記憶とは違う現実が思考パターンを創り出していることもある。



物心付くまでに体験したことは、その後の環境によって記憶を変えてしまうこともあるんです。
そうすると大人になって覚えていることと実体験がずれていることも出てくるのです。
そこを修正すると、なぜ、今、こうなのか?そして、どうすればいいのか?が分かってきます。

今日は少し深いお話をさせていただきます。ちょっと難しいかもしれません。

6歳くらいまで(つまり物心が付くまで)の間に、私たちの考え方、思考パターン、価値観の80%が決まってしまう、と言われます。
日本では「三つ子の魂、百まで」って言いますから、この場合の6歳はまだ融通を利かせてのものかもしれませんね(笑)


6歳くらいの、物心が付くまでの子どもたちは理性がないので情報の取捨選択ができません。
すなわち、あらゆる情報を良い、悪いの区別なくただただ取り込んでいきます。
そして、それらが私たちの価値観を作り上げているのですから幼少期の家庭環境がすごく大切なことが良く分かりますね。

さて、その思春期の前後で私たちは記憶の操作をだいぶ行っていきます。

例えば、記憶がある中ではお父さんとの関係があまり良くなく、いい思い出も無いと思っている、とします。
女の子であれば、思春期以降、はっきりとお父さんと距離を取る人も多いはず。
幼少期はすごく仲が良くても、その後お父さんを嫌いになったとしたら、その仲の良かった思い出すら気持ち悪いものになりますから消去してしまいます。
だから、大人になった時には「ずっと昔から仲が悪かった、嫌いだった」という記憶になっていることも少なくないんですね。

ところが恋愛のパターンというのは女の子の場合、お父さんとの関係を反映していることが多く、どうしても幼少期の思いが影響を感じるんですね。

「本当にお父さんのこと嫌いだった?実はめっちゃファザコンなんじゃないの?」っていう恋愛パターンを持つ人も少なくないのです。

※もちろん、このような指摘をさせて頂く際は「は?あんた何言うてんの?マジでいうてんの?」という切れ気味な反応や、「・・・。」(遠い目)などの既読スルー的反応や、「またまたそんなわけないじゃないですか~!もしほんとなら最悪ですよ~!」という目は笑ってないよね的反応などを覚悟しながら行っております。はい。

で、そういう時にこんな宿題を出すんです。
「実家に帰って子ども時代のアルバムがあったら見てごらん。お母さんや親戚のおばちゃんとかに子ども時代のパパとの関係を聞いてみて」という。

もちろん、全員に当てはまるとは思わないのですが、実際、この宿題をやって頂いた方からは驚きの反応を頂いたりします。

先日もそんな方がいらっしゃったのでメールを引用させて頂くことにしました。
少し長い引用になりますが、ぜひ読んでみてください。

> 恋人との別れ方だけに問題があったと思っていたけれど、今までの恋人と付き合ってきた間も、ずっとずっと寂しかったんだと気付いたこと、そして宿題(父親とのいい想い出を探す)を進めるうちに、
> 記憶も定かではない小さな頃、私は父親の事が大好きだった事(今の父親を見ると本当か?と我ながら疑いたくなりますが(笑))、そして父親が居なくて私寂しかったんだという感情を思い出すというよりは、あの時きっと寂しかったんだろうなぁと、小さい頃の自分の気持ちを想う感覚があります。
> 小さかったのでその時は寂しいという感情が理解出来ていなかったのかなとも思います。
>
> 書き上げた父親との想い出は、接点が遠いものが多かったです。
> 一緒に遊んだというものより、運動会を見に来てくれたとか、ダンスのビデオを撮ってくれたとか、そういう身守り型みたいなものの方が沢山ありました。
> こんなに記憶が無いものかと、母親に聞いたら父と一緒に遊んでいた話が沢山出てきて、また実家へ帰って昔の写真を見たら家族と一緒に笑顔でいっぱいの私がいました。
> 小さな時に父の出張や単身赴任が始まって、根本さんに前回言われたように記憶もないうちにハートブレイクしていたのかもしれません。
> 寂しいから父との楽しかった記憶を忘れようとしたりする事もあるんですかね、その位自分で思い出せる一緒に遊んだ記憶が少なかったです。

記憶って曖昧なものなんですね。
でも、自分が持っている行動パターンから窺い知る過去って案外明確だったりするのです。
このメールをくださったAさんは

 好きな人はいつも遠くにいる感じ。
 誰にも頼らずに1人で頑張ってしまう感じ。
 いつも寂しさを心のどこかに抱えている感じ。
 ハードワークをしていっぱいいっぱいになってしまう。

などの思いを抱えていました。そうして彼女と色々話をしていくうちに次のような過去が推測されたんです。

「本当はお父さんのことが大好きだったのに単身赴任などで距離が空いてしまったり、そもそもお父さんが子どもとの距離がうまく取れなかったりして、“大好きな人は遠いところにいて私はいつも寂しい思いをする”というパターンが生まれたのではないか?」

それでアルバムを見たり、お母さんに聞いてみたり、思い出したりしてみて、と宿題にしたのですね。

そうすると、お父さんとの心理的距離を縮めていくこと、お父さんの愛情を受け取って行くこと、そして、感覚的にでもお父さんとの親密感を感じることができれば、彼女の恋愛やハードワークのパターンが改善していくのでは?とカウンセラーは考えるのです。

「じゃ、お父さんにラブレターを書いてみてくださいね(^^)」

「・・・。」

※「じゃあ、アルバムがなかったり、お母さんやおばさんに話が聴けない場合はどうするの?」って思われますよね?パターンから見えてくる過去を信頼する、というのはいかがでしょうか?

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