、お母さんとはとても仲良しだったんですね。
だから、お母さんとの距離に入ると、彼との関係もまたお母さんとのいい関係が再現されるのです。
それでめでたし、めでたし、と思っていたら、彼からある日、こんなことを言われたんです。
「僕は君のお母さんじゃない」
ついつい、何でもお世話をしてくれるお母さんを彼に重ねてみてしまっていたようです(投影の法則)。

さて、Kさんのような「過干渉な母親、一人っ子、母子家庭」という環境になりますと、ほとんと心理的距離感が、自分+母、あとは他人、になってしまいます。
20150729距離感2

つまりは、出会う人を「母的な人か、他人か」でしか判断できなくなってしまうんですね。
それくらい母親のインパクトが強いわけですが、そうなるとKさんがおっしゃるように他人との距離感がうまく掴めなくなり「適切な距離」が全然分からなくなります。

で、そんな状態で素敵な男性と出会うと、いい!と思った時にはいきなり「母親との距離」まで縮めたくなるわけで、彼からすると「えー?いきなり?うそー?無理―!」となってしまいます。それでいきなり親密になったと思えば、次の瞬間にはまるで他人のような振る舞いを取って「え?君、何を考えてるの?」という風になりやすいんです。

特に母親との距離が近すぎて共依存状態(癒着関係)になっていると、そもそも母親との間に隙間がない分だけ、他の誰もそこに入ることができず、パートナーシップの大きな妨げとなってしまうこともあります。

じゃあ、適切な距離を取るにはどうしたらいいのか?というと、やはり王道としては母親との癒着を切り、距離を開けることが一番です。
1人暮らしを始めたり、連絡をできるだけ取らないようにしたり、過去の恨み辛みを許しに変えて、「母と娘」から「いい年こいた女同士」に関係を昇華させます。
「母を母としてみるのではなく、1人のおばちゃんとして対等に扱う」という感じです。
日常でも「母」を投影する人に出会うこともあると思いますので、その存在を強く意識して、手放すことに目を向けます。

また、仲間、友達をできるだけ“たくさん”作ることも人間関係を再構築する一つの方法です。
もちろん、抵抗がでてくることも多いと思いますが、職場はもちろん、習い事などで出会う人を増やすことによって、友達・仲間レベルの距離感を自分自身に体験させてあげるわけです。

あと勇気は要りますが、中高などの同窓会に出かけていくのも一つの手です。当時の仲間と触れ合うことにより、また、新たな体験を自分に与えてあげられます。(子ども時代は大人よりもずっと距離感が近いので、社会人になってできた友人よりも、古くから知ってる友人の方が距離は縮まりやすいんです)

恋人を作ろうとすると、すぐに母にしてしまう可能性があるので、この状態にある方とカウンセリングをする際には「デートはいいけど、エッチはしばらくしないでね」とお願いすることもあります。
エッチした途端に、距離が一気に縮まって「母親との関係が再現」されかねないからです。

このプロセスは感情レベルで言えば、「寂しさに慣れる」、と言う感じになります。
母親1人にかかっていた比重を、友人、仲間たちに分散させていくようなイメージです。
母的な距離の人を1人作るのではなく、母親よりは10倍距離が離れている友人を10人作る、というイメージです。

その際に心掛けたいことは「自分の感情に流されずに、相手の気持ちを考えて行動する」ということですね。
「寂しさに流されて、相手を求めてしまう」とか「距離の遠さに嫌気がさして感情を切ってしまう」とかに注意したいです。
「相手はどんな気持ちなんだろう?」と考えて、できればそれをコミュニケーションできると、感情レベルでのコミュニケーション力もグーンとアップして人間関係だけでなくビジネスでも役に立ちます。

もちろん、そこでは忍耐が必要だったり、間違いから学ぶことも出てきたりするでしょう。

そうして、色々な体験を通じて人間関係の距離感を学んでいくんです。

が、これは別に母子癒着が強い人だけに起こることではありません。
多かれ少なかれ問題のある人間関係がある人が多いわけで、誰もに共通するテーマだとは思います。

さて、そんな風に人間関係の距離感を学んでいくと、母子癒着の傾向のある人は、とても優秀なホスピタリティを発揮するようになるでしょう。
そもそも人の気持ちがよく分かる人なので、それを自分本位に押し付けなければ、人をとても居心地良くさせる能力を持っているんです。

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