許しはなぜ必要なのか?



私は自分勝手で孤独な父親を許せなかったので、自由を禁止し、1人になることを怖れ、とても窮屈な生き方をするようになっていました。
許しは本来の自分を取り戻してくれる、とても大切なツールなのです。

うちのお父ちゃんは良く言えば自由人。悪く言えば自分勝手。
自分がしたいように動き、それで家族が振り回されることも良くありました。
最後は人に頼まれて買った旅館の経営にエネルギーを注ぎ込み過ぎて家族との縁が切れてしまいました。

私は心理学を学ぶまでは父親の愛情というものを直接感じたことはありませんでした。
どこかで愛してくれてるんだろうなあ、とは思っていましたし、反対に母親がとても愛情深い人なので、母親経由、父の愛情を伝えられていたのですが、実感というのは乏しかったと記憶しています。


今では過去のことになり過ぎて忘れているのですが、家族を振り回し、孤独になった父を私は許していなかったのです。

心理学を学ぶきっかけになったのも「このままではオヤジみたいになってしまう」という危機感からでした。だから、自分を変えなければ、と思ったのです。

私は父親のことが許せなかったので、すなわち、ああはなりたくなかったので、自分の行動には繊細の注意を払うことになりました。
自分がしたいことよりも、どうすべきか?を考え、周りの人の意見を採り入れ、みんなが頷く方向に進むことが良しと思ってました。
だから長らく「決断」はとても苦手なことでした。自分の決断で誰かを困らせたくはなかったからです。
また、孤独になるのが怖くて、常にスケジュールを埋め、1人になるのを避けるようにしていました。いや、正確に言えば1人になるのが怖いのではなく、あいつは一人だ、孤独だ、と人に言われることを怖れていたわけです。

しかし、その生き方が自分の首を絞めていることに気付いたのです。
心理学を学び始めてからもいい顔をし過ぎて精神を病んだり、気力を失ったりしたこともありますし、良かれと思ってやっていた行動が結果的に人間関係を破たんさせることも少なくありませんでした。そして、自分が無いような、自分がいったい何をしたいのかも分からなくなる状態によく陥っていたのです。

父親は自由人であったと同時に、決断力があり、人に頼まれたらNoと言えない性格だったので、とても人望があったんですね。だから周りから「大将、大将」と呼ばれる人でした。もちろん、それは息子として誇りではありました。
父親を許せなかった私は、その父親が持つマイナス面を怖れるあまりにプラスの面を捨ててしまっていたのです。

 自由であること。
 自分がしたいことをする。
 それに向かって情熱的に行動する。
 結果を怖れず自分の信念を通す。
 人生を楽しむ。
 1人でも行動する。
 人にどう思われようと気にしない。

私にとって父親を許すことの恩恵はこれでした。(ほんの一部だと思いますが)
そして、このプロセスはいまだに継続中なのです(そう、のんびり屋なのですね、私は(笑))。

もし、あなたが誰かを許していないとすれば、そのネガティブな面を気にし過ぎて、ポジティブな面を自分に許せなくなります。

例えば、ヒステリックな母親を否定しているとしたら、あなたは自分の情熱のスイッチを入れることが苦手になるでしょう。
嘘つきな父親を許していないとすれば、あなたは生真面目になり過ぎて融通が利かなくなっているかもしれません。
優柔不断な上司を許せなければ、あなたは独断で物事を決めるようになり、調整能力を著しく失う可能性があります。

許しは、あなたの世界を広げてくれる確実なツールです。
許しは、あなたがより自分らしく生きるための方法です。
許しは、人のためではなく、自分のために生かせるものなのです。

じゃあ、どうやって許すの?というと・・・これまた少しスペースが必要になります。
・感情の解放
・感情的理解
・信頼
・感謝
そんな方法をいつも提案しています。
また、ブログでも折に触れてお話しさせて頂けると思いますし、これからもこのテーマで講座などを開催していくつもりです。

なお、関西の方はこちらの講座で詳しくお話しします。
2/22(日)13:30-17:30 『自分を磨き、成長させるための心理学とその使い方』
この講座はそれ以外の地域はすでに終了してしまっていますが、きくまるの「基礎集中講座」にて聴いて頂くことができます。

なんか最後は宣伝になってしまいましたが・・・(笑)、許しはだから必要なんだ、大切なんだ、と感じて頂ければ幸いです。

毎日使える心理学講座

 Twitter > http://twitter.jp/nemotohiroyuki
 Facebookページ > https://www.facebook.com/nemotohiroyuki

 ★好評発売中!根本裕幸の近著。
こじれたココロのほぐし方 頑張らなくても愛されて幸せになる方法


あわせて読みたい