子ども時代に受けたお母さんからの影響を取り除いて、自分らしく生きるには?



精神的に不安定で過干渉なお母さんのために自分で選ぶことができなくなったしまったKさん。
潜在意識についてのお話から、アイデンティティを確立するプロセスまでお伝えしています。

今日もリクエストにお応えしましょうね。
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4月の東京のセミナーで、人の心は、5%が顕在意識で、残りは潜在意識と無意識とのことで、潜在意識は6歳までに親や環境に受けた影響で決まるということでした。
私は、何か人生の決断をしなければいけないとき、自分が本当に選びたいことが、分からなくなることがあります。

何か行動するときに、これは自分の意思なのか、母親の意思なのか、周りの意思なのか。

潜在意識は、親の影響から作られるということですが、それは本当の自分の一部なのでしょうか?
潜在意識の中で、母親の価値観とそれに拮抗する自分があるようなんですが、その拮抗する自分はいつも不安をかかえており、行動できないでいます。また、その自分がやろうとしていることが正しいのか、失敗するのではないかと思ってしまいます。
昨年、6年付き合った人と別れたのですが、大好きだったのに、結婚しようと言ってくれたのに、決断できませんでした。

幼い頃、母親は精神的に不安定で過干渉でした。習い事、進路や大学、就職、容姿、結婚観など…。でも憎んだりはしていなくて、今は優しい母ですし、もうやりたいようにやりなさいと言ってくれるのですが、やりたいことが今わからないんです。

母親が幼い頃に作った枠を取り払いたいと思ってきましたが、その枠自体が潜在意識であるなら、その枠も自分の一部なのでしょうか。
自分と母親(幼い頃の)との境界線を、見分ける方法はあるんでしょうか。
(Kさん)
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Kさんがおっしゃるように、母親の影響で作られた枠が潜在意識であり、それも自分の一部なんですよね。潜在意識っていわば自分自身のものですから。これは母親のもの、これは私のもの、という区別はありません。
ただ、これは母親の影響から生まれたもの、これは自分の体験から生まれたもの、という区別はできるかと思います。
ただ、その境界線を見分けるのはあまり意味がないと思うんですね。
どっちも自分の体験ですから。

潜在意識って、生まれてからこの方、私たちが経験したことが感情ベースで蓄積されてる場所と言うと分かりやすいかもしれません。
だから、モノの見方、感じ方なども、周りの人との関係の中で培ってきたことなので、同じできごとが起きても人それぞれ違う思いを抱くわけです。

例えば、お父さんが厳しくて、怖くて、嫌だった、という経験を持つ方は、お父さんを投影する権威のシンボル(例えば、先生、上司など)に対して、同じように怖れを抱き、気を使います。
一方、お父さんが優しくて、甘くて、あたしの奴隷だった、といううちの娘みたいな体験をしてる方は、権威のシンボルに対しても全然遠慮がなく、堂々と接し、むしろ、「あたしを可愛がりなさい」みたいな態度を取っています。

同じ「上司」に接しているのに、全然違う態度になるんですね。

これは意識してやっていることではないので、潜在意識の受けていると考えられるんです。

さて、Kさんのように精神的に不安定なお母さんから過干渉な関わりをされたとすると、Kさんの潜在意識には、いつもお母さんを気遣うKさん。顔色を伺うKさん。そして、自分で物事を決めずにお母さんに従順にならざるを得なかったKさんの体験が入っていると考えられるんですね。

そうすると、自分で物事を決める、という習慣がなかったために結婚にしても、何にしても、決断が苦手になりますし、決断に自信が持てなくなります。

※ただ、決断力というのは男性性の影響を受けるものなので、相対的に女性性が豊かな人は誰でも決断が苦手なものです。

潜在意識って3歳まで、とか物心が付く6,7歳までに基本ベースが作られると言います。
いわゆる「三つ子の魂百まで」って奴です。

だから、大人になった頃には優しくて「やりたいことしなさい」というお母さんも、6歳頃までは「私の言うことをききなさい」だったとしたら、後者の影響を受けることになりますね。

さて、Kさんのお話は、子ども時代に受けたお母さんからの影響を取り除いて、自分らしく生きたい、というものだろうと思うのですが、間違っていませんか?

実は私のセミナーやカウンセリングでは、そんなことばかりを扱っていると言って過言ではありません。

Kさん自身は子ども時代、自分よりもお母さんの感情を優先してきたんだろうと思われます。自分の欲求よりもお母さんの欲求を選ぶわけですね。

だから、アイデンティティの喪失といって「自分がない」という感覚をお持ちだろうと思うんです。

例えば、そういう方には日常的に次のような「リハビリメニュー」を考えています。
・ご飯を食べるときに自分自身に「何が食べたいか?」を必ず聞く。
・買い物をするときに、「これが本当に欲しい?」って自分に聞く。
・休日の朝に「今日は何して楽しみたい?」って自分に聞く。
など、自分自身の心との対話を意識的にしていきます。
答えが返って来るかどうかは分かりませんが、聞くことが何よりも重要です。

こうして日々、自分自身の意志を持つトレーニングをしていくんですね。
「指さし確認」って感じでね。

また、自己肯定感がとても低くなってしまっているので、自己承認も大切です。
・今日、自分が誰かのためにしたことを探す
・今日の自分を5つ以上褒めてあげる
・お母さんのために自分が頑張ったことを探して褒める
・誰かのために頑張ったことを探して褒める

さらには、お母さんからの精神的な自立を目指していきます。
「私は私、お母さんはお母さん」ときちんと線を引くようになりたいんですね。

これは個別メニューを作る必要がありますが、その方の経済的、精神的な状況によっては「引っ越し(一人暮らし)」「転職」などをお勧めする場合もあります。

また、この段階で来ると、このお母さんを選んだ理由、というのにも向き合っていきます。
・この母親で良かったこと
・このお母さんを選んだ理由

この辺をきちんと向き合っていきたいんですよね~

そうしていくと、Kさんが望まれている状況が実現して来ると思います。
もちろん、いろいろと取り組まれていることと思いますので、今やってらっしゃることを継続したり、まだ取り組んでいないテーマが見つかれば新たに始めてもいいでしょう。

そうして「自分」を確立していきましょうね。

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