両親の体験を追体験する私たち。


無意識的に私たちは両親から言葉から癖から考え方から価値観やらを学んで育ちます。そして、愛情が故にその両親を理解し、助けたいと思うが故に同じことを繰り返すのです。そして、それを乗り越えることで進化を遂げようとしているのです。

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カウンセリングなどで自分を癒す中で、両親との関係で受けた傷が今の恋愛や私の考え方に影響してることもわかり、一つずつ向き合っていきました。
そして、最近まだまだこの両親との関係での傷や問題を自分から手放したくないんじゃないかな?って思ってきたのです。
どうして私はこの問題に執着しているの?って考えていったときに、私の今までしてきた数ある自分を責めるような、人間として最低だと思うようなこと、目を背けたくなる出来事は、実は両親が経験してきたことを追体験しているのでは…と頭に浮かんできたのです。
例えば、両親それぞれの浮気、されるされた。私もしてしまったり、されたり。それから父が祖父母が病院や介護施設へ入所したときに、あまり顔を出さずにいて、それを見て、子供なのに最低だと思っていました。祖父母が亡くなって、今父は病気になり、家で療養していますが、私は父にあまり会わないようにしていて、それに罪悪感を持っています。
母は私が高校生のときに流産を経験しており、それに嫌悪感を私は持っていました。私は堕胎経験が過去にあります。
このように、こじ付けのような気もしますが、両親の経験を追体験するということはありますか?
私はそうだとしたらなぜそうしたのだろう?と考えたときに、両親の気持ちが知りたい、気持ちをわかりたいって思ったのかなぁ…と思いました。
心理学的にそういうことがあるとすれば、どういうことなのか是非取り上げてて頂きたいです。
(Aさん)
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一言で言えば「あります」です。
というよりも「それ以外はない」と言ってもいいかもしれません。

よくこんなお話をします。
「私たちが日本語を話すのはなぜでしょう?2歳の時、日本語学校に通いましたか?通ってませんよね?でも、どうして日本語が話せるのでしょうか?そう、両親などすぐ身近な人が日本語を話していたからですね。それを真似たんです。では、私たちが真似たのは言葉だけでしょうか?価値観、生き方、味覚、ありとあらゆるものを両親からコピーしたのではないでしょうか?」

反面教師という言葉がありますが、それもまた両親のコピーの範囲ですね。
親が「黒」だというものを反面にして「白」だと言いながら生きてきたわけで、基準は親にあります。
実際、例えば、自分の父親が浮気をして母親を苦しませていたので自分はそうはなるまいと誓って父を反面教師にしてきたのに、なぜか自分も浮気を繰り返してしまう方に何人も出会ってきました。

そもそも私が心理学を学び始めたきっかけも自分の生き方、考え方が自分の父親に酷似していると感じたからなんです。
私の父は男性的な一極集中型で、仕事に夢中になって家庭を放置する癖がありました。それで両親は離婚することになったのですが、私もまた自分が仕事に集中することがきっかけで失恋し、「あれ?このパターン、親と同じだな」と気付いたんです。

そうして私たちは無意識に両親から言葉だけでなく、生き方や価値観などをコピーして学んできますから、Aさんの気付きはとても素晴らしいものだと思います。

では、なぜ、そんなことをするのでしょうか。
自分も望まないし、親としても自分と同じ生き方はして欲しくない、と思っているかもしれないのに。

なぜ、両親をコピーするのか。
それはそれくらい大好きだから、愛情があるからです。
子どもにとっては親が善良な人だろうが、悪人だろうが「好きな人」に違いはなく、憧れであり、目指したい存在なんですね。
だから、その人の所作を一生懸命真似るんです。
もちろん、DNAなどの影響もあるでしょうし、すでに価値観や言葉は胎内にいるときから学び始めてますから生まれてきた瞬間にはもう両親をコピーし始めてます。
(例えば、うちの娘は妻に、息子は私にとてもよく顔が似ています。)

そして、もう一つの理由は大好きな人だから、理解したいし、助けたいからです。
なぜ、父親がそんな生き方をするのか?母親がそういう価値観を持つのか?知りたいし、理解したいし、助けたいのです。

Aさんが両親と同じように自分も浮気をされたり、したりするのも、きっとその価値観を引き継ぎ、理解したい気持ち、許したい気持ちが心の中にあったんじゃないかと思うのです。
そうして、ああ、あの人たちはこんな気持ちで夫婦をやっていたのか、と学ぶために。

さらに「進化」という観点から見れば、両親が辿りついた先に道を開拓するのが後に続く子供世代の役割ですから、当然、そこまでは両親が拓いた道を歩くことになります。
例えば、両親が浮気を繰り返して仲違いをしていたのであれば、自分も同じ状況になって仲直りをすることを目標とします。
父親が祖父母を見舞わない状況と似た状態を自分も繰り返していて、それを“越える”何かが新たな“進化”になるわけです。(例えば、その葛藤を越えてお父さんを見舞うとか、お父さんを見舞わないことで罪悪感を感じなくなる、とか)

もちろん、こういう思いは物心がつくまでにだいぶ完成されていますから、実際両親に愛情を持ってるとか、助けたいとか言われても「ピンとこない」かもしれませんが。

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