「○○が足りない」からこそ、持っているものは?



私たちは「○○が足りない」と欠点のように認識するとそれを補うように頑張り過ぎてしまうもの。
しかし、そのお陰で別の要素が才能レベルに素晴らしいことに気付くと相互依存の関係が築けるのです。

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いつも、根本様のブログを読み、励まされたり、癒されたりしています。
さて、本日のブログを読み、この人はまるで私みたいじゃないか!と驚いてしまいました。そして、それがこのメールを送るきっかけとなりました。
私は、生まれつき聴覚に重度の障害があるのですが、その反動か、聞こえない分頑張らなきゃ、出来ない分少しでも出来るようにならなきゃという思いが幼少の頃から強かったように思います。
だからなのか、肩こりがとてもしんどかったり、原因不明の生理不順に悩まされています。
現在、大学四年生で、卒業後は地元の静岡に戻って就職をするのですが、このままだと仕事や今後の人生設計に影響を与えちゃうだろうな…と密かに思っているんです。

こういう場合って、やはり、カウンセリングを受けるしか方法はないのでしょうか?
まず、自分ひとりで出来ることって何かないのかな…と。
対症療法ではなく、根本療法がいちばん良いのは、これまで学んできたことからよくわかっているのですが、実際どのように行動したらいいのかわからず、迷っています。

私のようなご相談はたくさんあると思うのですが、何か指針を示していただけたらと思い、いてもたってもいられずにメッセージを送ってしまいました。
(Sさん)
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リクエストありがとうございます~!
Sさん、静岡に帰られるんですね。私と同郷ですね(^^)

「聞こえない分、頑張らなきゃ」という思い、相当なものだったろうと思います。
周りの人と違いを感じるでしょうし、ある種の劣等感を強く感じていらしたのかもしれません。

頑張って来て、その成果はいかがでしょう?
きっと多くのものを得て来られたと思うのですが。
それをちゃんと“受け取る”ことはできていますか?
むしろ、足りない方ばかりに意識を取られていませんか?

肩コリは「自立女性の特権」なんて私は読んでます。
頑張り屋さん、かつ、我慢しぃな人は皆さん、肩(と首)に症状が出ますね。
(男性の場合は腰に出ることが多いようですね~)

生理不順もあるということは、女性的な部分も抑圧されてきたのかな?なんて思ってしまいますね。
その点はいかがでしょうか?
女性としての自分、大切にされてますか?

「頑張って、出来ないことをできるようにやってきた」というのは、まさにそんな「自立」の証なんですね。
相当自分に鞭を打って来た証ですし、就職など新たなステップに進む際は「もっと頑張らなきゃ」と思ってしまうものです。

「頑張ることが楽しいことについては頑張ったらいいけれど、そうでない時はいかに力を抜くか?」がこれからのSさんにとっては大事なことだと思います。

さて、「足りないからそれを補う行為」のことを“補償行為”と呼びます。
本当にしたいことならばいいんだけど、足りないという思い(自己嫌悪)があると、その行為はすごく苦しいものになります。
ある程度は必要なケースも多いですが、これをひたすら続けていくとやはりしんどいですし、不調を来すようになります。
だって、本当はしたいことではないですから相当のストレスを体に与えてしまうんです。

さて、私も障害を持つ方をカウンセリングさせて頂くことがあるんですが(そういえば、私の師匠の一人も車椅子に乗ってました)、「足りない分、何かを持ってる」と感じるんですね。

Sさんにとって「聞こえないお陰で得たもの」って何か心当たりはありませんか?

例えば、ある視覚障害を持った方は人の心の機微を読み取るのがものすごく上手で、カウンセリングをしながらついこちらが癒されてしまうほどでした(笑)

「聞こえないこと」を「足りないもの」と捉える見方もありますが、バランスという目で見ると「他の部分が突出しすぎているから」という見方もできるんですね。(決して優劣の話ではないのですが)

“聴覚に障害を持つからこそ”Sさんが持っている才能や能力ってあると思うんです。
そして、それは往々にして「あって当たり前のもの」なので本人としては気付きにくいのかもしれませんが。

「それって何だろう?」と思いながら探してみませんか?
一般論にはなりますが、耳が聞こえにくい分、触覚や視覚がすごく発達する可能性があります。

そうして自分の長所、才能、魅力を知って行くことはこれからの人生においてとても重要な意味を持ちます。

それを仕事などに生かしていく、という手もありますが、「耳は聞こえにくいけれど、その分、自分は○○ができる」という自信が付けば、人に頼むこと、頼ること、人の好意を受け取ること、人に任せることなどの“相互依存”の関係が築きやすくなります。

自分でやらなきゃ、という自立的な姿勢はすべてを一人で背負い込んでしまい、誰かのサポートを受け取ることができません。
でも、自分にできることが分かれば、役割分担、適材適所が可能になりますね。

耳が聞こえないことを「足りないもの」ではなく、一つの特徴で、他に素晴らしい才能があることを気付けば、「私はこれができるから、あなたはこれをしてくださいね」という関係性がスムーズに築けるようになるのです。

そもそも多くの仕事はチームワークで成り立ちますから、こうした要素が必ず求められると思います。

だからこその素晴らしい才能を生かして、自分らしい人生を歩んでいきましょう。
そしたら、きっと肩のコリは気にならない程度になってると思いますし、女性としての本来の輝きも取り戻されていることでしょう。

参考になりましたら幸いです。

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