正しいんだけど感情にムラのある厳しい上司にどう対処したら?



厳しい上司、感情的に叱る、というか、怒られるとすごく凹んでしまうもの。
正しいことを言ってるだけに何も言えずに全部抱えてしまうことも。
そういう時にどう受け止め、対処するのがいいのでしょうか?

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根本先生こんばんわ。いつも先生のコラムを読ませて頂います。
リクエストとしてあげていただけたら幸いです。
私は会社に苦手な方がいます。その方は自分にも厳しく他人にも厳しい人です。グループリーダーなので自分も売上を上げつつ後輩の育成もやらなければならないポジションの人です。私にミスがあって注意してくれるとき、正しいことを言っているのだとは思うのですが、その言い方がきつく、叱るというよりは怒る感じなんです。。昔から気分のムラが激しい方で人格否定的なこともよく言っていたそうです。仕事以外では優しく面白い方なのてすが。。
私はこの方に注意されたとき、心が嵐みたいになって心の処理がおいつきません。なんでこんなミスしちゃうんだろうという自己否定、またやっちゃったという焦り、もうこれで嫌われるという恐怖、このミスをカバーするのにまず何をすべきか、何がいけなかったのか、そんな言い方しなくてもいいじゃん、違う言い方してくれたらもっと冷静に反省できるのに。。
など、一瞬で悲しみ、失望、恐怖、怒りがいっぺんにやってくる感じでどうしていいかわからなくなるんです。ミスに対して素直に反省したいのに、雑念や怒りが邪魔をして進まないし、しかもその後その方を避けるようになってしまいます。。
これは私の心が弱いからでしょうか。みんな戸惑うものでしょうか。言い方をかえてよって思うのは奢りでしょうか。私が未熟で完璧に出来ないからそういう言われ方をしても当然なんだと素直に受け止めなければいけないのでしょうか。。
こういう時の正しい処理の方法をしりたいです。
失敗したのは私だから私が悪い。注意してくれてありがとう。でも!先輩だけどその言い方はないんじゃない?!と思うことはいけないことでしょうか。。 文がまとまらなくてすみません。よろしくおねがいします。。

心の処理や問題の分け方を知りたいです。。
(匿名)
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久々のリクエスト特集です。お待たせしちゃってすいません。

こういうリーダーっていらっしゃいますよね~。自分に厳しく、他人に厳しく。言い方がきつく、攻撃的。時にヒステリックになって人格否定をする。
匿名さんとしては「心が嵐」になるし「怒り」「絶望」「悲しみ」などがいっぱい出てくるのも無理ないことでしょう。
しかも、仕事ができる人だったり、正論だったり、ミスをしたのはこっちだし、ということでつい何も言えずに溜め込んでしまいそうですね。
こういう状況が続くと仕事へのモチベーションは著しく落ちるし、自己不信・他者不信になるし、精神的にとても良くないですよね。

でも、きっと他の人も多かれ少なかれ同じことを感じているんじゃないかな?
そのリーダーは匿名さんだけに辛く当たるわけではないんですよね?

さて、こういうご相談もよく頂くのですが、対処方法はご本人の性格や状況によって色々変わって来るんですね。だから、匿名さんとは少しずれた答えになっちゃうかもしれませんが、その点ご了承ください。

一つ目。
そんなリーダーみたいな人、他に知りませんか?
今まで出会った人たちの中で。
前の職場の上司、学生時代の先生、クラブの顧問、両親、親戚のおばちゃん等々。

感情的で、相手を否定する人。人格をも否定する勢いで。

もし、そういう人が思い当たるとしたら、その人を今のリーダーに投影していると見ることができます。
根っこはその元々の人。
その時の未処理の痛みが今、出てきているんです。

特に子ども時代の体験はずーっと心の中に留まっていることが多いんですね。
それが大人になって「再現」されると、まるで「いい大人なのになんでこんな反応しちゃうんだろう?」って反応をしちゃうことがあるんです。

だから、その原因を断つ、というのがカウンセリングのアプローチになります。

二つ目。
匿名さんは自分が感情的になったり、声を荒げたり、誰かを強く攻撃することってありますか?
そういう気持ちになること自体、あまりありませんか?
それとも、そういう気持ちになるけれど、出さないように抑えてますか?

