できないことはできなくて良い。(だって今できることはいっぱいあるんだから)



自立していくと何でも一人で背負うようになり、何でもかんでもやろうとしてしまい、押しつぶされそうになります。
そこで大切なことはできないことはできないと素直に白旗を揚げることではないでしょうか。

先日のカウンセリングも「自立を手放しましょう」というテーマになりました。
とてもよく出てきますね。

仕事でも家族でもプライベートでも何でも背負って、1人で頑張って、それで行き詰ってしまう・・・という。
そのまま行けば・・・きっと燃え尽きて何もやる気がなくなるだろう・・・という段階。
その背景には完璧主義もあれば、「そうしないと愛されない」という恐怖心もあれば、「誰も当てにならない」という不信感もあります。


「それだけ頑張って無理して潰れたら意味がないですよね。潰れてしまったらやりたいこと、助けたい人を見捨てちゃいますよね。だから、今は自分ができること、扱えるものに意識を向けて行きましょう。それは裏を返せば、出来ないことを出来ないって認めることなんです。今の自分には出来ない、で十分ですし、あるいは、本当はやりたくねぇって正直に認めちまってもよろしいんですぜ。」(なぜか最後は江戸口調(笑))

確かにそうですよね・・・そう思えば、何か心のつかえが下りますね・・・。

そうおっしゃるクライアントさん。
でも、胸のつかえが取れたのは彼女だけではありませんでした。

「そっか。できないことをできないって認めて良いんだ。やりたくないことはやりたくないで良いのだ」

偉そうに彼女にアドバイスしているご本人(私)が彼女以上に気付かさせて頂きました(笑)

実はカウンセリングやセミナー中、こちらが発言したことで「あっ!」と気付かされるときがよくあります。
カウンセリング中の発言は自分自身へのメッセージ、とはよく言ったものです。

「頭で分かってる」と「ココロで分かってる」は違います。
「それを実践する」はもっと違います。
また、一度分かったことでも、忘れていると再び「腑に落ちる」という経験ができます。
このすっきり感、悟り感(?)、自由な感じは何物にも代えがたいですね(笑)

できないものをできない、と認める。
やりたくないことをやりたくないと素直になる。
扱えないものは扱えないと正直に認める。
もう頑張れません、と白旗を揚げる。

そう、敗北宣言です。

しかし、その目的はできること、やりたいことに意識を向けるための大切な意識付けなのです。

気が付けば私もクライアントさん同様、あれもこれもと何でも何とかしようとしていました。
何とかしなきゃいけない、カウンセラーだから、講師だから、リーダーだから、という意識を知らぬ間に持っていました。時にそれは驕りになります。
それがある程度までは“やる気”“その気”になりますが、それ以上は単にプレッシャーというか、義務感というか、自己満足というか、傍から見れば迷惑というか、そんなものにしかなりません。

その境目は「楽しいか、楽しくないか」です。わくわくするか、しないか、です。

楽しいこと、好きなことをやってるのに、やろうとしてるのに、何でワクワクしないんだ?楽しくないんだ?と問いかけたとき、自分が背負いすぎてることに気付くわけです。

今、できることは何?
今、やりたいことは何?

そんな問いかけを自分自身にしていくことの大切さを改めてそのカウンセリングで教えられたような気がします。

でも、彼女は言ってました。
「それって逃げてるんじゃないですか?」

よくぞ、聞いてくれました(^^)
この悟り感(?)の中で、その問いの答えはすぐにやってきます。

「じゃあ、全力で逃げましょう!」(笑)

逃げるのが悪いって誰が決めたのでしょう?
それってもしかしたら「逃げたらあかん」ってプライドじゃないの?
あるいは「あの人逃げた」って人の声を心配してるんじゃないの?

それがもし「逃げ」と感じるのであれば、堂々と胸を張って逃げましょう。
逃げたらすべてが終わりではありませんから。

また「できないと認める」=「諦める」ではありませんのでご注意を。

できないと認める、というのは、将棋で言えば「投了」、ラグビーでは「ノーサイド」、高校野球ならホームベースで向き合って挨拶する、あのシーンです。
「今の自分にとってベストを尽くしたけれど、ここが精一杯です」という清々しさを伴うものなんです。
決して、抑圧的(=諦め)ではありません。
だから、強がることもありませんし、言い訳も必要ありません。逃げることでもなく、また、弱者でもありません。
「力不足です」と素直に認めることができますし、そこでまた自分が一歩進む方向が見えて来ます。

そんな勇気ある撤退なのです。
意地を張って進むだけがいいことではありませんよね。

できないことを認めれば、誰かに頼むことができます。
やりたくない!と認めれば、大きな荷物を手放せます。

そして、自分が今できること、今やりたいこと、今わくわくするものにエネルギーを向けるんです。

毎日使える心理学講座

 ★好評発売中!根本裕幸の近著。
こじれたココロのほぐし方 頑張らなくても愛されて幸せになる方法


あわせて読みたい