「感情的」とか「気分にムラがある」というと悪い言い方になるのですが、見方を変えれば、バイタリティがある、情熱的、分かりやすい、素直、等々のポジティブな要素もあります。

そういう意味では、匿名さんが何かに情熱的になったり、夢中になったり、すごくエキサイトしたりすることを避ける傾向があるとすると、余計にそのリーダーが苦手になりやすいのです。

自分自身の中の「情熱」について考えて見られると良いでしょう。

三つ目。
匿名さんは元々自己攻撃が激しくありませんか?
自分に自信がなかったり、仕事に劣等感があったり、自己嫌悪がずっと前から強かったり。

元々自分を強く責めてるとするならば、そのリーダーの言葉に過剰反応しやすくなります。
私たちの心って、自分で自分を責めてない限り、人からの言葉で傷つくことってないんですよね。
だから、そのリーダーの言葉がいちいち自分に刺さるということは、元々そうやって自分を責めてる可能性が高いということなのです。

だから、その言葉に対して反発を覚えたり、逆に否定したりして「防衛」しようとします。これ以上傷つかないためにね。

でも、それは対症療法にしかならないので、また同じことが起きたときに太刀打ちできません。

もっと自分を好きになること、認めてあげること、愛すること。
ありきたりなテーマですけれど、ここにもっと意識を向けるといいよ、ということだと思います。

四つ目。
匿名さん自身、人の感情の動きに敏感なところはありませんか?
人の気持ちの動きをキャッチするのが上手だったり。
あるいは「人から影響されやすい」というのはどうでしょうか。

共鳴ってことなのですが、私たちはみんな人の感情の影響を受けるんですね。
気分が落ち込んでいても、楽しそうにしてる人の近くにいたらいつしか気分が軽くなってた、なんて経験ありませんか?
子育て中のお母さん。自分がイライラしてたら、赤ちゃんもギャーギャー泣いてる、なんてことありませんか?

感情って空間を越えて届くんですね。

そういう目で見ると、匿名さんが感じている「悲しみ、失望、恐怖、怒り」って実はそのリーダー自身が感じている感情かもしれません。
もちろん、匿名さん自身の分もあるかと思いますが、それに上乗せする感じでリーダーの感情を引き受けてしまってるのかもしれないのです。

俗にヒーラー体質な人に起こりがちが現象です。

そういう場合は「これはあたしのじゃない~!」ってリーダーに「お返しする」といいんですね。

どれもサクッとした回答になってしまいましたが、参考になりますでしょうか。

最後に現場での対処方法をいくつか。

> こういう時の正しい処理の方法をしりたいです。

知りたいですよねえ。。。
それくらいたくさんあって、「正しい答え」は存在しないと思います。
ましてや溢れかえった感情をそのまま穏やかにする方法って「我慢・抑圧」以外には知りませんし、それはお勧めできません。

そこで私がよくお勧めしているのは、
・まずその場を離れること(給湯室、トイレ、喫茶室等へ逃げ込みましょう)。
 離れると感情も落ち着きやすくなります。
・人に話す。誰かに聴いてもらう。感情はそうすることで流れていきます。
・動けず、話せないなら、ノートでもパソコンでもいいので自分の気持ちを書き殴る。
そうして、まずは自分の気持ちを落ち着かせたのち、先ほどお話しした「自分」と向き合う時間を作っていきます。

> でも!先輩だけどその言い方はないんじゃない?!と思うことはいけないことでしょうか。。

そう思っちゃうものですよね~
それは悪いことではないと思いますよ。

でも、だからって先輩は変わりませんから。
そう思う一方で、「その経験を自分に置き換えて・・・」と自分に意識を向けていきましょう。
その方が早い上に、学びと成長がいっぱいあります。

そして、いずれ、その先輩に感謝できる日もきます。

だから、まずは、「そう感じる自分」を自己否定することなく見つめて行きましょう。

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